副業・ダブルワークの確定申告をしないとどうなるのか?
副業の収入がある場合、「確定申告をしないとどうなるのか?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、確定申告をしなかった場合に起こりえる実態について解説します。
確定申告をずっとしてない人は多い?確定申告をしないのは脱税という犯罪行為に
「申告をすると税金が加算されるなら、申告をしなければ良い」と思う人もいるはずです。あるいは、「個人の副業まで調べられることはない」と考えて申告をしない人もいるかもしれません。
しかし、収入があるのに申告をしないこと自体が脱税という犯罪行為です。
所得税法違反として、脱税は「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科」が脱税した本人に刑罰として科されます。
確定申告をしていない人のなかでは、「税金について知識が少ない副業初心者」が大きな割合を占めていると考えられます。
本来納めるべき税金を納めない行為は、違法になることをしっかりと認識しておきましょう。
税務署に無申告はばれる?バレない?
個人だからといって脱税がバレないと鷹を括っていると、ある日突然税務調査を受けることになるかもしれません。
無申告が税務署に疑われる原因としては、下記のようなパターンがあります。
- 個人の口座に大金が入金された
- 関係者から税務署へタレコミがあった
- 副業の発注元が税務調査を受けた
口座を分けるとバレない?
税務署は個人の銀行口座情報を閲覧することができるため、給与以外に定期的な入金があれば「副収入があるのでは?」と疑われてしまうかもしれません。
なお、ここで挙げたのはあくまでも一例です。
悪さをしていれば、いつかはバレてしまうものです。ペナルティを受けないためにも、確定申告は欠かさずに行いましょう。
確定申告していない人へのペナルティ
もし、確定申告をしなかった場合は「無申告加算税の支払い」と「延滞税の支払い」という処罰が下されることになります。
その上で悪質な場合は、さらに重い処罰が科される可能性もあるので注意が必要です。
ここでは、それぞれの処罰の内容について解説します。
無申告加算税がかかる
「無申告加算税」とは本来納めるはずだった税額とは別に、無申告だった税金の額に合わせて科せられる税金のことです。
納付すべき税額の15%~20%の支払いを行う必要があるものの、もし期限が過ぎたあとに税務署の調査が入る前に申告をすれば5%に軽減できます。
なお、期限内に申告するのを忘れてしまっていた場合、申告期限から1カ月以内に自分から進んで申告すれば無申告加算税が課されることはありません。
延滞税がかかる
「延滞税」は本来納めるはずだった税額に対して、期日から納める日までの日数に応じた割合で課される税金です。
確定申告自体は終わっていても、実際に税金を納めていなければ延滞税は発生するので、税金の支払いは確実に行いましょう。
納めるまでの期間が長ければ長いほど割合は高くなり、7.3%~14.6%の間で決まっています。
期限後に自ら申告することで、延滞期間から一定の日数を延滞税の計算期間に含めないといった特例があります。
さらに悪質な場合の処分
脱税が故意で悪質と判断されれば、「40%の重加算税」が課される恐れもあります。
それぞれの年度における所得に対して40%の税金が加わるので、大きな負担となる罰則です。
たとえば、所得を得ているにもかかわらず、数年間にわたって故意に申告をしていない場合などが重加算税の対象です。
そのほかにも、青色申告の承認を受けているのにも関わらず、2年連続で期限から遅れると取り消される場合があります。
社会的信用が落ちたり納税額が増加したりするなど、デメリットしかないので気をつけましょう。
→ 加算税の概要
確定申告しなくていい金額とは、申告はいくらから?
会社員の場合、給与分は会社側で年末調整が行われています。
給与以外に副業としての収入がある場合は、確定申告をする必要があるかどうか自分で見極めなければなりません。
そこで、2つの見極め方を解説します。
副業・ダブルワークの収入が20万以下かどうか
会社員は会社の給与のほかに所得が20万円未満の場合は、基本的に確定申告をしなくても問題はありません。
ただし、副業の種類によっては確定申告の必要があるので、必ず自分の副業の所得が該当するのか確認することが大切です。
よく誤解されるケースとしては、副業が「パート・アルバイト」なのか「それ以外」かという以下の区分です。
- 副業がパート・アルバイト:1年間の「収入」が20万円以下なら確定申告不要
- 副業がパート・アルバイト以外:1年間の「所得」が20万円以下なら確定申告不要
確定申告しなくてもいい金額は、パート・アルバイトとそれ以外ともに「20万円以下」になります。
しかし、副業がパート・アルバイト以外の人は「所得」で判断されるので、間違わないように気をつけましょう。
副業・ダブルワークの所得の種類が給与所得かどうか
前述のとおり、副業の所得の種類によって確定申告する必要がありますが、そのポイントは副業の所得が「給与所得」かどうかになっています。
所得の種類は細かく分けると10種類に分類されますが、ここでは代表的な4種類について解説します。
パート・アルバイトによる給与所得の場合
会社員から受け取る給与は、会社が代わりに年末調整をしてくれるので確定申告は不要です。
しかし、副業でアルバイトやパートをしていて収入が20万円以上ある人は、自分で確定申告する必要があります。
もし、アルバイトやパートなどの所得が「給与所得」で、年間の収入が20万円以下であれば確定申告する義務はありません。
ただし、住民税については申告が必要になるので注意してください。
20万円以下で確定申告をすると所得税がかかってしまうので、自治体に直接住民税を申告した方が節税になります。
雑所得の場合
ブログで得たアフィリエイト収入や、オークションの収入などは一時的な収入とみなされるので「雑所得」になります。
ちなみに、継続的な収入と判断された場合は「事業所得」です。
雑所得では、収入を得るためにかかった費用を経費として収入から引くことができますので、毎月の経費をしっかりと計算して無駄のないようしましょう。
雑所得も20万円を基準に「確定申告しないといけないかどうか」の判断ができます。
たとえば、アフィリエイトで得た収入が年間で40万円あったとします。ホームページの作成やインターネット通信費が25万円かかったとすれば、利益は15万円になるので確定申告は必要ありません。
事業所得の場合
クラウドソーシングで仕事を受けたり、YouTubeの配信を行ったりと継続的に入る収入は「事業所得」になります。
事業所得も雑所得と同じく、収入から経費を引いた額が20万円に満たなければ確定申告は不要です。
「白色申告」や「青色申告」の届けを提出することで、事業所得のなかでも税制優遇を受けられるようになります。特に青色申告の場合は、控除額が65万円に増額するメリットもあります。
また、青色申告の場合は事業がもし赤字になった場合でも、本業の給与所得と相殺することが可能です。
税負担が軽くなるメリットもあるので、事業所得の場合は青色申告がおすすめです。
ただし、経費の帳簿を記載する必要があり、慣れるまでに苦労するケースもあるので税理士に相談することも検討しましょう。
不動産所得の場合
不動産の貸し付けなどで得た、収入から経費を引いたものが「不動産所得」です。
不動産所得も20万円までの場合は、確定申告が不要になります。
不動産所得の計算は、賃貸の更新料や共益費などを含んだ総収入額から必要経費を引いて算出します。
不動産もおおむね5棟10室までの貸し付けをした場合の収入は「不動産所得」になり、それ以上または積極的な継続性が見られれば「事業所得」の扱いです。
一般的には事業規模が大きくなれば事業所得の扱いになりますが、その判断は税務署により行われるので一概にはいえません。
→ 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
副業・Wワークで赤字になった場合に確定申告は必要なの?
副業で赤字になった場合、所得金額がマイナスであれば基本的に確定申告は不要です。たとえば、収入から経費を差し引いた所得が年間20万円以下の人が該当します。
ただし、「青色申告」で損失の繰越や税金の還付を受けるためには、確定申告が必要です。
「事業所得」での赤字の場合、会社の給与所得と相殺できます。つまり、給料から天引きされた所得税の一部を取り戻せる可能性が高いです。なお、赤字の繰越は最大3年間できます。
また、副業の所得が赤字で年間20万円以下の場合でも、「住宅ローン控除」や「医療費控除」を申請するためには確定申告が必須です。年間20万円に達してなくても、申告書には副業の所得・収入を記入しなければなりません。
本業が副業禁止の場合、確定申告してもバレない?
副業を禁止している会社の場合、確定申告をすることで会社にバレてしまわないか不安になる人も多いでしょう。
ここでは、どのような場合に副業がバレてしまうのか、またバレないように確定申告をする方法はあるのかについて解説します。
確定申告で会社に副業がバレる理由
副業の確定申告をした場合、所得税だけでなく住民税も副業の収入を加味した金額で課されます。住民税は会社の給与から天引きされる「特別徴収」で支払うことがほとんどです。
そのため、個人の住民税の支払額は会社に知られてしまうことになります。
副業の収入が増えたことで住民税が突然増加した場合、「給与以外にも収入があるのでは?」と会社側に気づかれてしまい、副業がバレてしまうケースが多いです。
また、副業の所得・収入が20万以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の確定申告は別途必要になるので副業がバレる可能性もあります。
しかし、本業を越えるような大きな収入がない限り住民税も激変しないため、バレにくいともいえるでしょう。
要するに会社にバレることが怖くて確定申告をしないことよりも、確定申告をせずに脱税になってしまうことの方が問題です。
確定申告で会社に副業がバレないためには住民税の納付方法を変える
住民税で会社にバレてしまうのを避けるために、副業分の住民税を会社に知られないようにする方法もあります。
給与分と副業分の住民税の納付方法を、給与から天引きされる「特別徴収」から自分で銀行などで支払う「普通徴収」にそれぞれ分けてもらいましょう。
確定申告をする際に、申告書にある「徴収方法を分ける」にチェックを入れるだけで簡単に手続きができます。
ただし、チェックを見落とされてしまい、すべて特別徴収にされてしまう可能性もゼロではないので、不安な場合は自治体に念押しの連絡すると良いです。
ちなみに、普通徴収にすると市区町村によってはクレジットカードの支払いでポイントを貯められます。
副業で確定申告しない場合に注意すること
副業で確定申告しなくても大丈夫と自分で判断する前に、注意することがあります。
うっかりして脱税の扱いになって、あとで困らないためにも最初に確認しておきましょう。
確定申告をする場合は副業も含めて行う必要がある
住宅ローンや医療費などの控除を受けるために確定申告をする場合は、副業の所得を記載せずに申告することはできません。
この場合、たとえ副業が20万円以下であっても必ず確定申告書に記載しましょう。
収入や所得が20万円以下なら確定申告をしなくても問題ありませんが、確定申告をするなら所得分は漏れなく申告する必要があります。
確定申告期限に気をつける
一度副業で確定申告しないと決めたあとで、やはり申告をしたかったと気づいたときは申告期限を過ぎていないか確認しましょう。
申告期限は3月15日までと決まっているので、もし申告期限を過ぎてしまった場合は「無申告加算税」が課されてしまいます。
税務調査が入ってからでは15~20%の税率、入る前は5%と税率は大きく変わるので、確定申告が必要だったと気づいたらすぐに税務署に相談しましょう。
確定申告の重要性を再認識しよう
確定申告はしなければいけないと分かっていても、なぜ申告しなければいけないのか説明できる人は少ないでしょう。
ここでは確定申告とは何か、またなぜ必要なのかについて説明します。
そもそも確定申告とは
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの間に得た所得に対してかかる「所得税」や「復興特別所得税」などの税金を計算して、正しく申告・納税することです。
前提条件として、所得を得ている人は必ず確定申告をしなければなりません。
例年2月15日~3月16日の間に前年分の申告受付が行われます。
申告をする人は、国税庁のホームページや税務署で必要な書類を作成して管轄の税務署に届けることで申告できます。
もし、実際に納めていた税金よりも支払う必要のある税金が多い場合は追納が必要になります。
逆に、実際に納めていた税金の方が支払う必要のある税金よりも多かった場合、差額が還付される仕組みです。
納税は国民の義務
納税は憲法で定められた国民の三大義務の1つのため、一人ひとりの所得に応じた税金を支払わなければなりません。
そのためには、正しく税額を計算して確定させ、必要に応じて納税するための「確定申告」が必要になるのです。
また、確定申告で正しく申告された収入や所得は自治体とも共有され、住民税の税額を決定する基になります。
もしも税金を納める人が少なくなれば、社会保障サービスが機能しなくなったり住民サービスも停止したりと甚大な問題です。
税金は私たちの暮らしを維持し、豊かにするためにも必要な仕組みであることを押さえておきましょう。
「副業だから確定申告しない」は危険!まずはシミュレーションしよう
「副業だからバレないだろう」と確定申告をしないでいると脱税になるので、あとで大金を支払う羽目になるかもしれません。
思わぬトラブルを未然に防ぐためにも、確定申告が必要な場合は正確に申告を行いましょう。
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