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ドローン配達にロボタクシー?深センの日常に溶け込むテクノロジーを体験した、現地在住日本人の生の声

吉川真人
更新日:2022年7月25日
投稿日:2022年7月25日

この記事の内容

中国を代表するハイテク企業のテンセントやファーウェイを生み出し、「中国のシリコンバレー」とも言われる深セン。

前回の記事では深センの街の表の顔と裏の顔をざっくりと紹介したので、今回は深センの日常生活に溶け込んでいるテクノロジーやトレンドを具体的に紹介していく。

神岡進也
この記事の監修者
吉川 真人
monobankChina共同創業者
深セン投資会社と組んでブランド品AI鑑定とリユース日中JVスタートアップmonobankChina共同創業者。プロダクトマネジメントやデータ分析、ファイナンス、O2Oマーケティングに従事。中国ビジネスインフルエンサー。2009年同志社大学に入学後、大学3年次に1年間休学し、北京の中国青年政治学院へ留学。これを機に早くから海外で経験を積むことに決める。2014年に大学を卒業後、新卒でベトナムの人材紹介会社へ入社し、3年間ハノイ・ホーチミンで勤務した後、2017年2月に日本支社へ転籍。業績1位を取ったタイミングで退職した後、フリーランスとして幅広く活動。2019年に深センに渡り、2020年monobankChina創業。同社リユース事業で日本人初のユニコーン&IPOを目指して奮闘中。
▶Twitter:https://twitter.com/mako_63
▶Facebook:https://www.facebook.com/zhenren63

既に始まっているドローンデリバリー

meituan-drone1

日本でもラストワンマイルの解決策としてドローンデリバリーの実証実験が進められており、日本郵便と楽天が日本国内で一歩先に進んでいる。

一方、実験都市深セン龍崗区に、中国版GROUPONとして名を馳せ、今ではO2O王国(中国のメディアからの呼ばれ方)を築き上げたMeituan(美団)が星河集団と共同で大型ショッピングモールのCOCO Parkから飲食店のオーダーをドローンで配達している。

meituan-drone2(実際に筆者が現地で撮影)

上記写真はショッピングモールの屋上で撮影しているが、一般客でも自由に出入りできる。

この屋上では複数のドローンが整然と並べられ、モール内の飲食店がドローンデリバリー対象商品を受注した後、Meituanのユニフォームを着たお兄さんが商品をお店で受け取り、屋上までダッシュ(実際はエレベーター利用)し、美団専用の箱に収納し、ドローンにデリバリーさせている。

東京渋谷で例えるならば、UberEatsや出前館に登録しているライダーが渋谷のお店まで受け取りに行き、その後マークシティの屋上まで運び、ドローンに載せて飛ばす、と想像するとわかりやすいかもしれない。

現場には4名のスタッフが働いており、ドラえもんのスネ夫のようにリモコンでドローンを操作しているように見えるが、彼らに確認したところ基本動作は全て自動化されているようだ。

あくまで実証実験の一環なのでドローンのモニタリングとトラブルシューティングのために屋上で待機している。尚、ドローンの機体の間近での撮影をしたかったが、同業他社のスパイに疑われて半ギレ状態の中国人スタッフにつまみ出されてしまった。

外国人であれば大目に見てもらえることも多々あるが、現場リポートは命がけであるのはご理解いただきたいのが本音だ。

meituan-drone3(実際に筆者が現地で撮影)

折角の機会なので、私も実際にWechatのミニアプリ経由でミルクティーをオーダーしてみた。

実は一般的に想像するようなユーザーのオフィスや家の窓やドアの前まで直接運ぶわけではない。美団ドローンデリバリーの受け取り専用ボックスが一箇所に配置されており、ショッピングモールの屋上からそのボックスに目掛けて真っ直ぐ飛行してくる仕組みである。

オーダーから30分ほど待った後に屋上から飛んでくる姿を目撃した。数分ほどして受け取りボックスの真上まで来たらゆっくりと降りてきた。この日は雲ひとつない快晴だったが大雨の日だったらどうなるのか気になるところだ。

meituan-drone4

ドローンがボックスの屋上に着陸すると同時に屋上のゲートが開き、そこからミルクティーの入った箱が無事に投下された。まるでガンダムやエバンゲリオンが基地に戻ってくる瞬間である。

その後、地上に待ち構えている別のスタッフが消費者の代わりに先に感動のロッカー開門の義とボックスの開封の儀を終えてしまう。

通常であればスマホに暗証番号が通知され、それを入力することでロッカーを解錠できる。 エンタメ要素としては面白く新鮮さがあり、体験はGOODだが、ドローンがロッカーにドッキングしてから離陸までのリードタイムが長く、4つしか保管できないのでオーダーが集中するランチタイムは待ち時間が長くなる。

というよりも空の渋滞が発生してしまい、一瞬でキャパシティを超えしてしまうので受け取る側の整備が求められている。 無論、実証実験なので数カ月後に数十個保管できるようにアップデート予定。さすが実験都市深セン、きっと近い将来ドローンデリバリーがまず深センから普及していくだろう。

深センの中心地を走る百度のAIロボタクシー

robo-taxi2

実験都市深センにはドローンデリバリーと並んでロボタクシーの実証実験も目を離せない。中国テック大手企業BAT(Baidu、Alibaba、Tencentのイニシャル)の1つである百度のアポロ計画は”All for AI”と数年前から全社一致団結し、長年、自動運転領域に投資してきた。

そして、同社は2020年8月から、中国首都北京にてRoboTaxiの一般試験運営を開始した。RoboTaxiのユーザー体験は、同様に技術レベルの直観的なフィードバックであり、公式調査研究の結果、百度の「自動運転」と「ヒューマンコンピュータインタラクション」という2つの技術パフォーマンスを評価したところ、約9割のユーザーが「良好」以上の評価をしている。

こうした積み重ねが、最終的にはメーカーの自信に繋がり、ユーザーの信頼の基盤にもなるはずだ。

robo-taxi1

(2021年4月時点中国国内自動運転実験に関する各社比較データ北京智能車聯産業センター「北京市自動運転車両道路テスト報告(2020)」)

結果的に、中国国内では最も実証実験の距離(测试里程数)が長く、自動運転車の道路テストの安全走行距離は年間累計117万kmで、そのうち113万kmは百度によるもので、全体の96%を占めている。

使用している自動車台数も多く、第三者の統計によると、2020年12月時点で、百度が中国で取得した自動運転検出ナンバープレートは計199枚に達している。この数字がライバルをはるかに上回っているのも、百度が敢えて北京での単独公開体験から、北京、上海、広州の3つの地域で同時に自動運転技術の量産体験を展開しているからだ。

事実上中国ナンバーワンで群を抜いており、BYD、NIO、Xpeng、Li AutoのようなEVメーカーは全く自動運転に関しては百度には勝てる状況ではないし、勝つつもりも全くなさそうである。

robo-taxi3(実際に筆者が現地で撮影)

そして1人あたり平均GDPが最多である深セン南山区の中心地(海岸城などの後海エリア)に今年より「萝卜快跑」ロボタクシーが走行しているため、筆者は現地に駆けつけた。週末のランチタイムに複数台走行している姿を目撃した。

赤信号ではしっかり交通ルールを守って停止し、右折時はゆっくりと歩行者の動きをカメラとレーダーで捉えながら曲がっていった。 ちなみにロボタクシーと言っても、完全無人運転というわけではなく、運転席には運転手が座っており、ハンドル操作がいつでもできるように手はハンドルの近くで構えている(上記写真ではちょうどドライバーが見えていない)。

歩行者の真横ギリギリを時速30kmくらいで駆け抜けるロボタクシーを何度か目撃したので、いずれ改善される可能性はあるものの、乗車は若干勇気が必要かもしれない。が、生憎外国人の筆者では中国大陸の身分証明書を所有していないためアプリ経由でロボタクシー予約が不可能であった。

現場で乗車できるように交渉したものの、サングラスを掛けたいかつい運転手は一瞥もくれずに去ってしまった。外国人では身分証明書を持たないがために発生するバグは少なくない。

5つ星ホテルやオフィスビルで活躍するサービスロボット

service-robo1(実際に筆者が現地で撮影。動画からの切り抜きのため画質が荒い)

深センのマリオットホテルやヒルトンホテルには部屋までミネラルウォーターやタオルを運ぶAIロボットが活用されている。5つ星ホテルとは言えども、全ての顧客に対して満遍なく且つスピーディーに対応するのは現実的に難しいのでロボットへ惜しみなく投資しているのだろうと私は予想している。

実際に深セン南山区のマリオットホテルに宿泊した際、部屋の電話で水とインスタントコーヒーをオーダーしたところ、10分以内に配膳ロボットが登場。

純粋無垢な子供のように愛嬌のある中国語をひたすら一方的に話してくるので1流ホテルの雰囲気に合わない気がするものの、顧客の目的を果たしてくれるので十分役に立っており、ハードウェアのシリコンバレーであることを加味すると深センらしさとも言える。

service-robo2(実際に筆者が現地で撮影)

ホテル以外にも応用されている。私が働く深センハイテクパークの中検ビルの中に施設内配送に特化したロボット「パンダ師匠(熊猫师傅)」が活用されている。

使い方はシンプルでこのロボットと連動するWechatのアプリで飲み物やフードをオーダー、決済することで異なるフロアであったとしてもエレベーターに単独で乗り込んで届けてくれる。

エレベーターに乗る際には降りる人を優先しない中国の習慣がインプットされているのが玉に瑕だが素晴らしい技術であると私は感じている。

尚、深センでは百点満点を最初から目指さずにプロトタイプをサクッと作り、すぐに実証実験を行い、ユーザーからのフィードバックを回収し、イケると思ったら多少粗くても深セン近辺で量産し、短期間で国内外問わず販売していくのが深センスピードであり、まさに深センのスローガンの「时间就是金钱,效率就是生命(時は金なり、効率は命なり)」を体現している。

終わりに

今回は深センで私が自分の目で見たテクノロジーを紹介したが日進月歩で変わり続けているためこの記事の内容はすぐに陳腐化してしまうだろう。それくらい変化が速すぎる都市であり、深センの1年は東京の5年に匹敵すると嘆く人もいるくらいだ。

私はそれでもこの街の変化を自分の五感を通して学び、日本の皆さんに共有できるように尽力していきたい。私のTwitterでは今回のテクノロジー関連の紹介や中国市場でのマーケティングの成功例や失敗例を紹介しているのでぜひフォローをお願い致します。

吉川真人

 

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