JANコードとは?
JAN(ジャン)コードとは、日本国内で商品を識別するために使用されるバーコードの一種です。身近なところでは、スーパーやコンビニのPOSシステムでJANコードが読み取られ、売上や在庫の管理などに活用されています。
JANコードは「Japanese Article Number」を略したものです。国際的には、GTIN(Global Trade Item Number)コードの一部に含まれ、重複や矛盾なく運用できるようになっています。つまり、JANコードはGTINコードでもあるのです。
JANコードは、小売業や物流の自動化や効率化、トラッキングなどに欠かせません。そのため、物販ビジネスにおいて、プライベートブランドのODM/OEMに取り組むとき、商品を販売会社に納入するとき、ECプラットフォームで販売するときなどは、JANコードの取得が推奨されます。
他のコードとの違い
国内外にはさまざまなコードがあります。これらは、目的や使用場所、業界のニーズなどに応じて使い分けられています。
代表的なコードとその違いを以下の表にまとめました。
使用地域・国際性 | 説明 | JANコードとの違い | |
---|---|---|---|
ISBNコード | 国際的 | ISBN(International Standard Book Number)は、書籍のための国際標準識別コード。 | JANコードは商品全般に使用されるが、ISBNは書籍専用。ISBNは13桁の数字で表され、書籍に一意の識別番号を付与する。 |
書籍JANコード | 日本国内 | 書籍専用のJANコード。ISBNコードと連動しており、書籍の分類と価格を表示するための2段バーコード。 | 通常のJANコードとは構成が異なり、ISBNコードと併用される。 |
ITFコード | 国際的 | ITF(Interleaved Two of Five)は、主に物流で使用されるバーコードで、外装箱やパレットの識別に使用。 | JANコードが個々の商品を識別するのに対して、ITFコードは梱包単位(箱やパレット)を識別するために使用される。 |
GTIN | 国際的 | GTIN(Global Trade Item Number)は、国際的に使用される商品識別コード。JANコードやEANコード、UPCの総称。 | JANコードはGTINの一部であり、日本国内では主に「JANコード」として使用されるが、GTINはその国際的な名称。 |
このように違いがあるため、物販ビジネスで取り扱う商品や販売場所によっては、JANコードではなく他のコードを取得したほうがよい場合もあります。
JANコードの構成と種類
JANコードには、標準タイプ7桁、標準タイプ9桁、短縮タイプの3タイプがあります。各種類の主な用途と、コードのフォーマットをまとめたものが以下の表です。
タイプ | 標準タイプ (7桁JAN企業コード) |
標準タイプ (9桁JAN企業コード) |
短縮タイプ |
---|---|---|---|
主な用途 | 大規模企業向け、商品数が多い場合に使用 | 中小企業向け、商品数が少ない場合に使用 | 小型商品やパッケージスペースが限られた商品向け |
GS1事業者コード桁数 | 7桁 | 9桁 | 6桁 |
商品アイテムコードの桁数 | 5桁 | 3桁 | 1桁 |
チェックデジット | 1桁 | 1桁 | 1桁 |
合計桁数 | 13桁 | 13桁 | 8桁 |
JANコードを取得する際には、どのタイプを選ぶか、前もって決めておくとよいでしょう。各タイプについて順に説明します。
標準タイプ
JANコードの標準タイプは、最も一般的に使われる形式であり、13桁の数字で構成されます。7桁JAN企業コードまたは9桁JAN企業コードで始まり、その後に商品アイテムコードとチェックデジット(誤り検出用の1桁の数字)が続きます。
7桁と9桁のどちらのタイプを選ぶかは、以下の表のように、商品数で判断してください。
標準タイプ (7桁JAN企業コード) |
標準タイプ (9桁JAN企業コード) |
|
---|---|---|
商品アイテムコードの桁数 | 5桁(00000〜99999) | 3桁(000~999) |
区別できる商品数 | 最大10万点 | 最大1000点 |
推奨されるビジネス規模 | 大規模ビジネスまたは商品ラインが多い場合 | 小規模ビジネスまたは商品の種類が少ない場合 |
短縮タイプ
短縮タイプのJANコードは、主に小さな商品やパッケージに表示スペースが限られている場合に利用されます。通常の商品で用いられる13桁のJANコードに対して、8桁のコードで構成されます。
たとえば、小物雑貨やコンパクトな化粧品、キーホルダー、小型電池などの商品は短縮タイプを選ぶとよいでしょう。ただし、商品アイテムコードが1桁ですので、0~9の最大10種類までしか管理できない点に注意が必要です。
JANコードを構成するコードの意味
画像引用:GTIN 設定ガイドライン(※別タブで開きます)
JANコードは、GS1事業者コード、商品アイテムコード、チェックデジットの3つで構成されます。JANコードを作成する際には、これらの仕様を知っておくことが必要です。
GS1事業者コード
GS1事業者コードは、各事業者に割り当てられる固有の番号です。GS1 Japan(一般財団法人 流通システム開発センター)から貸与され、他の事業者と重複しないように管理されています。
標準タイプのJANコードには、7桁または9桁のGS1事業者コードが使用され、短縮タイプのJANコードでは、6桁のGS1事業者コードが使われます。最初の2桁は国コードを示し、日本の場合は「45」または「49」です。
商品アイテムコード
商品アイテムコードは、各事業者が自社の商品ごとに設定する番号です。このコードは、同じ企業内でも異なる商品に個別に付与され、商品を識別するために使用します。
標準タイプのJANコードでは、商品アイテムコードは3桁(最大1,000種類)または5桁(最大10万種類)で、短縮タイプのJANコードでは、商品アイテムコードは1桁(最大10種類)です。
たとえば、同一商品の色違い、サイズ違いで異なる商品アイテムコードを割り当てておけば、それぞれの売上や在庫を管理しやすくなります。このコードは、重複しない限り、事業者が自由に決めてかまいません。具体例は後ほど解説します。
チェックデジット
チェックデジットは、JANコードの最後に位置する1桁の番号で、誤り検出のために使用されます。このチェックデジットによって、バーコードの読み取りエラーや印刷ミスを検出でき、商品を正確に管理できるようになるわけです。
チェックデジットは、GS1事業者コードと商品アイテムコードから、モジュラス10/3ウェイトというアルゴリズムを使った計算方法に基づいて算出します。計算方法はやや複雑ですが、インターネット上にある計算機を使えば簡単です。
具体的な計算機については後ほど紹介します。
物販ビジネスでJANコード作成が必要になるケース
メーカーやブランドはJANコードの作成が必須です。しかし、個人や小規模事業者として物販ビジネスに取り組むような際も、以下のような場合にJANコードが必要になります。
【JANコードを作成するケース】
プライベートブランド(ODM/OEM)商品を販売する場合自社ブランド商品を製造し販売する際、特にプライベートブランド(ODM/OEM)商品の場合、JANコードの取得がほぼ必須です。理由は、小売店や流通業者は、商品管理や在庫管理、売上追跡のためにJANコードを使用して、商品を一意に識別しているためです。
小売店や卸業者に商品を納入する場合
小売店や卸業者に商品を納入する場合、JANコードの提供が一般的に求められます。
ECプラットフォームで販売する場合
大手ECプラットフォーム(Amazon、楽天など)のほとんどは、商品を販売する場合に、JANコードの登録が必要です。
このようにJANコードの作成は、たとえ自社が必要なくても、取引相手から取得を求められるケースが多いといえます。しかし、事業者がJANコードを積極的に作成するメリットもあります。
【JANコードを作成するメリット】
販路を拡大できるJANコードを取得すれば、商品をより多くの小売店やECサイトで販売でき、販路を拡大できます。
偽造品と疑われるリスクの軽減
JANコードがあることで、商品が正規品であることを証明でき、偽造品と疑われるリスクを減らせます。
顧客が商品を検索しやすくなる
JANコードを利用すると、ECサイトやアプリでの商品検索が簡単です。結果として、商品が売れやすくなります。
JANコードの作成は法律上の義務ではありませんが、ビジネス的な観点から作成を検討するとよいでしょう。
JANコードの作成手順
物販ビジネスでJANコードが必要になる場合は、以下の手順でJANコードを作成できます。
順番に解説します。
1.GS1事業者コードを登録する
GS1事業者コードは、JANコード作成に不可欠な事業者識別用のコードです。日本では、GS1 Japanに対してインターネットまたは書面で申請します。
Webからの申請方法
Webから申請する手順は以下の通りです。
- GS1 Japanの申請サイトにアクセスします
- 企業情報や事業内容、連絡先などをフォームに入力して申請します
- 所定の申請料を支払います(コンビニ支払い、Pay-easy支払い、銀行振込)
- 約7営業日以内に登録通知書が発行され、JANコードの生成が可能になります
特別な理由がない限り、Webからの申請が便利です。画面の指示に従うことで差し戻しのリスクが低く、登録までの期間も短い傾向があります。
書面での申請方法
書面でJANコードを申請する場合、以下の手順で行います。
- GS1 Japanのウェブサイトで「はじめてのバーコードガイド‐新規登録用」を注文します
- 冊子が届くので、付属の登録申請書に必要事項を記入してGS1 Japan宛てに郵送します
- 登録申請料を郵便振込または銀行振込で支払います
- 約2週間で登録通知書が発行され、JANコードの生成が可能になります
2.商品アイテムコードを設定する
商品アイテムコードは、自社の商品を識別するために事業者が自由に設定する番号です。標準タイプであれば3~5桁、短縮タイプであれば1桁で、事業者が管理しやすいように自由に設定できます。
ただし、G1 Japanでは、商品アイテムコードを001、002、003のようにシンプルに順番に付けるように推奨しています。理由は、特定の桁を部門や色のように意味付けしてしまうと、後で変更があった際に管理が難しくなるためです。
商品アイテムコードを別々にするケースとしては、以下が挙げられます。
項目 | 具体例 |
---|---|
サイズが違う場合 | ・L、M、S ・大袋、中袋、小袋、など |
容量、重量が違う場合 | ・360ml、500ml ・400g、200g、など |
色が違う場合 | ・赤、青、黄 |
味、香りが違う場合 | ・塩味、コンソメ味 ・バラの香り、シトラスの香り、など |
販売単位が違う場合 | ・5個入り、10個入り ・3枚組、5枚組 |
3.チェックデジットを計算する
先にも説明しましたが、チェックデジットは、JANコードの最後の1桁で、誤りを検出するために使用される数字です。GS1事業者コードと商品アイテムコードの数字を基に、モジュラス10/3ウェイトという計算方法で計算します。
しかし、この計算方法を理解する必要はなく、以下の方法で計算できます。
- G1 Japanのチェックデジットの計算方法ページにアクセスする
- JANコードのGS1事業者コード、商品アイテムコードを半角数字で入力する
- 「計算」ボタンをクリックする
以上でチェックデジットが出力されますので、これを登録してください。
4.JANコードを印刷する
作成したJANコードを「JANシンボル」として印刷します。一般的な方法は、バーコード印刷に対応している専門業者に依頼する方法です。業者は規格に適合した品質で印刷できるため、精度の高いバーコードを作成できます。
一方、自社で印刷する方法もあります。コード作成対応のプリンターや専用ソフトを使用すれば、自社印刷も不可能ではありません。ただし、JIS規格を満たさないと、流通段階での読み取りエラーが発生する可能性があるため注意してください。
5.商品の納入先にJANコードを通知する
ビジネスの状況にもよりますが、すでに納入先(取引先)が決まっていれば速やかに連絡しておきましょう。JANコードを教えておけば、納入先は自社の在庫管理システムやPOSシステムに商品を正確に登録し、効率的に商品を管理できるようになるからです。
JANコードは、一般的に、商品カタログや契約書、見積書などの書類に記載して通知します。JANコードは商品とコードが1対1で対応している点が最も重要ですので、正式な書類で明確に伝えるとよいでしょう。
間違ったJANコードを伝えてしまうと、トラブルの原因になるため、注意してください。
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JANコードを作成する際に知っておきたいこと
JANコードを作成する前には、以下の注意点について知っておくことが重要です。
順番に解説します。
GA1事業者コードを新規登録する際は申請料がかかる
GS1事業者コードの申請にはお金がかかります。申請料は、年商と支払年数に応じて以下の通りです
事業者全体の年間売上高 | 初期申請料 | 登録管理費 | |
---|---|---|---|
3年払い | 1年払い | ||
5000億円以上 | 4万4,000 円 | 30万6,900 円 | 11万 円 |
1000億円以上 ~ 5000億円未満 | 27万6,100 円 | 9万9,000 円 | |
500億円以上 ~ 1000億円未満 | 15万2,900 円 | 5万5,000 円 | |
100億円以上 ~ 500億円未満 | 9万2,400 円 | 3万3,000 円 | |
10億円以上 ~ 100億円未満 | 4万6,200 円 | 1万6,500 円 | |
1億円以上 ~ 10億円未満 | 2万2,000 円 | 2万,900 円 | 7万700 円 |
1億円未満 | 2万2,000 円 | 1万6,500 円 | 6,050 円 |
出典:G1 Japan「GS1事業者コードの新規登録手続き」(※別タブで開きます)
このように少なくない費用がかかります。特に個人にとっては負担が大きいため、事前に予算に組み込んでおくとよいでしょう。最新の費用は、GS1 Japanの公式サイトで確認してください。
GS1事業者コードには有効期限がある
GS1事業者コードの有効期限は、初回登録した翌月1日から、1年払いの場合は1年間、3年払いの場合は3年間となります。
更新時期の1~2か月前にGS1 Japanから案内書類が届くので、変更手続きを行いましょう。この手続きを怠ると、JANコードが利用できなくなる可能性があります。
なお、事業者名や所在地・コード管理担当者などが変更になった際には、変更手続きが必要です。また、「廃業する」「商品を取り扱わない」といった事情があり、JANコードを今後利用しない場合は、事業者コードの返還手続きを行います。
JANシンボルの印刷は印刷会社に依頼する
JANコードをバーコードで表したJANシンボルの印刷は、印刷会社に依頼することをおすすめします。JANシンボルには、以下のJIS規格が決まっているため、プロに任せたほうが安心です。
【JANコードのJIS規格】
基本寸法 | ・縦25.93mm、横37.29mm(余白を含む)が標準サイズ ・拡大縮小は80%~200%の範囲に収める |
---|---|
拡大縮小 | ・基本寸法の80%~200%の範囲までに収める |
印刷位置 | ・商品に印刷しやすく、POSシステムで読み取りやすい位置に設定 |
色の設定 | ・白地に黒いバーが基本 ・赤系の色はスキャナーで読み取れないため避ける |
JANシンボルを自社で印刷することも可能ですが、JIS規格に基づいたサイズや品質を守るためには専門のプリンターやソフトウェアが必要です。正しく印刷できないと取引相手にも悪影響が及ぶため、印刷品質を担保しておきましょう。
詳しい情報は以下サイトからご確認ください。
(参考)GS1 Japan「JANシンボルマーキングマニュアル」(※別タブで開きます)
よくある質問
ここでは、JANコードに関係するよくある質問を取り上げ、回答します。
JANコードとバーコードの違いは何ですか?
バーコードは、数字や文字などの情報を機械で読み取れる形に変換したコードの総称です。つまり、JANコードは、バーコードの一種です。
バーコードには、JANコードやQRコードなど幾つもの種類があり、目的に応じて使い分けられています。たとえば、Webサイトに誘導するためのQRコードは、数字だけで表すJANコードと異なり、URLの文字情報を表せます。
JANコードを検索するにはどうしたらいいですか?
JANコードは、以下のように複数の方法で検索可能です。
【JANコードを検索する方法】
1. JANコード検索サイトを利用する
GEPIRやJANCODE DATABASEなどの検索サービスを使えば、JANコードを入力することで商品や事業者情報を簡単に確認できます。また、企業名や商品ジャンルからの検索も可能です。
2. ECサイトで検索する
Amazonや楽天などのECサイトでは、JANコードを検索欄に入力することで該当商品のページを表示できます。商品情報を直接確認したい場合に便利です。
3. バーコードスキャナーアプリやPOSシステムで調べる
商品に印刷されたバーコードを読み取ると、JANコードや商品情報がすぐに表示されます。
JANコードを新規作成した際は、データベースが更新されるまでにタイムラグが生じ、検索にヒットしない可能性があります。
JANコードを付けなくても物販ビジネスはできますか?
小規模ビジネスや個人間取引では必要ありません。
個人間取引やフリマアプリ(メルカリやヤフオクなど)では、1対1の直接取引が主流です。商品識別用のバーコードがなくても問題なく販売できます。
また、自社のオンラインストアや店舗で商品を販売する場合、JANコードがなくても問題ないことがあります。特に、POSシステムや在庫管理システムを利用しない場合、商品管理にJANコードは必須ではありません。
JANコードとは物販ビジネスの拡大時に利用する「商品識別バーコード」
この記事では、JANコードについて詳しく解説しました。
- Webもしくは書面でGS1事業者コードを登録する
- 管理しやすいように商品アイテムコードを設定する
- Webサイトでチェックデジットの計算をする
- 専門業者に依頼もしくは自社でJANコードを印刷する
- 商品の納入先にJANコードを通知する
上記を理解して、JANコードを作成してみてください。
この記事では、物販ビジネスでOEM商品を販売する人などを対象にJANコードについて詳しく解説しました。
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