副業では収入とともに支出も繰り返し発生するため、収支のバランスを正確に把握するのは簡単ではありません。
しかし、収支を把握することは、副業として取り組むビジネスを成功させるために重要なポイントです。
副業における収支の状況を正しく把握する方法としては、収支計算書の作成があります。
この記事では、収支計算書の概要を説明したうえで、収支計算書の書き方について具体的に解説します。
副業の収支を把握するために、ぜひ役立ててください。
収支計算書とはどんなもの?
「収支計算書」とは、収入と支出の明細をまとめて記載した報告書のことです。
収入とはお金が入ってきたこと、支出とはお金が出ていったことを表しています。
収入と支出の両方を一覧としてまとめることにより、予算をどのように使ったのか客観的に確認できます。
収支計算書は収入の部と支出の部にわけて記載するのが一般的です。
さらに、メインのビジネスによる収入・支出、雑収入・雑支出、借入金収入・借入金支出などにわかれています。
収支計算書は「収支報告書」とよばれる場合も多いです。
また、収支計算書に似たものとしては「収支決算書」があります。
収支決算書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などをまとめたものであり、主に経営実績や財務状況を示すために使用されます。
収支計算書が必要となるのはどんなとき?
収支計算書は、組織の収入と支出の内訳を把握するために作成されるケースが多いです。
収支計算書で収入と支出のバランスを把握できるようにしておけば、ビジネスに関わる人数が多くなっても全員が同じようにお金の流れを確認できます。
お金のやり取りがうやむやにならずに済むため、適切にビジネスを進めやすくなります。
なお、企業が自社の収支の状況を外部へ公開する際は、収支計算書ではなく収支決算書が作成される場合がほとんどです。
たとえば、株主総会の資料や融資を受ける銀行へ提出する書類として使用されます。
一方、収支計算書はいつどのような場面で使用するか明確には決まっておらず、社内での確認のために使われるケースが多いです。
収支計算書の基本的な書き方
収支計算書には、収入に関する内容と支出に関する内容のそれぞれを記載する必要があります。
ここでは、収支計算書の基本的な書き方について解説します。
収入に関する内容
収支計算書を作成するときは、収入の内訳を最初に記載します。
単に得られた金額を記載するだけでなく、収入が発生した理由もわかるように記すことが大切です。
ただし、統一されたフォーマットがあるわけではないので、必要に応じて自由に形式を変えても問題ありません。
自分たちで形式を調整する場合は、必要な項目を漏れなく含めるように注意しましょう。
なお、収入に関して記載すべき具体的な項目については、後から詳しく解説します。
支出に関する内容
収入の内訳や収入が発生した理由を記載したら、次に支出の内訳について記載しましょう。
支出に関する内容の記載方法は、基本的には収入に関する内容と同様です。
支出として発生した金額とともに、支出が生じた理由もわかるように記載します。
ただし、どのような支出を何の項目に計上するかについては、それぞれの組織ごとの取り決めによっても異なります。
あらかじめルールを統一しておき、誰が収支計算書を作成するときでも内容と項目をそろえられるようにすることが大切です。
収支計算書に記載する具体的な項目
収支計算書の内容は、収入の部、支出の部の2つに大別されています。
それぞれでは、さらにさまざまな項目ごとに内容を記載しなければなりません。
ここでは、収支計算書に記載すべき具体的な項目について解説します。
【収支計算書に記載する具体的な項目】
- 収入の部
- 支出の部
- 科目
- 前年度繰越金
- 摘要
- 当期収入合計
- 収入合計
- 次年度繰越金
- 支出合計
収入の部
収入の部は、入ってきたお金について記載する部分です。
収入の部に記載される金額の大部分は、メインのビジネスで得た収入となります。
ただし、それ以外にも補助金や雑収入があれば、収入の部に記載する必要があります。
支出の部
支出の部は、出ていったお金について記載する部分です。
ビジネスの種類にもよりますが、収入を得るためにはさまざまな費用がかかる場合が多いです。
ビジネスのためにかかった経費や組織の運営のためにかかった費用などを項目ごとにわけて記載しましょう。
科目
科目は、収入と支出のそれぞれの項目を分類したものです。
取引が発生すれば、必ずいずれかの科目に該当します。
科目は取引の名目として帳簿上でも使用されるため、正しく把握しておく必要があります。
さまざまな種類があるので、実際のお金の流れに適しているものを選んで使用してください。
前年度繰越金
前年度から繰り越して使用できるお金がある場合は、あらかじめ前年度繰越金の金額を記載しておく必要があります。
現金として手元に残っている金額はもちろん、すべての預金口座の残高も合計して記載するのがポイントです。
摘要
摘要には、それぞれの科目についてより詳しく説明するための内容を記載します。
たとえば、預金利息が発生して雑収入として計上する場合は、雑収入の摘要欄に「預金利息」と記載しましょう。
摘要にきちんと内容を記載することで、それぞれの収入や支出が発生した理由がよりわかりやすくなります。
当期収入合計
当期収入合計は、その年度に発生した収入を合計した金額です。
前年度から繰り越したお金があれば前年度繰越金も収入の部に記載していますが、当期収入合計には含めてはいけません。
計算するときは誤って前年度繰越金を含めることが無いよう気をつけましょう。
収入合計
収入合計は、当期収入合計と前年度繰越金を合計した金額です。
当期収入合計の計算が誤っていると収入合計の計算も誤ってしまうため、注意が必要です。
収入合計は収入の部の項目のうち、いちばん下の欄に記載します。
次年度繰越金
次年度繰越金は、収入合計から当期支出合計を差し引いた金額です。
次年度の収支計算書を作成する際は、ここに記載した金額を前年度繰越金として転記します。
次年度繰越金の金額が誤っていると次年度にも影響してしまうため、正しく計算しましょう。
支出合計
支出合計は、当期支出合計と次年度繰越金を合計した金額です。
計算上、支出合計は収入合計と必ず一致するため、計算した金額が同じになっているか確認しましょう。
収入合計と支出合計が一致していない場合、どこかで計算を誤っています。
収支計算書を作成する際の注意点
収支計算書を作成するときは、注意したい部分もあります。
ここでは、収支計算書を作成する際に気をつけたい具体的な注意点を解説します。
【収支計算書を作成する際の注意点2つ】
- 収支残高をチェックする
- 根拠資料を必ず残す
収支残高をチェックする
収支計算書を作成するときは、必ず収支残高を確認しましょう。
すでに説明したとおり、収入合計と支出合計は必ず一致します。
それぞれが一致しなければ計算を誤っていることがわかるため、再度確認して修正する必要があります。
計算にミスがあれば、お金の流れを細かく確認して収支計算書を作成していたとしても役立てられません。
収支計算書を作成して正しく収支の状況をチェックするには、正確な収支計算書を作成することが大切です。
誤りのない収支計算書が完成したら、収支のバランスや残っている金額を確認して状況をしっかり把握しましょう。
収支計算書を活用して客観的に収支のバランスを明らかにすれば、ビジネスの今後の方向性も検討しやすくなります。
根拠資料を必ず残す
単に収支計算書に金額や摘要を記載するだけでは、本当に正しい内容だとは証明できません。
作成した収支計算書の正しさを示すには、すべての内容について根拠資料を残す必要があります。
収入や支出が発生すれば何らかの明細が発行されるので、捨てずに取っておくことが重要です。
たとえば、支出が発生したときは、受け取ったレシートや領収書などを保管しておきましょう。
ノートなどに貼り付けておくと、保管や振り返りも簡単に行えます。
根拠資料を整理して保管しておけば、お金の流れについて後から確認したい部分が出てきてもすぐに正確な情報をみつけられます。
収支の明細は再発行できる場合もありますが、そうでない場合もあるため、その都度受け取る習慣をつけましょう。
ポイントを押さえて収支計算書を作ろう
収支計算書を作成すると、本格的に副業に取り組み始めても収支のバランスを正確に把握できます。
収支計算書をしっかり活用するには、項目の分類についてあらかじめルールを決めたうえで正しい金額を記載することが重要です。
なお、「物販総合研究所」にメールアドレスを登録すれば、副業のなかでも特に取り組みやすいせどりに関するさまざまな情報を入手できます。
ぜひ登録して、よりスムーズに副業に取り組めるようにしましょう。