副業としても本業としても誰もが挑戦できる物販方法として人気のせどり。
取り組もうとして情報を集め始めると必ずと言っていいほど「違法」、「違法性」といった言葉に出くわします。
さらに、ネット上にはさまざまな主張が繰り広げられているため、結局のところ、せどりは違法なのか違法ではないのか混乱する人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、せどりの違法性について法律の観点から正しい情報をまとめて解説します。
せどりの違法性に関する正しい認識とは?
せどりとは商品を仕入れて販売する物販で、転売とも呼ばれます。
れっきとしたビジネスですから当然、販売価格は仕入れ価格よりも高く、その差額で儲ける仕組みです。
せどりの違法性に関しては「基本的にせどりは自由にできるものの、例外的に一部禁止されている行為がある」というのが正しい認識となります。
世の中のルールでは部分的な禁止事項が設定されるのは一般的なことです。
例えば、株取引は自分の好きな銘柄を選んで自由に売買できますが、インサイダー取引など一部の行為は禁止されています。
せどりもこれと同じで、禁止事項に違反しない限り、活動自体に違法性はないということです。
そもそも、仮に全てのせどりが禁止行為とされてしまえば、世の中に商品が流通しなくなってしまいます。
安く仕入れて高く売ることができないのなら、家電量販店などがメーカーから家電を仕入れて店舗で販売するのも違法行為と見なされてしまうからです。
そうなると、日常生活が成り立たなくなってしまうでしょう。
違法せどりとなる代表的なパターン
せどりは正しい知識さえしっかり持って取り組めば、立派なビジネスとして成立します。
そこで、ここからは、その正しい知識を持つために違法せどりとなる代表的なパターンについて見ていきましょう。
パターン1:古物商許可証の未取得
せどりや転売に挑戦するなら、大前提として「古物商許可証」の存在を知っておかなければなりません。
未取得のままだとトラブルに巻き込まれてしまうかもしれないので、まずはそこから解説していきます。
古物商許可証とは?
古物商許可証とは「古物(こぶつ)」をビジネスとして売買する場合に必要とされる免許の一種です。
新品や未使用品でも、せどり目的で購入した時点で古物扱いとなります。
例えば、ファッション好きな人が古着を仕入れて転売するとしましょう。
この場合、古着は仕入れる前から中古品なので、古物だと簡単に判断できます。
注意が必要なのは新品のスニーカーを購入して転売するようなケースです。
たとえ転売商品が新品であっても、自分が店舗で買った後は未使用品として扱われます。
そして、未使用品は古物に該当するのが古物営業法のルールです。
つまり、せどりをするなら「古物商許可証」が必須ということになります。
古物商許可証は営業所の住所を管轄する警察署で手続き可能です。
営業所といっても、個人で活動する場合は自宅から一番近い警察署で問題ありません。
申請書や身分証明書などの必要書類を提出し、手数料1万9000円を支払って取得します。
申請内容に審査が入るため、結果が出るまでに数週間程度かかるのが一般的です。
せどりに資格は必要?古物商許可証の説明と取得までの流について
違反した場合の罰則
もし、古物商許可証を取得せずにせどりや転売を行った場合は古物営業法違反で処罰される可能性があります。
罰則は3年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ただし、一般の人が自分の不要品をフリマアプリなどに出品する場合は、中古品・未使用品にかかわらず、古物商許可証は不要となります。
あくまでビジネスとして取り組む場合に適用されるという意味です。
手続きを面倒がって未取得のまませどりをすると、後々大きな後悔をする羽目になるかもしれません。
ルールとして決められている以上、必要な手続きは事前にしっかり行っておくことが大切です。
パターン2:チケットせどり
ここからは、古物商許可証を取得していたとしても違法せどりとなるパターンを解説していきます。
まずは、チケットせどりからです。チケットせどりとは入場券や観覧券、乗車券などのチケット類を転売することで、違法せどりの代表格として知られています。
例えば、人気アーティストのライブチケットを買い占めて高額転売するといった、いわゆるダフ屋行為がわかりやすい例です。
以前はチケット転売サイトとして人気のあった「チケットキャンプ」というサービスも現在は運営を終了しています。
アーティストによってはライブ会場の入り口で本人確認をするなど対策も広まっているため、違法性を認識している人も多いのではないでしょうか?
チケットせどりを行った場合はチケット不正転売禁止法違反となります。
罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、場合によってはそれら両方が科せられる可能性もゼロではありません。
この法律が施行されるまでは各都道府県が迷惑防止条例で対応してきましたが、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定してチケットせどりへの対策が求められたため、2019年6月に国が新しい法律を施行しました。
そのため、チケット類のせどりで儲けを出すことは事実上、不可能です。
パターン3:偽ブランド品のせどり
商標登録された、いわゆるブランド品の偽物をせどりで扱うのも違法行為となります。
商標とは商品の提供元が使用している名前やロゴのことです。
例えば、スポーツブランドとして有名な「NIKE」はナイキという名前や各種ロゴマークを商標として登録しています。
偽ブランド品のせどりが違法となるのは、正規ブランドのイメージを傷つけるためです。
偽物が数多く出回ることで、正規品までもが「偽物なのでは?」と疑われてしまうとブランドとしての価値がどんどん下がってしまいます。
そのため、偽物をせどりで扱った場合、厳しく処罰されるのが一般的です。
具体的に問われるのは商標法と刑法に対する違反でしょう。
商標法では偽ブランド品を転売する行為に10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という罰則を規定しています。
また、場合によっては出品しただけで5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられる可能性もあり得ます。
法的には懲役と罰金の両方を科すことも可能です。
さらに、偽物を本物と偽って転売する行為は刑法の詐欺罪に該当します。
罰則は10年以下の懲役なので、商標法よりも厳しい処罰です。
正規品だと確信の持てないブランド品はせどりでは扱わないようにしましょう。
パターン4:デジタルコンテンツのコピーせどり
デジタルコンテンツのコピー品もせどりで扱うことはできません。
デジタルコンテンツとは音楽や映像などをデジタル化した商品のことで、基本的に私的利用以外の目的でコピーするのは禁止されています。
例えば、人気漫画を無料で読める海賊版サイトとして知られていた「漫画村」の運営者が逮捕された事件は記憶に新しい人も多いのではないでしょうか?
このように、本来は有料で購入すべき商品を無断でデジタル化して公開したり、販売したりする行為は、クリエイターの著作権を侵害するため、違法です。
著作権法に違反した場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
さらに、著作権法とは別に不正競争防止法違反の罪に問われることもあり得るでしょう。
不正競争防止法とは、不正行為によって市場参加者(クリエイターや配給会社など)の健全な競争を損なうのを取り締まる法律です。
コピーコンテンツが安価で出回ると正規ルートで販売している作家やアーティスト、彼らの所属事務所などが正当に儲けることができません。
結果として、作品の制作を続けることが難しくなるケースも出てきます。
安易な気持ちでコピー品に手を出すのは非常に危険だと認識しておくことが大切です。
パターン5:販売権のない商品のせどり
ビジネスとして販売するのに事前の許可が必要な商品も、販売権なしに転売することは禁止されています。
これは、古物商許可証とは別の話です。
例えば、酒やたばこの販売が代表的でしょう。
酒類を販売するには最寄りの税務署に販売業免許の申請をしなければなりません。
また、たばこの場合は財務大臣からの小売販売業許可が必要です。
正しい手続きを行えば、酒やたばこを販売するのは不可能ではありませんが、せどりや転売ではそこまで手を出さないというのが一般的な考え方になっています。
というのも、申請自体に手間がかかることが多く、酒税・たばこ税の問題も絡むため、せどりで扱うには荷が重すぎるからです。
仮に、酒類を許可なく販売した場合、酒税法違反となり1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
たばこであれば、たばこ事業法違反で30万円以下の罰金です。
せどりで儲けを出すために扱うにはリスクが高すぎると考えておいて差し支えありません。
ちなみに、電子タバコや加熱式タバコは法的な規制が追いついておらず、せどりで扱っている人もいるのが現状です。
とはいえ、世界的な動きを見る限り規制は厳しくなる一方なので、扱う場合は最新情報を常に確認した方がよいでしょう。
せどらーの恐怖!アカウント停止について
これまで紹介してきたような違法せどりを行えば、当然、警察に逮捕される可能性も出てきますが、そこまで行かなくともせどりができなくなるパターンは存在します。
それが主要なプラットフォームでの「アカウント停止」です。
出品先のアカウントが停止されてしまうと、商品を販売することができなくなります。
つまり、せどらー(せどりをする人)にとってアカウント停止とは廃業と同等の意味を持つということです。
特に、Amazon、ヤフオク、メルカリといった巨大マーケットから締め出された場合は痛手が大きくなります。
より小さい規模のプラットフォームに移動したとしても、販売ペースが急激に落ちて利益が出にくくなるからです。
出品者が違法行為を行っていないかどうかは各運営会社が独自に調査しています。
利用する際は違法せどりをしないのはもちろん、利用規約もよく確認するのが賢明です。
せどりで法的トラブルを避けるポイント
せっかく自分でビジネスを始めても、法的なトラブルに巻き込まれてしまうと、身の回りに不都合な影響が出てきます。
そこで最後に、そうした問題に関わらないためのポイントを確認しておきましょう。
違法せどりに手を出さない
一般的に違法せどりには利益率が高いという特徴があります。
簡単に儲けられる可能性があるため、誘惑されてしまう人もゼロではありません。
しかし、いくら儲かったとしても逮捕されるようなことがあれば、人生そのものが崩壊することもあり得ます。
大前提として、この記事で紹介したような違法せどりは決して行わないことが大切です。
わざわざ違法行為に手を出さなくても利益を出す方法はいくらでもあるので、正しい方法でビジネスを成功させましょう。
脱税しない
せどりで一定以上の利益が出るようになったら、所得によっては確定申告が必要です。
この手続きをしないと脱税という違法行為をしていると見なされるので注意しなければなりません。
具体的には、副業の場合は年間で20万円、本業の場合は年間で38万円を超える所得が発生したら、確定申告が必要となります。
所得とは、収入から経費を差し引いた後に残った金額のことです。例えば、せどりの売上が年間100万円あったとしましょう。
そこから仕入れや販売などにかかった経費が全部で75万円であれば、100万円から75万円を引いた25万円が所得です。
ちなみに、個人の所得は申告しなければバレないと考える人もいますが、それは期待できない幻想だと考えておきましょう。
取引の履歴はさまざまなデータで残るため、お金の流れを完全に隠すことはほぼ不可能です。
日頃から収入と支出はしっかり管理しおくことをおすすめします。
正しい情報を得る
この記事では、違法せどりとなる主なパターンを法律の話を交えながら解説してきました。
しかし、せどりや転売の正しいやり方は国の規制や出品先のルールに左右される以上、どんどん更新されていきます。
そのため、トラブルを回避しようと思ったら常に最新で信頼性の高い情報を得る努力が必要です。
ルールというのは基本的に「知らなかった」という言い訳が通用する世界ではありません。
自分の身を守りたければ、情報収集は重視すべきでしょう。
とはいえ、自力で正しい情報を得る方法に自信がない人もいるかもしれません。
その場合は、転売やせどりに詳しい人のブログやSNSを参考にするのも手段の一つです。
せどり自体に違法性はない!ルールを守って稼ごう
せどりは許可証が必要であったり、扱い禁止の商品が存在したりはするものの、ルールを守れば、しっかり稼げる正当なビジネスです。
実際に年商数千万円クラスのプレーヤーへと成長する人も出ています。
副業でも本業でも、自分で稼ぐ力をつけたい人は挑戦すると人生が変わるかもしれません。
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