古物商許可とは?法人・個人が古物を売買・交換する際に必要なもの
古物商許可とは、古物を取引する際に必ず必要となる許可証です。
古物とは、以下の3つを指します。
① 一度使用された物品
② 使用されない物品で使用のために取引されたもの
③ ①や②に幾分の手入れをしたもの
①はいわゆる中古品のことです。②は自分または他人に使用させる目的で購入したもので、新品の状態のものを指します。小売店などから一般消費者に渡った時点で、新品でも古物になるということです。③は商品の性質や用途を変えずに修理などをしたものです。たとえば、ブランドバッグのクリーニングや色の修復が③に該当します。
これらの「古物」を売買・交換・委託販売(交換を含む)などで取引するには、古物商許可証の交付を受けなければなりません。盗品の売買を防止したり、盗品の売買が起きた場合にすぐに発見したりするためです。商品が窃盗の被害品だった場合、誰でも自由に売買できてしまうと、犯罪の抑止や解決が難しくなってしまうので、古物の取引は許可制となっています。
なお、古物商許可を受けずに取引をしたり、不正の手段で許可を受けたりした場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則があります。
(参考)古物営業法(※別タブで開きます)
(参考)警視庁「古物営業関係法令の解釈基準等について」(※別タブで開きます)
古物商許可が必要になるケース
古物商許可が必要になるのは、次のようなケースです。
- 古物を買い取って売る場合
- 古物を買い取って修理してから売る場合
- 古物を買い取って使える部品を売る場合
- 古物は買い取らず、売れたら手数料をもらう場合(委託販売)
- 古物を買い取ってレンタルする場合
- 古物を別の物品と交換する場合
買い取った古物の部品を売る場合も、古物商許可が必要です。たとえば、中古の自転車を買って、自転車本体として売るのではなく、その部品を取引する場合が該当します。また、古物の取引は売買のみに適用されるわけではありません。委託販売やレンタル、交換であっても古物商許可は求められるので注意しましょう。
古物商許可が必要のないケース
古物の取引のようであっても、次のようなケースでは古物商許可は必要ありません。
- 自分で使用するために購入したものを売る
- 無償でもらったものを売る
- 海外で購入したものを売る
- 化粧品・お酒などの消費してなくなるものを売る
- 電子チケットなど実体がないものを売る
「自分で使用するために購入したもの」は厳密には古物ですが、自分で使っていたものや自分で使うために購入したが未使用のものを「売却するだけ」であれば、古物商許可は不要です。たとえば、ジムに通うつもりで購入したシューズを結局1回も使わなかったので売るといったケースが当てはまります。ただし、自分で使用するつもりと言いつつ、転売を目的として購入した場合は古物商許可が必要です。
タダでもらったものや、自分で海外で買ったり、輸入したりしたものを売る際も、古物商許可は必要ありません。タダでもらったものや、自分で買い付けたものが盗品であるとは考えにくく、犯罪の可能性が低いからです。ただし、他社が輸入したものを国内で買い取って売る場合は古物商許可が必要となります。
また、消費するとなくなってしまうものや、オンライン上の金券類など実体のないものは、そもそも古物に該当しないため、取引に古物商許可は不要です。
古物商許可の取得条件
古物商許可の申請をする際には、申請者が以下の欠格事由に当てはまらないことが求められます。
個人の場合は申請者本人と古物の管理者、法人の場合は法人役員と管理者が次の欠格事由に該当していないことが必要です。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 一定の犯罪歴のある者
- 暴力団員、元暴力団員、暴力的不法行為をするおそれのある者
- 住所の定まらない者
- 古物商許可を取り消されて5年を経過しない者
- 許可の取り消しに係る聴聞から決定の間に許可証を返納し、5年を経過しない者
- 心身の故障により古物商の業務を適正に実施できないと思われる者
- 未成年者
- 管理者の業務を適正にできない者を管理者としている者
- 営業所が用意できない者
- 公務員
古物商許可を取得する際は、管理者を定める必要があります。管理者は窃盗事件などの捜査協力をすることもあるので、ふさわしい人を指定しましょう。申請者と管理者は同一人物でも問題ありません。
また、古物商許可を取得するには営業所も必要です。個人事業主が自宅で古物の取引をする場合は、自宅を営業所に指定できます。
公務員は古物営業法で欠格事由に該当するわけではありませんが、原則として公務員は副業が認められないので、古物商許可を取得するのは難しいでしょう。
以下の記事では欠落事由をそれぞれ解説していますので、あわせてご覧ください。
(関連)古物商許可証は誰でも取れる?取れない人・取得できない条件一覧
古物商許可にかかる費用
古物商許可にかかる費用は、トータルで約2万円です。申請の際に費用がかかるものには、以下のものがあります。
- 申請手数料 :1万9000円
- 必要書類発行手数料:各数百円
申請手数料は、警察署に古物商許可の審査をしてもらうための費用で、個人・法人にかかわらず、一律の料金となっています。ただし、許可が下りなかった場合でも返金はされません。
古物商許可の申請には、個人の場合は住民票、法人の場合は役員と管理者の住民票と法人の登記事項証明書などを添付します。いずれも役所で発行してもらうのに費用がかかるため、申請手数料と合わせて約2万円程度と考えておきましょう。
古物商許可を取る前の事前準備
古物商許可は管轄の警察署で申請しますが、その場でパッと取得できるものではありません。ここでは、事前準備として以下の3点を解説します。
個人・法人どちらで取得するか?
古物商許可は、個人として取得することも、法人として取得することも可能です。
会社の事業として古物を取引する場合は、法人で取得する必要があります。たとえば、社内の誰かが個人名義で古物商許可を受けていたとしても、法人として古物商を営むことはできません。個人と法人は、法律上は別人格と解釈されるからです。
また、個人で取得した古物商許可を法人へ変更したり、その逆の変更をしたりするような変更手続きも存在しません。個人から法人へ切り替えたい場合は、別途、古物商許可を取得する必要があります。
つまり、古物商許可は事前にどちらで取得するか決めないといけないということです。個人で営むなら個人で、会社の事業で営むなら法人で取得しましょう。
取り扱う古物は何にするか?
古物商許可の申請書には「主として取り扱おうとする古物の区分」と「取り扱う古物の区分」という欄があります。それぞれ13種類の中から選ぶ形なので、事前に取り扱う古物を決めておきましょう。古物の区分は以下の通りです。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車・原付
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
「主として取り扱おうとする古物の区分」は一つしか選べませんが、「取り扱う古物の区分」では複数選択が可能なので、メインで扱う予定の古物とサブの古物を考えておくとよいでしょう。
必要な書類を用意できているか?
古物商許可を申請する際は、申請書以外にも複数の書類が必要です。個人と法人では用意する書類が異なるので、以下を参考に準備しましょう。
【個人許可申請の場合】
- 略歴書
- 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
- URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ)
※URLの使用権限に関する資料以外は、それぞれ申請者と営業所の管理者のものが必要です。
【法人許可申請の場合】
- 法人の定款
- 法人の登記事項証明書
- 略歴書
- 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
- URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ)
※略歴書、住民票、誓約書、身分証明書は、それぞれ役員全員と営業所の管理者のものが必要です。
なお、URLの使用権限があることを疎明する資料とは、プロバイダーなどが発行したドメイン書類などのことです。古物の取引をするためのホームページを開設していたり、プラットフォームにストアを出店していたりする場合に登録が必要となります。
(参考)警視庁「申請届出様式等一覧(古物商・古物市場主用)」(※別タブで開きます)
以下の記事では、必要書類を取得するポイントや取得場所について詳しく解説しています。スムーズに取得するための参考にしてください。
(関連)古物商許可で必要な書類一覧と取得・準備方法【個人・法人どちらも】
古物商許可の取り方
ここからは、実際に古物商許可を取得する際の流れを解説します。
個人で古物商許可を申請する場合は、書類の記入方法を画像で分かりやすく解説した記事もありますので、あわせてご覧ください。
(関連)【個人向け】古物商許可申請の流れ|費用・必要書類をわかりやすく解説
警察署に事前相談をする
古物商許可の申請書は内容が細かいので、適当に書いて不許可になるよりは事前に疑問点を解消しておいた方が安心でしょう。相談先は営業所(自宅を含む)を管轄する警察署です。
聞きたいポイントが決まっている場合は電話でもOKですが、話が長くなりそうなら直接出向いた方がいいかもしれません。ただし、突然警察署を訪問すると、担当者が不在であったり、充分な説明を受けることができない場合もあります。その場合は、事前に電話でいつ出向いたらいいか聞いておくのがおすすめです。
なお、申請自体の手間を省きたいなら、行政書士に相談するのも方法の一つです。行政書士は古物商許可の申請を代行してくれるので、相談から申請まで任せたい人は検討してみましょう。
警察署のサイト・または警察署で申請書を取得する
古物商許可の申請書などの書類は、警察署のホームページからダウンロードするか、窓口で取得することが可能です。個人許可申請の場合であれば、必要な書類の入手先は以下の通りです。
警察署で取得する書類 |
---|
許可申請書、略歴書、誓約書 |
役所で取得する書類 |
本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票 |
自分で用意する書類 |
身分証明書、URLの使用権限があることを疎明する資料 |
警察署ですべての書類がそろうわけではないので、古物商許可の申請をする際は、あらじめ必要書類を取得しておくなど、余裕をもって準備しましょう。
(参考)警視庁「申請届出様式等一覧(古物商・古物市場主用)」(※別タブで開きます)
申請書を作成する
必要な書類がそろったら、「許可申請書」「略歴書」「誓約書」の3種類を作成します。警察署のホームページには、許可申請書の記載例も用意されているので、確認しながら記入していくのがおすすめです。
事前に疑問点がなく、警察署や行政書士に相談しなかった人も、この段階でわからないことが出てくる可能性があります。その場合は、書き方がわからないところを書き出しておき、あらためて、警察署に質問するとよいでしょう。
管轄の警察署に書類提出と手数料納付をする
すべての書類が準備できたら、管轄の警察署に提出しに行きます。担当者がいつもいるとは限らないので、事前に電話で確認してから行くとよいでしょう。
警察署では申請を審査する前に、そもそも申請書が完成しているかのチェックが入ります。このチェックがOKで受理してもらえた場合、窓口で手数料を納付する仕組みです。窓口で申請書を見てもらったときに修正の指示が出ることも考え、メモや修正のための筆記用具を持参するのも忘れないようにしてください。
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古物商許可を取得するメリット
古物商許可の申請には多少の手間はかかるものの、取得することで以下のようなメリットがあります。
1.古物市場に参加できる
古物商許可を取得していない人は、物販で古物を取り扱うことができないので、売買できる商品が非常に限られてしまいます。本格的に物販をするなら、幅広い商品を扱うための古物商許可を取得するとよいでしょう。
2.税金の負担を抑えられる
古物商許可を取得して古物の取引ができるようになれば、その仕入れにかかった費用を経費として計上できるようになります。確定申告で記載する経費の額が大きくなれば、その分利益が減り、税負担も抑えられるのがポイントです。
3.事業として古物の売買をできる
最初に解説したように、古物商許可を取得せずに古物を取引するのは違法行為です。定められた手続きに沿って古物商許可を取得すれば、自分の事業として堂々と古物の売買が可能となります。
4.信用度がアップする
インターネット上で古物を購入する人の中には、販売者の古物商としての資格を確認する人もいます。古物商許可の取得は、販売者としての信用度も上がり、取引できる人の数を増やせる可能性があるのもメリットです。
古物商許可は取得していない場合、ビジネスにデメリットが生じる可能性もあります。以下の記事ではメリットだけでなくデメリットについても解説していますので、ぜひご覧ください。
(関連)【プロが解説】古物商許可証を申請するメリットとデメリット
古物商許可に関するよくある質問
最後に、古物商許可についてのよくある質問に回答します。
古物商許可の審査期間はどれくらい?
古物商許可の審査には、約40日(土日祝日を除く)かかります。警察署によって多少の差はあるので、あくまでも目安と考えておきましょう。
許可申請の結果は警察署から電話で知らされ、許可が下りた場合は、古物商許可証を警察署に取りに行きます。古物商許可証は郵送してもらうことはできないため、直接警察署で受け取る形です。
なお、古物商許可証には有効期間はないので、更新手続きなどもありません。一度取得すれば、許可の取り消し処分などを受けたり、廃業したりしない限り有効です。ただし、営業所の住所が変わったような場合は変更手続きが必要となります。
営業所が複数ある場合はどうするの?
主たる営業所の所在地を管轄する警察署で古物商許可を取得すればOKです。
たとえば、東京都にメインとなる営業所を置き、古物商許可を受けていれば、神奈川県にも営業所を構える際に新たな許可を受ける必要はありません。ただし、営業所を新たに増やす場合は、事前に営業所を追加する届出が必要です。
以前は都道府県ごとに古物商許可を取得しなければなりませんでしたが、2020年4月1日から古物営業法が改正され、主たる営業所で許可を取得すればOKになりました。
メルカリを利用するのに古物商許可は必要?
メルカリの利用に古物商許可が必要となるかどうかは、どのような取引をするかによって変わります。
1.自分の持ち物を売るだけの場合
古物商許可は不要です。先ほど解説したように、自分の不用品を売却するだけであれば許可を受ける必要はありません。
2.物販として古物を取引する場合
営利目的で古物を買い取り、メルカリに出品する場合は古物商許可が必要です。出品のために仕入れをして、古物に該当するものを販売する人は、古物商許可を取得しましょう。
3.メルカリShopsで古物を取引する場合
古物商許可が必要です。メルカリShopsで古物を販売する場合、開設審査で古物商許可証の画像提出義務があるので、出店予定の人は事前に取得する必要があります。
以下の記事でもメルカリやとメルカリShopsでの古物商許可について解説しています。メルカリShopsへの出店を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
(関連)メルカリ・メルカリShopsで古物商許可は必要?取得の流れと注意点
古物商許可を取得して物販に挑戦してみよう!
この記事では、古物商許可を取得する流れについて詳しく解説しました。
- 事前に警察署へ相談する
- 警察署のサイトもしくは警察署で申請書を取得する
- 申請書を作成する(許可申請書・略歴書・誓約書)
- 管轄の警察署に書類を提出して手数料を納付する
上記の流れで古物商許可を取得してみてください。
古物商許可証の取得でお悩みの方は、プロに相談するのがおすすめです。いわさき行政書士事務所では、古物商許可の取得サポートはもちろん、事業経営や法律問題などについても幅広く相談を受け付けています。「初回1時間無料」のオンライン相談も可能ですので、ぜひ以下のリンクからお問い合わせください。
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