Amazon広告の基本|種類を選ぶ前に押さえるべき仕組み

「Amazonで出品するためには広告が必要不可欠とは聞いたけど、なんだか難しそう…」そんなふうに感じるかもしれませんね。
実際に、Amazonの広告は種類が多く、戦略や知識も必要です。
しかし基本を押さえておけば、その後はそれほどつまずくことなく、理解できるようになります。ここではAmazon広告の基本的な「仕組み」を見ていきましょう!
Amazon広告とは|今やEC売上拡大に不可欠
Amazon広告とは、Amazonの中で自社商品を目立たせるための販促ツールのことです。
一言で広告と言っても表示方法はさまざまで、商品やターゲットに合わせて、ぴったりの方法を選ぶことができます。
「そんなことしなくても、良い商品なら放っておけば売れるのでは?」と思うかもしれません。しかし、現在のAmazonはユーザーも出品されている商品の数も膨大で、ただ出品しただけでは見つけてもらうことさえ難しい状況です。
とくに、検索結果の2ページ目以降に表示される商品は、閲覧数も売上もピクリとも変化しない…といったことも珍しくありません。
広告機能を使えば検索結果の目立つ位置だけでなく、ライバルの商品ページ上でも、自社商品をアピールできます。その結果、ピクリとも動かなかった閲覧数や売上が、右肩上がりになる可能性も十分にあります。
広告費|基本はクリック課金(CPC)
「Amazon広告は費用がかかるから、なるべく使わずに勝負したい…」と考える人もいることでしょう。しかしAmazon広告は、基本的に「クリック課金(CPC)」システムを採用しています。
クリック課金システムとは、お客さんが広告をクリックしたときに、初めて費用が発生する仕組みのこと。広告を表示するだけでは費用は発生しません。
つまりAmazon広告では、広告費用のムダ打ちをぐんと抑えることができるのです。成果があった場合のみ費用が発生するため、コストを抑えて大きなプラスを得られる可能性が十分にあります。
一覧比較表で一目瞭然!Amazon広告の種類と目的マップ

Amazon広告にはいくつかの種類があり、それぞれ目的や表示場所、課金の仕組みに違いがあります。まずは全体像を把握し、自社に合った広告を選ぶ目安を定めてみましょう。
| スポンサープロダクト広告 | スポンサーブランド広告 | スポンサーディスプレイ 広告 | Amazon DSP | |
|---|---|---|---|---|
| 一言でいうと | お店の棚の目立つ位置を取る | お店の入口にチラシを貼る | お客さんに再訪を提案する | お店の外でチラシを配る |
| 主な目的 | 商品の直接的な売上UP | ブランドの認知度UP | 再アプローチ | 潜在層への大規模リーチ |
| 主な表示場所 | Amazon内 | Amazon内 | Amazon内外 | Amazon内外 |
| 課金形態 | クリック課金 | クリック課金 | クリック課金 or インプレッション課金 | インプレッション課金 |
このあと上記の4つの広告それぞれの特徴や戦略、活用シーンなどを詳しく解説します。
【売上直結型】スポンサープロダクト広告

売上アップを目指すなら、最初に押さえたいのが「スポンサープロダクト広告」です。
スポンサープロダクト広告はAmazon広告の中でも最も基本的で、多くの企業が導入しています。
ここでは、その特徴や活用方法を具体的に見ていきます。
特徴|購入意欲が最も高いユーザーに直接リーチできる

スポンサープロダクト広告は、Amazon広告の中で最も基本的な選択肢です。「検索結果ページ」やライバル商品・関連商品などの「商品詳細ページ」などに表示されます。
この広告の特徴は、購買意欲の高いユーザーに直接アプローチできる点です。
たとえばポテトチップスを買いにスーパーにやってきたお客さんがいるとしましょう。そのお客さんに見てもらえるように、ポテトチップの陳列棚の中で最も目立つ位置に自社製品を置く…それが、スポンサープロダクト広告のイメージです。
「今すぐ買う気があるユーザー」に対して、タイミングよくアプローチできるため売上に直結しやすいという魅力があります。
戦略|2つのターゲティング(オート/マニュアル)を使い分ける
「どんな人に広告を見せるか」を決める設定のことを「ターゲティング」と言います。
スポンサープロダクト広告では、「オートターゲティング」と「マニュアルターゲティング」の2種類を活用します。
<オートターゲティング>
Amazonが自動で最適なキーワードや表示先を判断し、広告を配信してくれるいわゆる「自動操縦モード」のターゲット設定のこと。最初のデータ収集やテストとして使われることが多く、「どのキーワードで売れるのか?」を探るのに役立つ。浅く広くなイメージ。
<マニュアルターゲティング>
キーワードを自分で指定して運用するモード。購買意欲の高い層に広告を集中投下できる。狭く深く設定するイメージ。
スポンサープロダクト広告を運用する際は、オートとマニュアルの併用がおすすめです。具体的なやり方は以下の記事で詳しく解説しています。Amazon広告の出し方も図解で説明しているので、Amazon広告の知識を深めるのにぜひ役立ててください。
(参考)Amazon広告で売上を伸ばす秘訣|5つのキャンペーン戦略って知ってる?(※別タブで開きます)
活用シーン|特定商品の売上を最速で伸ばしたいとき
スポンサープロダクト広告は、特定商品の売上を一気に伸ばしたいときに使うのが良いでしょう。
たとえば、新しく販売した商品や利益率が高く売れそうなのに見つけてもらえない商品などに活用するのがおすすめです。検索結果の1ページ目に表示させることで、売上が伸びやすくなります。
さらに、広告によって売上が伸びレビュー数も増えれば、ますます売上増が期待できます。
【認知度向上型】スポンサーブランド広告

売上だけでなく、ブランドの魅力や世界観も伝えたい…そんなときに役立つのが「スポンサーブランド広告」です。
ポンサーブランド広告は視覚的な訴求力に優れており、複数商品をまとめて紹介したい場面でも活躍します。
特徴|動画やカスタムイメージでブランドの世界観を伝えられる

スポンサーブランド広告は、個々の商品ではなくブランド全体の魅力を伝えるための広告です。
「検索結果の一番上」という最も目立つ場所に出稿でき、個々の商品だけでなく、自社のロゴやオリジナルの見出し、複数商品のアピールなども一緒にできます(動画も可能!)。
たとえるならデパートの入口にあるショーウインドウと同じで、ブランド看板とおすすめ商品を同時にアピールするイメージです。
ただし、利用には「Amazonブランド登録(Amazonに自社ブランドを登録すること)」が必須条件となります。
戦略|3つのクリエイティブ形式を使ってファンを増やす
スポンサーブランド広告には、3つの形式があります。目的に応じて使い分けましょう。
① 商品コレクション
複数商品を一覧で紹介できる基本形のこと。クリック後にストアページへ誘導します。
② ストアスポットライト
ブランドの世界観を伝えるための形式です。自社のストアページに直接誘導し、複数カテゴリやシリーズを一括で見せられます。
③ 動画
商品の使い方や特徴、ブランドイメージなどを短い動画で伝える形式です。テキストでは伝えきれない魅力を視覚的にアピールし、任意の商品ページに誘導できます。
活用シーン|新商品のラインナップをまとめてアピールしたいとき
複数の商品を並べてアピールできるのが、スポンサーブランド広告の魅力です。新商品をまとめてアピールするときに活用すると良いでしょう。
では「新商品をまとめてアピールするとき」とは、どんなときでしょうか。自然派の30〜50代をターゲットとしている会社の場合で、考えてみましょう。
自然派の人は自分の身の回りの物はもちろん、わが子やペットの物もなるべく自然素材で揃えたいと考えるかもしれません。
スポンサーブランド広告を活用することで、一つの商品だけでなく複数商品を並べてアピールできます。自然素材の日用品やインテリアと一緒に、ベビー・ペット向けの自然派アイテムも同時に表示することで、自社に対して「自然派アイテムを幅広く扱う会社」というイメージを持つはずです。
その結果、ブランドに興味を持ってくれる可能性もアップします。
【潜在層アプローチ型】スポンサーディスプレイ広告
商品ページを見てくれたのに、購入には至らなかった…そんな「惜しいユーザー」にもう一度アプローチできるのが、スポンサーディスプレイ広告です。
スポンサーディスプレイ広告を活用することで、Amazon内外の幅広い場所で再アピールのチャンスをつくれます。
特徴|Amazon内外の幅広いユーザーに再アプローチ(リターゲティング)できる

「あれ、これさっき見てた商品だな?」と、Amazonで眺めていた商品が、他の商品ページやAmazon以外のサイトで広告として表示された経験はないでしょうか。
それが、スポンサーディスプレイ広告の仕組みです。
スポンサーディスプレイ広告では、一度自社の商品ページを訪れたものの購入しなかったユーザーに対して、関連商品ページやAmazon外のサイトに広告を表示し、再度アプローチできます。
たとえるなら商品を手に取って悩んでいたお客さんに、あとで「いかがでしたか?」と声をかける、親切な店員のような存在です。
戦略|購入を迷う顧客をターゲティング術で刈り取る
この広告では、検索キーワードではなく「人」や「行動履歴」に基づいたターゲティングが使われます。
代表的なのは、次の2つです。
① オーディエンスターゲティング
「過去30日以内に自社商品を見た人」「関連カテゴリの商品を見た人」など、購買意欲が高まっている層に向けて配信します。購入を迷っている人の「最後のひと押し」に適しています。
② コンテキストターゲティング
特定の商品ページやカテゴリを閲覧したユーザーに対して表示する方法のことです。たとえば、ライバル商品のページを見ているユーザーに「うちの商品もありますよ」と伝えることができます。
活用シーン|競合商品と比較検討しているユーザーを獲得したいとき
強力なライバルが多い場合に活躍するのが、スポンサーディスプレイ広告です。
たとえば、自社製品として高性能のワイヤレスイヤホンを販売しているものの、「A社」の製品と比較検討されることが多い場合で見てみましょう。
スポンサーディスプレイ広告の「コンテキストターゲティング」機能を使えば、A社イヤホンの商品ページを眺めているユーザーに、その場で自社のイヤホンの広告を表示させることができます。
ユーザーが競合商品を見ている「その瞬間」に、選択肢として自社商品を提案できるため、逆転のチャンスをつかむことが可能です。
【上級者向け】Amazon DSPで広がる広告戦略
Amazon広告の中でも、より広範囲な配信と高度なターゲティングが可能なのが「Amazon DSP」です。ただし利用には一定の条件があり、導入ハードルはやや高めとなります。
ここでは、基本的な特徴とどんな企業に向いているかを解説します。
スポンサー広告との根本的な違い
Amazon DSPは、Amazonが提携する外部サイトやアプリ、動画配信サービスなどに広告を表示できる仕組みです。Amazon内だけに限らず、ネット上のあらゆる場所でユーザーにリーチできるのが大きな特徴となります。
ただし専門知識が必要な上に、数百万円単位の予算条件もあります。その上、課金方式は「インプレッション課金(表示回数に応じた課金)」となるため、DSP広告の運用は広告代理店など外部のプロに委託するケースが一般的です。
どんな企業が利用を検討すべきか?
Amazon DSPは、下記のような企業に向いています。
- 全国規模でのブランド展開を目指す企業
- 十分な広告予算(中長期的なマーケティング投資)を確保できる企業
- Amazon内の販売実績や広告運用経験があり、さらに大規模な認知拡大を図りたい企業
たとえば、大手家電メーカーやコスメブランドなどが、Amazon内だけでなく幅広いターゲット層にブランドを印象づけたいときに活用しています。
目的別・状況別で見る!最適な広告ポートフォリオの組み方
広告には種類がある分、「どの広告をどのタイミングで使えばいいの?」と迷ってしまうこともあるはずです。
ここでは、よくある3つの状況別に、最適な広告の組み合わせパターンをご紹介します。「今の自分はどこにいるか?」を考えながら、参考にしてみてください。
パターンA:立ち上げたばかりのブランド・商品の場合
新商品やブランドを出したばかりの段階では、まず「見つけてもらうこと」が重要です。
そのため、スポンサープロダクト広告に集中して出稿し、露出を増やすことが基本戦略となります。
この段階で広告から得られる「売上データ」や「効果の高いキーワード」は、その後の運用にも役立ちます。ある程度売上が伸び始めたら、スポンサーブランド広告を加えてブランド全体の魅力を伝えるステップに進むのも効果的です。
パターンB:売上は好調だが、さらに伸ばしたい場合
Amazon内での販売が安定してきたら、次は「Amazonの外」も意識した広告戦略が必要になります。この段階で活躍するのが、スポンサーディスプレイ広告です。
たとえば、自社商品を見たけど購入しなかったユーザーに対し、Amazon内外で再アプローチすることで、取りこぼしていた見込み客を取り込むことができます。
既存のスポンサープロダクト広告と組み合わせて使うことで、さらなる売上アップが期待できるでしょう。
パターンC:特定ジャンルでのブランド認知度No.1を目指す場合
業界内でのシェアを本格的に取りにいく場合は、スポンサープロダクトやブランド・ディスプレイ広告、さらにAmazon DSPの活用も視野に入れた、「広告全体のフル活用」を検討するのもひとつの手です。
ただし一定以上の広告予算が前提となります。
大企業や強いブランド力を持つ企業向けの施策となるため、中小企業の場合はできる範囲から少しずつチャレンジしたほうが無難です。
よくある質問【FAQ】
最後に、Amazon広告をこれから始めようとする方が悩みがちなポイントに回答します。
初心者はどの広告から始めるのがおすすめですか?
Amazon広告初心者は、スポンサープロダクト広告から始めるのが基本です。
購入意欲の高いユーザーに直接アプローチでき、設定もシンプルなので、広告初心者でも簡単に扱えます。
まずはここで売れるキーワードや反応の良い商品を見極めることから始めましょう。
広告の費用は最低いくらから始められますか?
Amazon広告の運用費用は何円からでも設定できますが、1日1,000円~3,000円程度を目安に始めるのがおすすめです。
あまりに少額すぎると、すぐに予算上限に達してしまい、広告表示回数やクリック数のデータが十分に集まらず、効果検証が難しくなるためです。
少額からテストを始め、反応を見ながら調整していくとよいでしょう。
広告の成果(ROASなど)はどこで確認できますか?
Amazonセラーセントラルの「広告キャンペーンマネージャー」から確認できます。
ここでは表示回数、クリック数、売上などもチェックできますよ。
Amazon広告の種類を理解して戦略的な一歩を踏み出そう!
今回は、Amazon広告の主な種類(スポンサープロダクト、ブランド、ディスプレイ、DSP)を解説しました。
それぞれに明確な役割と強みがあり、どれが一番良いというわけではありません。「どんな目的で、どの広告を選ぶか」をよく考えて運用していきましょう。
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