PCは継続的な需要があり、高く売れやすいことから転売で人気のジャンルです。
しかし、一般的に市販されているPCは仕入れの単価が高く、資金がある程度ないとビジネスとしては難しい面があるといえるでしょう。
しかし、故障したジャンクPCを安く仕入れ、修理して転売する方法もあります。
この記事ではそんな「ジャンクPC転売」のメリット・デメリット、利益を上げるコツなどを紹介します。
PC転売に必要な古物商許可証について

ジャンクPCを修理して転売をするには「古物商許可証」が必要ということを知っていますか。
この許可がないと、ジャンクPC転売のビジネスを始めることはできません。
そこでジャンクPC転売について説明する前に、古物商許可証について紹介します。
古物商許可証とは
古物商許可証とは、中古品を転売するときに必要な免許です。
中古品は法律上、「古物(こぶつ)」と呼ばれ、一度人が使用したものは基本的に古物として扱われます。
中古自動車、中古家電、金券ショップで販売されているチケットなどはすべて古物です。
中古パソコンも古物にあたるため、転売ビジネスをするためには古物商許可証を取得する必要があります。
なぜ、古物商許可証という制度があるのでしょうか。
中古品の売買では盗品が取り扱われる可能性が高く、規制がないと誰でも取引ができてしまいます。
中古品の売買によって盗品を簡単に換金できてしまうと犯罪行為を助長してしまいます。
そこで、転売を許可制にすることで盗品の売買を難しくして、さらに盗品の発見もしやすくしているのです。
古物商許可証を取得した人・会社は「古物商」として扱われます。
この古物商は「取引相手の確認義務」「不正品の申告義務」「帳簿等への記録義務」という3つの防犯義務を負います。
ジャンクPCを修理して転売する場合も、これらの義務を守ってビジネスをすることが必要です。
古物商許可証の申請方法
古物商許可の申請には、個人と法人の2種類があります。
それぞれ提出する書類が異なるので注意しましょう。
個人で古物商許可の申請をするためには、許可申請書・住民票コピー・略歴書・登記事項証明書・身分証・誓約書が必要です。
また、インターネットサイトで中古品を販売する場合には、URLを使用する権利があることの証明として、URLの使用権限疎明資料の提出が求められます。
また、営業所にあたる場所が賃貸物件の場合、賃貸借契約書のコピーも必要です。
法人で古物商許可の申請をする場合、許可申請書・住民票コピー・略歴書・登記事項証明書・身分証・誓約書・登記簿謄本・定款コピーを提出します。
URLの使用権限疎明資料と営業所の賃貸借契約書のコピーに関しては個人の場合と同じです。
提出先は、自分の営業所がある地域を管轄している警察署です。
申請書と添付書類フォームは、警察署の公式ホームページからダウンロードできます。
なお、申請する地域によって必要書類や手続きの流れが異なるケースがあります。
不明な場合は申請前に問い合わせておきましょう。
手続きに不安がある場合は、古物商許可の申請を扱っている行政書士など専門家に相談する方法もあります。
無免許営業は違法
営利目的で転売をすれば無免許営業にあたります。
無免許での営業はれっきとした違法行為なので、逮捕や処罰を受ける可能性が高いことに十分注意しましょう。
特に逮捕された場合の処罰は重く「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定められています。
無免許営業による逮捕者の数は増加傾向にあります。
インターネットの普及に伴い、転売ビジネスへの参入が容易になったため、古物商許可証について知らずに営業をしてしまう人が増えているのです。
一部の情報には、オークションサイトなどを利用した転売程度なら違法にはならないなどと書かれていますが、これは間違いです。
インターネットを使用して中古品を転売する場合でも古物商許可証は必要なので、必ず許可を受けてからPC転売ビジネスを始めましょう。
ジャンクPC転売のメリット
ジャンクPC転売は他の転売に比べて儲かりやすい、などといわれることがあります。ここではジャンクPC転売のメリットを3つ紹介し、なぜ利益を上げやすいか説明します。
格安で仕入れられる
商いの鉄則は「安く買って高く売る」ということに尽きます。
ジャンクPCの転売のメリットの1つ目は、格安で仕入れられることです。
ジャンク品コーナーを見るとわかるように、ほとんどの製品は本来の価格の半額以下で売られています。
もちろん、ジャンクPCといっても状態はいろいろあります。
そもそもジャンク品、ジャンクPCに定義はなく、故障品から型落ち品、傷などがついた訳あり品まで、幅が広いのが特徴です。
しかし、いずれにしても安く手に入ることに変わりはありません。
仕入れ費用をなるべく抑えたい人におすすめの方法が、ジャンク品の修理・転売なのです。
ジャンクPCのなかでも、格安なのは、修理を必要とするものです。
状態によって価格は違いますが、PCが起動すらしないような不具合のある製品は捨て値で販売されています。
このような状態の悪い製品でも、修理のスキルがあれば直して販売することが可能です。
競合が少ない
初心者が取り組みやすい転売ビジネスの対象といわれているのは、仕入れにおいて目利きをあまり必要としない物、右から左に転売できるような物です。
古本や家電などはこうした特徴を持っているといえるでしょう。
しかし、そのぶんライバルが多く、売れ筋の商品の仕入れがむずかしいこともよくあります。
その点、PCを修理できるスキルを持っている人は限られているため、ライバルが少ないのがジャンクPC転売のメリットです。
特に、高度な修理技術があれば、ジャンク品の修理・転売を独占して行える可能性もあります。
たとえば、電機メーカーの修理を担当する部門で働いていた人やPC自作や電子工作の経験が豊富な人などは、ジャンクPC転売を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。
PCは流通量も多いため、常にジャンク品が出回っています。
秋葉原などが近くになくても、ハードオフなどの大手チェーン店でもジャンク品は扱っていますし、ヤフオク!、メルカリなどインターネット経由でも仕入れは可能です。
ライバルが少ないために、街の小さなリサイクルショップでも、お宝的なジャンクPCが長期間売れ残っていることもめずらしくありません。
利益率が高い
ジャンク品は格安で売られているため、修理すれば高く売りやすい製品といえます。
もし、捨て値で販売されているジャンクPCを仕入れて新品同様に修理できれば、かなりの利益が見込めるでしょう。
実際、安く仕入れて高く売れるジャンクPC転売は、利益率が他の転売に比べて高いことが知られています。
修理してから転売する場合の平均的な利益率は50~60%であり、これは他のビジネスと比べてもかなり高いといえるのです。
修理の必要がない稼働品であったとしても、平均して40%~50%の利益率を確保できます。
他のジャンルの転売でこれほど高い利益率を出すためには、一般的には、需要が高い家電などのヒット商品や、入手困難なスニーカーやブランド品、フィギュアなどのプレミア商品を扱うしかありません。
こうした商品を仕入れるのは難しいのに対し、ジャンクPCは比較にならないほど入手しやすいのがメリットです。
利益率が高い商品を継続的に扱えるのは、ジャンクPC転売の大きなメリットなのです。
上記のようにトレンドが出ていない商品においては、ジャンクPC転売に比べて、もっと利益率は低くなります。
ジャンルや商品によって差がありますが、よい転売ができたといえる場合でも、利益率は10~20%ほどです。
利益率が低くなるほど、目標利益を達成するためには大量に仕入れをする必要があります。
ジャンクPCは仕入れ価格も安いうえ利益率が高いため、少額の資金でもビジネスを始めやすいメリットもあるのです。
ジャンクPC転売のデメリット

ジャンクPC転売にはデメリットもあります。
ビジネスを始める前にチェックしておきましょう。
修理の専門知識が必要
PCの修理には、ある程度専門知識が必要になるため、参入障壁が高いのが1つ目のデメリットです。
素人では修理ができないような商品でも直せるスキルがないと、ジャンク品の修理・転売は難しいといえます。
故障の内容によっては「半田ごて」など専門道具を必要とする場合があるため、PCに少し詳しい程度ではビジネスとしては成り立たないのです。
そうかといって、ジャンクPC転売のために電気回路を基礎から学びはじめたり、半田づけの練習から始めたりするのは、あまりに非効率です。
基本的には、すでに修理の専門知識を多少なりとも持っていることが必要といえます。
ジャンク品は返品不可
基本的にジャンク品は返品不可です。
もともと動作の保証ができないものをジャンク品として販売することが多いため、当然といえます。
そのため、修理できなかった場合でも返品はできず、まるまる赤字になってしまうこともあるのです。
どのパーツを直せばPCが直るかなどについても、ショップは一切教えてくれません。
確実に修理できる保証はないため、仕入れ値がそのまま損失になるリスクは常にあるといえるでしょう。
修理できない製品が一定の割合で発生してしまうことを前提にして、仕入れをしていくことになります。
ジャンクPCの場合、パーツに分解して転売する方法もありますが、それでも当初の見込みより利益率が大幅に下がってしまうことは避けられません。
手間がかかる
ジャンク品の場合、ホコリをかぶっていたり汚れていたりしても、ショップでは通常、清掃されません。
そのため、修理に加えてクリーニングに想定以上の時間がかかる場合もあります。
価格のラベルをはがしたり、黄ばんだPCのケースを雑巾で拭いたり、エアーダスターを使ってホコリやゴミを飛ばしたりする作業が必要です。
また、こうした軽作業だけでなく、目立った傷や塗装が剥げたところを修繕するなども必要になるかもしれません。
予想外のところで手間がかかってしまうリスクが大きいのもジャンク品なのです。
ジャンクPCの仕入れのコツ

ここでは、ジャンクPC転売のビジネスを始めたい人に向けて、ジャンクPCの仕入れのコツを3つ紹介します。
稼働品を選ぶ
リサイクルショップのジャンク品コーナーには、まだ使える稼働品も置かれます。
よくあるケースは、新製品が入荷して型落ち品が出るなどです。
したがって、4月や10月など新製品が投入される時期などに、こうした製品が出回りやすい傾向があります。
また、傷などがついてしまったものを訳あり品として販売する場合もあります。
こうした製品は見た目が悪く売れにくいことや、内部にもダメージがあってすぐに故障してしまう恐れがあることから、格安で販売されることがあるのです。
稼働品の場合、修理せずそのまま転売することも可能です。
ただし、傷がある場合には、コンディションを明記して写真を添付するなどの配慮が必要です。
また、動作保証はできないなどの詳細も書いておきます。
後で購入者とトラブルにならないように、できるだけ正確にコンディションを伝えましょう。
動作確認されていない商品を選ぶ
ジャンク品には「動作未確認」などと書かれた商品も販売されています。
このような製品は動作不良ではなく、部品が欠品している、消耗品がない、などが理由で動作を確認できなかった可能性が高いのです。
たとえば、ノートPCのバッテリーがないなどが理由で動作確認ができない場合に、ジャンク品として格安で販売されます。
ショップは、消耗品をわざわざ購入してまで動作確認をしたくないため、稼働に問題がないであろう商品でも大幅に価格を下げて販売するのです。
故障ではないが動作確認されていない商品は、格安で質のよい物を仕入れられるチャンスです。
欠損部品を組み込むだけで正常に動く商品なら、修理の手間もかからないため、積極的に仕入れをするのにおすすめの商品です。
ただし、転売後にトラブルにならないように、欠損部品や消耗品を組み込んで入念に動作確認を行っておきましょう。
修理できそうな商品を選ぶ
高度な修理技術が必要な故障品を取り扱う自信がない場合は、一般の人でも修理できそうな商品を選びましょう。
部品の交換で直るような製品は、専門的な知識がなくても修理が可能です。
たとえば、液晶割れは、同一商品の液晶部品を入れ替えるだけで修理できる可能性があります。
ハードディスクやメモリの典型的な不具合の症状がみられるジャンクPCなら、パーツ交換だけで直ることもあります。
ハードウェアの不具合でなく、ソフトウェアの不具合が疑われる製品を選ぶのもよいでしょう。
PC起動後に動作が安定しないなら、WindowsなどOSを再インストールすれば正常に戻る場合があります。
注意が必要なのは、たとえ軽微な作業でも一度修理をした商品はメーカー保証の対象外になることです。
転売する際には、メーカー保証対象外ということを商品情報に明記しておきましょう。
ジャンクPCの修理と転売は利益率が高くおすすめ

PCについてある程度の専門知識は必要となるものの、安く仕入れて高く売れるチャンスが多いのがジャンクPC転売のメリットです。
他の転売ビジネスと比べて、平均的な利益率が50~60%と高く、ライバルが少ないのも魅力といえます。
故障していない動作未確認の製品や部品交換だけで済むような製品なら、手間もかからず効率的な転売が可能です。
もし、修理の知識を持っているなら、ジャンク品の修理と転売を始めてみてはどうでしょうか。