古物商許可は個人でも法人でも取得が可能
古物商許可は、個人・法人問わずに申請が可能です。
申請費用の1万9,000円と、役場に支払う各種書類の発行手数料、さらに必要書類の用意さえできていれば、古物商許可の申請を行えます。また、古物商の経験や特別な資格なども、必要ありません。
ただし申請が許可されるには、いくつかの条件があります。
古物商許可を取得する際の条件
古物商許可を取得する際に必要な条件とは、以下の通りです。
それぞれの詳細を解説します。
営業所を設ける必要がある
古物商許可の申請書には、営業所の詳細を記載する欄があります。そのため、営業所がなければ古物商許可の申請はできません。
古物商許可の申請における営業所の定義は、以下の3つが挙げられます。
- 管理者の常駐
- 古物台帳の管理ができる場所があること
- 古物の保管ができる場所があること
これらを満たしていれば、事務所はもちろん、自宅や実家を営業所として申請できます。営業所が賃貸の場合は、住所を営業所として申請しても問題ないか、オーナーに確認しましょう。
ちなみに事業に活用されることが多いバーチャルオフィスは、古物商許可が定める営業所の要件を満たしていません。バーチャルオフィスの住所では古物商許可の申請はできないため、注意しましょう。
管理者を配置する必要がある
管理者とは営業所の統括管理をする人物のことです。営業所に1名以上の配属が必要であり、従業員の指導や運営の管理などを役割とします。
管理者の条件は、営業所への常勤です。遠方に住んでいる従業員は管理者として認められない可能性があるため、近隣の従業員を任命したほうが良いでしょう。
また、雇用関係があり成人であれば、管理者に任命する従業員の役職は問われません。経験と知識が豊富なパートやアルバイトを管理者として設定することも可能です。
古物商許可を取得できない条件(欠格事由)一覧
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条、第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して五年を経過しない者
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
四 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
五 住居の定まらない者
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
七 第二十四条第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
八 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
九 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
十 営業所(営業所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
十一 法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
欠格事由をわかりやすくまとめると、以下の通りになります。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者など
- 5年以内に一定の刑に処せられた人など
- 暴力団関係者
- 住所不定の人
- 5年以内に古物商許可を取り消された人など
- 心身的な故障が見られる人
- 未成年(20歳未満)の人
- 営業所に適任の管理者がいない場合
- 会社の役員が上記の条件に該当する場合
それぞれの内容を、解説します。
成年被後見人、被保佐人、破産者など
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
自己破産手続き中で、就職できる職種が限定されている状態の人を「破産者」と言います。自己破産手続きが完了し、制限が解除されている状態(復権)であれば、古物商許可の申請が可能です。
5年以内に一定の刑に処せられた人など
二 禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条、第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して五年を経過しない者
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
「禁固以上の刑」とは、禁固刑、懲役刑のことを指します。これらの刑罰を与えられた経験があり、刑の執行後5年間が経過していない場合は、古物商許可の申請はできません。
また、拘留・罰金刑は禁固刑未満にあたりますが「刑法に規定する罪」による拘留・罰金は、「禁固以上の刑」と同等として扱われます。刑法に規定する罪とは、具体的には窃盗や横領などのことです。
当該の罪で拘留・罰金刑を与えられた過去がある場合は、刑の執行から5年経過をしていることが古物商許可の申請の条件となります。
これらの刑罰で執行猶予がついた場合は、執行猶予期間が終了してから申請が可能です。
暴力団関係者
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
四 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
暴力団員や犯罪組織集団に加入しているとみられる人物は、欠格事由に該当します。申請者当人はもちろん、役員の中に暴力団・犯罪集団と関わりを持つ人がいる場合も申請の許可は得られません。
暴力団・犯罪集団との関係性は、提出した書類の内容を暴力団対策主管課に照会することで判明します。隠すことは不可能なため、役員や関係者の当該集団との関わりの有無を明らかにした上で申請しましょう。
住所不定の人
五 住居の定まらない者
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
住所登録がない人や、住民票の住所に住んでいない人などは、欠格事由に該当します。
ただし仮住まい暮らしや単身赴任などで一時的に住民票の住所に住んでいない場合は、その旨を書面で説明すれば問題ありません。書面の様式は管轄の警察署によって異なります。
5年以内に古物商許可を取り消された人など
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
七 第二十四条第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
古物商に関する法令に違反し、古物商の許可を取り消された過去から5年が経過していない場合は、欠格事由に該当します。
また、許可の取り消しを受ける可能性を危惧し、自ら許可証を返納した過去がある場合も、返納日から5年間は古物商の再許可を得ることはできません。
心身的な故障が見られる人
八 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
こちらの要件は、令和元年12月14日以降の申請から追加された項目です。古物商の運営に適した健康状態ではないと判断された場合、欠格事由にあてはまります。
ただし、障がいの認定を受けていても古物商を営めると判断されれば、申請の許可を得られます。障がい認定を受けていることで許可の可能性がゼロになるわけではないため、まずは窓口に問い合わせて、自分の状態を説明してみると良いでしょう。
未成年(18歳未満)の人
九 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
18歳未満の未成年者は欠格事由に該当します。
ただし、婚姻をしている場合は成人と同等と判断されます。また、法定代理人(親)から古物商営業の許可が出ている場合は、未成年であっても欠格事由にあてはまりません。
加えて、古物商の相続人であり、なおかつ法定代理人が欠格事由に該当しない場合も、未成年者であっても古物商許可の申請が可能です。
営業所に適任の管理者がいない場合
十 営業所(営業所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
古物商許可には営業所と管理者が必要です。管理者が古物商許可で定められている条件を満たしていない場合は、欠格事由にあたります。
会社の役員が上記の条件に該当する場合
十一 法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
引用元:古物営業法 | e-Gov法令検索(※別タブで開きます)
法人が古物商許可の申請をおこなう際、役員が欠格事由に該当している場合は申請ができません。
役員として選任する人物が古物商許可の欠格事由にあてはまらないことを確認しておきましょう。
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古物商許可申請・取得の流れ
古物商許可を申請し、取得するまでの流れを確認しておきましょう。以下は、古物商許可を申請する際の概要です。
申請場所 | 営業所管轄の警察署 |
---|---|
申請に必要な書類 |
|
申請に必要な金額 | 1万9,000円 |
申請当日に必要な物 |
|
古物商許可を申請してから取得するまでは、以下の流れで行うとスムーズです。
申請〜取得までの手順
- 古物商許可申請書を警視庁のHPからダウンロードする
- 会社に保管してある定款のコピーの用意をする
- 登記簿謄本をインターネットから交付申請する
- 役場に行き住民票と身分証明書の発行手続きをする
- 誓約書と略歴書をインターネットからダウンロードする
- URLの使用権限の証明資料を「WHOIS情報」のページから獲得する
- 警察署に申請の予約の連絡を入れる
- 書類と申請費用と申請に必要な物を持って、営業所管轄の警察署の「生活安全課(防犯係)」に書類を提出する
- 書類に不備がなければ、40〜60日ほどの審査の後、古物商許可証が得られる
提出の流れについては、詳しく解説した記事も参考にしてください。
(関連)【個人向け】古物商許可申請の流れ|費用・必要書類をわかりやすく解説
申請の注意点
古物商許可を申請する際に提出する書類は、発行してから3カ月以内が提出期間です。3カ月を過ぎると申請書類として認められないため、書類を用意したらなるべく早く、申請手続きをしましょう。
審査が通り、古物商許可証が発行されれば、中古品を取り扱う事業を開始できます。
内部リンク:「古物商許可 申請」「古物商許可 必要書類」
よくある質問
ここでは、古物商許可に関するよくある質問に回答します。質問内容は、以下の通りです。
古物商許可を申請するにはどのような書類が必要?
古物商許可を申請する際に必要な書類は、以下の通りです。
- 古物商許可申請書
- 定款・登記簿謄本(法人のみ)
- 住民票
- 身分証明書
- 誓約書
- 略歴書
- URLの使用権限の疎明資料(ホームページがある場合のみ)
管轄の警察署によっては、上記の書類以外に、営業所の賃貸契約書や使用許諾書などが必要になるケースもあります。
提出を求められる書類は担当者や警察署、扱う古物商品などによって異なるため、事前に問い合わせておいたほうが安心です。
必要書類については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
(関連)古物商許可で必要な書類一覧と取得・準備方法【個人・法人どちらも】
古物商許可を申請しないで古物商を営むとどうなる?
無許可で古物商を営むと、古物営業法違反として懲役3年以下、または100万円以下の罰金刑が課されます。
また、罰則を与えられた経歴があると、今後古物商許可の認可ができない事由と判断される可能性も考えられます。
古物商を行う場合は、必ず古物商許可を申請しましょう。
古物商許可が必要になるケースについては、以下の記事で解説していますの参考にしてください。
(関連)【2024年版】古物商許可とは?必要になる対象・取得の流れ完全ガイド
古物商許可に年会費はかかる?
古物商許可に年会費は不要です。申請時に必要な1万9,000円と、必要書類の発行手数料のみで許可証を手に入れられます。
更新費用もなく1度取得すれば取り消し事由に該当しない限り、一生残る資格です。
古物商許可は条件を満たせば誰でも取得できる!
この記事では、古物商許可を取得する際の条件や取得できない条件(欠格事由)について詳しく解説しました。
- 成年被後見人・被保佐人・破産者など
- 5年以内に一定の刑に処せられた人など
- 暴力団関係者
- 住所不定の人
- 5年以内に古物商許可の取り消しを受けた人など
- 心身の故障が見られる人
- 未成年(18歳未満)の人
- 管理者が古物商許可の条件を満たしていない場合
- 会社役員が上記の条件に該当する場合
上記の欠格事由に該当していないか確認したうえで、古物商許可の申請を進めていきましょう。
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