転売は法律違反になる場合とならない場合がある

転売行為には、さまざまな形がありますが、法律違反になるケースとそうでないケースとがあるため注意が必要です。
一般的に、インターネットオークションにおける個人の転売では、購入価格と販売価格の差額によって利益を出します。
しかし、使い方を間違えてしまった結果、違法性を問われて逮捕された事例というのは少なくありません。
まず、理解が必要な点として、転売行為そのものを問題視する風潮がありますが、転売自体を禁止する法律はありません。
ただし、利益目的で定期的な転売をする場合は、「古物許可証」という免許を取得する必要があります。
特に、せどりを行う場合は中古品や掘り出し物を取り扱うため、古物許可証がないと古物営業法に違反することになります。
しかし、古物許可証がなければ転売行為が一切できなくなるというわけではありません。
例えば、サイズが合わなくなった子供服などは、自分たちが使うものとして購入しており、利益目的で購入しているわけではないので、免許を取得していなくても転売することは可能です。
転売が法律違反になるケースとは?
転売が法律違反になるケースがいくつか存在します。
まず、転売ビジネスを行うこと自体は、基本的に法律違反ではありません。
古物商許可を取得しておけば商売として成立するため、転売を本格的にビジネスとして運営している人もたくさんいます。
しかし、古物商許可を取得しているからといっても全てのケースで安心というわけではありません。
扱う商品によっては、法律違反する可能性もあるので注意が必要です。
よくある法律違反行為は、「チケット転売(ダフ屋行為)」「偽ブランド品の販売」「脱税行為」「古物営業法違反」などが挙げられます。
チケット不正転売禁止法とは?

正しく転売を行っていくためにも「チケット不正転売禁止法」は押さえておきましょう。
「チケット不正転売禁止法」は、2018年12月8日に可決された法案で、正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案」です。
2019年6月14日から本格的に法律が施行されたため、チケットの不正転売は違法となり逮捕されるリスクが高くなりました。
もし、このルールを破って逮捕された場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいはその両方を科す」とされ、厳しい罰則を受けるため注意が必要です。
チケットの転売は、基本的に利益を得た時点で営利目的とみなされるため注意が必要です。
初めから行くつもりのないコンサートチケットを大量に購入して転売するのは明らかな違法行為なので絶対に行わないようにしましょう。
また、当初は観に行く予定で購入したコンサートチケットを、急なアクシデントで行けなくなったなどの理由で転売することは問題ありません。
しかし、定価以下で転売しないと違法行為として扱われるのでくれぐれも注意が必要です。
チケット不正転売禁止法で規制されるチケットの種類
チケット不正転売禁止法では、さまざまなルールが決められています。
スポーツ、音楽、映画、演劇、舞踏などの入場券やデジタルチケットは転売できないことになっていますが、それ以外のイベントなら問題ないというわけではありません。
美術館や展示会のチケットも同様に転売することはできないので気を付けておきましょう。
興行主が「興行主の同意なしに有償譲渡を禁止している」とチケットに明記してある場合ももちろん転売禁止です。
また、そのような明記があるチケットを転売で購入した場合、会場に持ち込んだとしても入場を断られるケースも増えているため、さらなるトラブルに発展する可能性も否めません。
日時指定や座席指定があるものや、入場資格者や購入者の氏名、連絡先を確認する処置をしているものは、入場の際に本人確認を求められます。
無責任なチケットの転売行為は購入者にも迷惑がかかることを自覚しておかなければなりません。
チケットや公式サイトに転売の禁止を表示してあるものも規制の対象となります。
チケットの転売は、反復継続して販売価格を超える価格でチケットの転売が行われていれば「不正転売」に該当し罰則の対象となるのです。
しかし、転売はインターネットオークションなどで誰でも気軽に行えます。
そのため、業者でなくとも個人が罰則を受けるケースが増えているため、一人ひとりが法律を遵守する高い意識を持つ必要があります。
チケット不正転売禁止法が適用されないチケットも?
チケットの転売は、厳しく規制されていますが、中には不正転売禁止法が適用されないものもあります。
例えば以下のようなチケットです。
・招待券などの無料チケット
・転売を禁止する旨が書かれていないチケット
・本人確認を行っていないチケット
・日時が指定されていないチケット
これらは、特定興行入場券には該当せず、チケット不正転売禁止法の対象にもなりません。
しかし、いくら対象外のチケットだからといっても、やみくもに転売を行うのはモラルが問われるため、自制心を持っておく必要があります。
例えば、招待券などの転売は本来無料であるにも関わらず購入者はお金を払うことになります。
また、転売を禁止する旨の記載がないチケットを転売しても、主催者にその利益が還元されることはありません。
チケットを転売商品として取り扱うのは法に触れるリスクも高く、それほど旨味もないので手を出さないほうが良いといえるでしょう。
しかし、不正転売禁止法の対象のチケットが必ずしも転売できないというわけではありません。
病気やけがなど、正当な理由で会場に行けなくなった場合は、正規のリセールサイトを利用することで転売することが可能になります。
正規のリセールサイトは、事前に興行主の同意を得ており、法律違反の心配もありません。
急病などで行けなくなった場合は、このようなサイトを利用すれば安心して転売することができるでしょう。
偽ブランド品の販売は商標権の侵害に!

ブランド品の偽物を海外などから輸入し、国内で売却した場合、ブランドの持つ商標を侵害したとして、商標権侵害にあたります。
ブランド品であることをうたっているのにも関わらず、それが偽物だった場合は法律違反となるので注意が必要です。
それを自覚していながら転売することはもちろんですが、知らずに偽ブランド品を転売してしまったとしても、場合によっては違法性を問われることがあります。
偽ブランド品をインターネットオークションやフリマアプリで販売したり、販売するために所持したりすることは厳禁です。
また、だまされて購入した偽ブランド品を偽ブランド品だと正直に伝えて転売することも違反行為となります。
インターネットオークションやフリマアプリで商品を仕入れている場合、気づかない間に偽物を購入しているかもしれません。
それを繰り返し転売しているようだと、いくら知らなかったと主張しても罪になる可能性がゼロになるわけではないので注意が必要です。
また、商標権などの知的財産法を侵害する物品を転売目的に国外から国内に持ち込むことは関税法で禁止されています。
商標権は、転売の有無に関わらず侵害する可能性があることを理解しておきましょう。
転売で気を付けたい脱税行為とは?

転売で得た利益は、額によっては納税義務が発生します。
継続的に転売で利益を得ている場合は納税しなければならない可能性が高いので、きちんと帳簿をつけながらいくら稼いだかを把握するようにしておきましょう。
納税を怠って逮捕された転売業者も少なくありません。
バレないだろうとタカをくくっていると、ある日突然申告漏れを指摘されることになるので気を付けておきましょう。
特に、副業で転売ビジネスを行っていると、注意が散漫になりがちです。
副業の所得が20万円を超える場合は、サラリーマンであっても確定申告が必要になります。
しかし、脱税行為の多くがこれを忘れていたり、申告していなかったりすることで引き起こされているため、しっかりとチェックしておきましょう。
また、2カ所以上から給与をもらっている人は、たとえ各々の会社で年末調整が行われていたとしても正しい納税額を算出することができないため、自分で確定申告をする必要があります。
さらに、給与収入が2000万円を超えると年末調整が行われません。
会社に全てを丸投げしていると、気づかない間に脱税してしまっている可能性があるため、自身の給与はしっかり管理しておきましょう。
所得は収入から経費を引くことで算出することができます。
転売の所得を計算する場合は、送料や手数料、仕入金額などを収入から差し引くことで算出できるので申告の際に生かしてください。
古物営業法違反とは?

古物営業法違反にも十分な配慮が必要です。新品・中古品に関わらず、営利目的で商品を仕入れて転売するのは、基本的に古物商に該当します。
古物商を行うには、届け出をして許可を得なければなりません。
無許可営業や名義貸しを行った場合は、罰金が課せられることになるので、古物許可証はきちんと取得しておきましょう。
自分で使う目的で購入したものでも、古くなって不要になることはありますね。
しかし、自分の不要なものを転売する場合は古物商に当てはまらないため許可は必要ありません。
許可が必要になるのは、継続的に利益を出すために古物を仕入れて転売するなど、古物商に該当するとみなされた場合のみです。
そのため、ビジネスとして転売を始めるのであれば、古物商許可を取得しておくのが賢明といえるでしょう。
取得しないまま転売ビジネスを運営すると古物営業法違反となるので、堂々と転売ビジネスを行うためにも許可は取得しておくことをおすすめします。
古物商許可が必要な転売にもかかわらず、許可を取得しないで転売行為を繰り返していた場合には「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられます。
中には古物商許可を持たずに転売している業者も少なくありません。
しかし、他の人が許可を得ていないからといって自分も大丈夫だと判断していると逮捕されてしまう可能性があるため、くれぐれも安易な考えを持つのはやめましょう。
古物商許可を取得する方法とは?
古物商許可を取得すること自体は難しくありません。
各都道府県の公安委員会に対して申請を行うだけで、誰でも簡単に取得することができます。
実際に、書類を提出するのは地域の警察署など、所轄の生活安全課となっているため、管轄の警察署へ電話予約をして出向くようにしましょう。
警察署で申請に必要な用紙一式を受け取ることになりますが、記入は指示に従って書き進めていくだけなので余計な心配を抱く必要はありません。
ただし、古物商許可証の発行費用に2万円程度かかるのであらかじめ費用は準備しておきましょう。
古物商許可証は、有効期限がないので更新料などを払う必要がありません。
一度取得しておけば生涯使うことができるため、早めに取得しておくことがおすすめです。
どうしても時間がとれず、警察署に出向くことができないのであれば、古物商許可の専門代行業者を利用するといいでしょう。
古物営業法に違反して重い罰則が科された場合は、5年間許可を取得することができなくなってしまいます。
忙しさにかまけて許可の申請を怠っていると後々面倒なことになってしまうため、転売ビジネスを始めるのであれば、まずは許可を取得することを心がけておきましょう。
古物商許可申請に必要な準備は?
古物商許可申請をする際は、いくつかの書類を準備しておかなければなりません。
#住民票(市区町村役場)
まず必要なものとして挙げられるのが住民票です。
必ず本籍地が記載されているものを準備するようにしましょう。
#市区町村発行の身分証明書(本籍地の市区町村役場)
市区町村発行の身分証明書も必要になります。
ここでいう身分証明証は運転免許証や保険証ではありません。
本籍地の市区町村で取得可能となっているので、各々の役所に問い合わせてみましょう。
#登記されていないことの証明書(法務局)
登記されていないことが証明できる書類も提出しなければなりません。
成年被後見人や被保佐人に該当しないことの証明書で代用しましょう。
各都道府県の法務局本局で申請すれば発行することができます。
#古物商の営業所として使用する土地や建物の登記簿謄本(法務局)
古物商の営業所として使用する土地や建物の登記簿謄本も必要になります。
土地の名義が本人あるいは親族である場合は特に提出を求められるので、概要する人はあらかじめ準備しておいたほうが良いでしょう。
以上のものがそろったら審査料と一緒に警察署に持参します。
審査料の支払いの際は都道府県の証紙が必要になりますが、ほとんどの場合警察署内で購入することが可能なので、現地で準備することをおすすめします。
書類の提出が完了すると申請手続きは終わりです。
一般的には、書類を提出後30~40日前後で許可の通知がきます。
転売をするならまず古物商許可を取得しよう!
転売には、さまざまな手法がありますが、違法行為になるものと違法行為にならないものがあることが理解できたのではないでしょうか。転売によって安定した利益を上げることを目指したい場合は、まずは古物商許可を取得しなければなりません。違法行為に注意しながら、より多くの利益を得られるように商品選びをしていくことが大切です。