古物商許可証について
この段落では、古物商許可証について解説します。
この制度の概要と許可がないときの罰則、そして古物商許可が必要ないケースについて見てみましょう。
概要
せどりや転売を行う場合、古物営業法上の定義に当てはまる行為を行うのであれば古物商許可証の取得が必須になります。
取締を管轄する官庁は警察署なので、古物営業法で規制された行為を無許可で行っていると警察によって検挙されます。
なぜ警察なのかというと、この法律には盗品の流通を防止したり、早期に発見したりするという目的があるためです。
そこで、安全かつ適正にせどりや転売を行うためには、古物営業法で規定される「古物」という概念を正しく理解しておく必要があります。
ある商品を小売店舗から購入して、それを販売する場合は基本的に「古物」扱いとなります。
その商品が新古品・未使用品であっても古物営業法上は「古物」になるのです。
目安は「販売目的で購入」したかどうかです。
このような「古物」を扱う業者を「古物商」とよびます。
業者としての古物商は「業務」として古物を扱うのですが、この「業務」とは、継続的な利益追求を目的にする行為のことです。
実際に、中古車販売店やリサイクルショップなどは法的には「古物商」にあたるため、古物商許可証を取得して業務を行っています。
なお、古物営業法上は個人間売買であるかどうかは関係ありません。
そのため、フリマアプリを使って出品する行為であっても、ここで述べた条件を満たしていれば違法になるリスクがあることに注意しましょう。
古物商許可証がないときの罰則
せどりや転売を行うときに古物商許可証を取得せず、許可がない状態での営業行為とみなされます。
これは法的には「無許可営業」とよび違法行為として罰則の対象になるのです。
具体的には、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
さらに、古物営業法違反で処罰されると、以後5年間は古物商許可の取得ができなくなります。
後で詳しく述べますが、古物商許可証の取得はそれほど難しいものではありません。
取得の手間や手数料と処罰されたときのリスクを比較すると、許可を取っておいたほうが断然有利といえます。
ですから、せどりや転売を、規模に関わらず継続的なビジネスとして行うのであれば、古物商許可は必ず取得しておきましょう。
古物商許可証が必要ない場合
古物商が扱うと「古物」にあたるような物品でも、古物営業法の規制対象にならない場合があります。
以下で代表的な4つの例を見てみましょう。
1つ目は、自分で使用する目的で購入した物品を不要になったために転売する場合です。
これは、定義からすると正確には「古物」に該当するのですが、法律の運用上は単なる「不用品」扱いになるため古物商許可証は不要なのです。
したがって、フリマアプリやオークションで出品しても問題はありません。
また、自分で購入していなくても「誰かから無償で譲り受けたもの」も同じ扱いになるため許可は不要です。
2つ目は、無償または手数料を相手から取って古物を回収する場合です。
これは、古物営業法の目的を考えると、盗品であれば無償や手数料を払って手放す可能性が低いことから適用対象外になると考えるとわかりやすいでしょう。
逆に、相手に料金を支払ったり、物品と交換して古物を引き取ったりする場合は売主に利益が発生するため古物営業法の規制対象となります。
ただし、相手から料金を取って家電などリサイクルできる資源になる可能性があるものを回収するときは注意が必要です。
この行為は古物営業法の規制対象外ですが、「廃棄物処理運搬業」という業務に当たるため、「廃棄物処理運搬業許可」という別の許可が必要になります。
3つ目は、自分が売ったものを取り戻してから売る場合です。
売主という立場で過去に商品を販売していて、その買い主から買い戻すことには古物商許可は不要です。
また、その買い戻した古物を転売する行為も許可不要です。
ただし、その商品が転売されていたものをさらに買い戻すときには許可が必要になります。
たとえば、売主Cが買い主Aに商品を販売したところ、その買い主Aは別の買い主Bにその商品を転売したとします。
この場合、売主Cが買い主Aから買い戻す行為は許可不要で、買い主Bから買い戻すには許可が必要になるのです。
4つ目は、海外で購入したものを国内で売る場合です。
雑貨などを販売目的で外国から仕入れてきて、国内で販売しても古物商許可はいりません。
ただし、3つ目の例と同じように、他の業者が外国で仕入れてきた物品を買い取って転売する場合には古物商許可が必要になります。
理由は、国内の盗品が混在する可能性があるからです。
古物許可証を取得するために必ず必要な書類について
この段落では、古物許可証を取得するために必ず必要な書類について解説します。
具体的には、住民票、身分証明証、登記関連の証明書、略歴書、誓約書などです。
住民票
住民票は、申請者の住所を証明するために用いられます。
役所の窓口で申請する際には、本籍が記載されていること、また、個人番号の記載がないことを確認するようにしましょう。
身分証明書
古物商許可証申請の際に添付する身分証明書とは、本籍のある市区町村に発行してもらう書類のことです。
申請者が禁治産者(被後見人)、準禁治産者(被保佐人)、破産者では「ない」ことを証明するための書類になります。
なお、一般的な意味での身分証明書としては、国民健康保険証や運転免許証が有効ですが、古物商許可証申請では無効になることに注意しましょう。
このような書類のコピーを勘違いして提出しても、再提出となり申請料を新たに払わなければならなくなることがあります。
登記されていないことの証明書
登記にもいろいろありますが、古物商許可証申請の際に提出が必要となるのは、成年被後見人・被保佐人に登記されていないことを証明する書類になります。
つまり、法律用語でいうところの契約行為が無効になる「無能力者」ではないことを証明する必要があるのです。
この証明書は東京であれば東京法務局、地方であれば全国の法務局・地方法務局の戸籍課窓口で申請ができます。
基本的には窓口に足を運んで申請する必要がありますが、東京法務局後見登録課のみ郵送申請が可能となっています。
実質的な内容は身分証明書の記載事項とほぼ同じともいえますが、平成12年の後見登録制度の法改正により、2つの証明書の提出が義務付けられるようになりました。
略歴書
略歴書とは、直近の5年間の略歴が記載された書類のことです。
記述の際には定形表現に気をつける必要があります。
たとえば、経歴の変更が5年以上前からない場合は「以後変更ない」または「現在に至る」というように記載する必要があるのです。
誓約書
誓約書とは、古物営業法第4条に示された「許可の基準」について欠格事由に該当しないことを誓約する書類になります。
欠格事由とは、該当すると申請が許可されない条件のことです。
具体的には9つの項目がありますが、以下で主なものを紹介します。
まずは「成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者」であることです。
これは身分証明書などで証明されます。
次に、欠格事由として特に重視されるのが「犯罪者」であることです。
この場合の犯罪者の定義は、禁錮以上の刑に処せられた者と刑の執行が終わってから5年が経過しない者を指します。
これには、道路交通法違反での刑や、執行猶予中の者も含みます。
また、恩赦や減刑や時効などによって「刑の執行を受けなくなった」場合も、5年を経過しない間は古物営業法では犯罪者とみなします。
なお、刑罰の中でも比較的軽いといわれる罰金刑であっても、この法律の目的から考慮して悪質なものは犯罪者扱いです。
たとえば、古物営業法違反の罰金刑や、窃盗、背任、遺失物横領、盗品関連の罪での罰金刑などが該当します。
これらも、刑の確定後5年を経過するまでは犯罪者とされます。
該当者のみ必要になる書類について
古物商許可の申請者の中で、該当者のみ必要になる書類について説明します。
具体的には、営業所に関する書類と、商用のウェブサイトに関する書類です。
賃貸借契約書のコピー
賃貸借契約書のコピーを提出する目的は、営業場所や市場の場所が正しく確保されているかを確認するためです。
自社ビルや自宅などの自己所有物件での営業であれば問題ないのですが、賃貸物件や家族名義の物件で古物商営業許可を取ろうとする場合には、所有者の同意が必要になります。
つまり、所有者の側からすれば、自分の所有物件を古物営業の営業所として他人が利用することに同意しているかどうかの証明が必要なのです。
なお、居住用として賃貸契約ををしている場所で営業許可申請をしても受け付けてもらえません。
その場合は、賃貸人としての大家さんや管理会社に事情を説明し、賃貸契約書の書き換えをしてもらうか、使用許諾書を書いてもらう必要があります。
URLを届け出る場合の必要書類
買取・販売で個人サイトを使用する場合、契約中のサーバー会社の管理画面、サポートを経由してWhois情報を更新する必要があります。
Whoisはフーイズと読み、Whois情報とはインターネット上に公開されているドメイン登録情報のことです。
この情報には登録社の名前や住所などの連絡先、登録日や期間などの情報を含んでおり、第三者の閲覧が可能となっています。
なお、無料ブログサイトでの申請は受け付けておらず、独自ドメインのサイトが必要になります。
独自のサイトを持っていない場合でインターネットでの取引をするのであれば、AmazonなどのECサイトか、ヤフオクなどのオークションサイトに出品するケースが多いでしょう。
各サイトにより古物商許可申請時に提出が必要なURLの発行手続きが異なるため、カスタマーサポートに連絡して対応を依頼することになります。
古物商許可証発行までの流れについて
この段落では、古物商許可証発行までの流れについて解説します。
おおまかな流れとしては、申請先を確認して、所轄の警察署に出向き、必要な書類のフォーマット等を収集し、記入して提出することになります。
申請先を確認する
古物商許可証の申請では、申請先と提出先が異なります。
申請は各都道府県の公安委員会に行う必要がありますが、その申請書の提出先は所轄の警察署内の生活安全課です。
注意点は「所轄の」というところで、営業所の近くにある警察署とは限らず、都道府県の警察本部まで出向く必要があります。
警察本部に直接電話をして予約してから行きましょう。
警察署に行く
警察署の担当課に着いたら、担当者から申請に必要な用紙を交付してもらえます。
公式にはインターネットのサイトからダウンロードできることにはなっていますが、実際には申請時に必要な書類すべてがダウンロードに対応していないことがあります。
また、申請時期によっては、提出書類の組み合わせが変更になることもあるため、初回は詳細を確認するために直接出向いた方がよいでしょう。
上手くいけば、担当者によっては書式や記載のコツについてアドバイスをもらえることもあります。
必要書類を集める
交付された申請用紙とともに、上記で説明した必要書類を準備したり、記入したりする作業を行います。
記載事項は記入漏れがないようにすべて正確に記入し、慎重に間違いがないか確認しましょう。
都道府県によっては、同じ書類について複数の部数の提出が必要になる場合があるので、警察署に出向いた際に、部数についても確認しておくことをおすすめします。
書類をすべて提出する
すべての書類が準備できたら、警察署に電話を入れて提出する旨を伝えて予約を入れましょう。
申請にかかる費用としては、審査料の1万9000円が必要です。
なお、提出書類とともに訂正用の印鑑も持って警察署に向かいます。
なぜなら、書類の記載事項についてその場で訂正するように要求されることがあるからです。
書類を提出してしまえば、後は約1カ月後の許可通知がくるまで待つだけです。
せどりをやるなら古物商許可証の資格があると安心!
せどりや転売の際には、古物営業法の規制に気をつける必要がありますが、古物商許可証を取得してしまえば安心です。
許可証取得には、警察署に出向いたり、書類を準備したりする面倒はありますがスムーズにせどりや転売を行うためには取得しておいたほうがよいでしょう。
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