OEM生産とは
いまや多くの企業で導入されているOEM。自社ブランドを立ち上げたい人は、OEM生産がどのようなものなのか、理解しておく必要があります。
OEMについては、漠然とした理解では意味を取り違えてしまうことも。特に中国輸入を実践する場合は、注意した方がよいでしょう。
まずはOEM生産の概要について、解説していきます。
- Original Equipment Manufacturingの略
- 身近なOEMの例
- 中国輸入で使われるOEMの意味
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Original Equipment Manufacturingの略
OEMとは、Original Equipment Manufacturing、または Original Equipment Manufacturerの略語で、委託者のブランドで製品を生産すること、または生産するメーカのことです。日本では「相手先ブランド名製造」や「納入先商標による受託製造」などと訳されます。
これは一般的な用語となります。
このままの言葉であれば、
「相手先ブランド名製造」=「私があなたのブランド名の商品を製造します」
「納入先商標による受託製造」=「あなたのブランド名の商品の製造を請け負います」となります。
身近なOEMの例
OEMの歴史は割と新しくて、1950年代の頃アメリカで始まりました。
日本国内でいえば、日本のメーカー同士、例えば自動車業界には、OEMモデルという車種が存在します。
軽自動車業界では特に盛んで、スズキの有名な軽自動車といえばワゴンRですが、中身はほとんど同じで、 SUZUKIのエンブレムだけ変えたものが、マツダからフレア(旧AZワゴン)という車名で販売されています。
OEMモデルをなぜ作るかというと、いろいろな理由がありますが、マツダ(供給先)としては、莫大な開発費用をかけなくても、自社ブランドの軽自動車が手に入るというメリットがあります。
逆にスズキからすれば、自社で製造する軽自動車の販売ルートが増えることと、マツダからのロイヤリティ(契約料)も入るなど、お互いにメリットがあります。
以上のような理由から、特に軽自動車では盛んにOEMモデルが販売されています。
一般的に訳されてることは、日本がもとより製造国なのでライバル会社の製品を日本で製品を製造することを意味しています。
中国輸入で使われるOEMの意味
しかし、中国輸入を実践している人に置き換えるとOEM製造はちょっと目線が変わってきます。
「相手先ブランド名製造」=「中国の工場が私のブランド名の商品を製造します」
「納入先商標による受託製造」=「私のブランド名の商品を中国の工場が製造します」となります。
中国輸入、中国で自社製品を製造させることはじつはOEM生産と言わない場合があります。OEM生産と思っていても実はODM生産であったということは多々あります。
なお、OEM生産を自社の事業に導入する場合、商材やカテゴリの選定は非常に重要な項目です。
以下の動画で解説されているような事前の調査をしっかり行い、その分野への参入にどれほどの勝算が見込めるのか、正確に把握しておきましょう。ODM生産とは
ODMで行われることを、OEMと認識してしまうこともありますが、両者には明確な違いがあります。
依頼先選定や、事業計画の策定にも大きく関わってくる事柄なので、自社ブランドを立ち上げたい人は、ODMの内容について正しく理解しておきましょう。
- ODMは何の略?
- ODMはOEMの進化系
- 中国輸入におけるODM生産
ODM生産の内容について詳しく説明します。
ODMは何の略?
ODMとは、Original Design Manufacturingの略語です。委託者のブランドとして製品を開発することをいいます。
ODMはOEMの進化系
以下、独立行政法人日本貿易振興機構 JETROより引用
1. ODM生産
ODM生産方式は、主として台湾や中国などの企業に多く見られ、製造する製品の設計から製品開発までを受託者が行います。パソコン業界および携帯電話業界で幅広く採用されています。受託者のなかには、マーケティングまで行い、さらに物流や販売まで複数のブランドの製品を一貫して提供する企業もあります。これは、OEMの形態が進化した結果でもあります。さらに、受託者が製品を企画、設計、技術情報を依頼者であるパソコンメーカーへオファーする場合もあります。そのオファーに対してパソコンメーカーから修正要求があった場合も、基本的には受託者の製品企画と基本設計で製造まで全てを請け負うのが特徴です。
2. ODMの形態ODMの受託者の中には、委託者のブランドの製品を製造するほか自社ブランドでもパソコンなどの製品を販売するとともに、自社ブランドのパソコン部品を他のパソコンメーカーや、ODM・OEMメーカへ販売する企業もあります。ODMにおいては、受託者の技術レベルが委託者と同水準、またはそれ以上の高い水準にあることが基本的な条件です。
ここをもう少し噛み砕いて説明しますと、ODMとは、OEMの進化系であるということです。OEMは同業のライバル同士に当たる企業が、お互いの販路や技術を提携しあってさらにお互いのマーケットを共有するという感じですが、ODMはさらに進化しました。
中国輸入におけるODM生産
中国輸入に当てはめますと、日本でビジネスをしている企業が中国の生産工場に商品開発を依頼する。中国の生産工場はすでに生産する商品を持っていて、すでに販売活動も行なっている。その商品を日本の企業にオファーをしてくる。
日本の企業はオファーを受けたり、中国工場にさらに注文をつけたりして、日本で販売する自社製品を開発していく、ということになります。
たとえば、私はすでに自転車の販売活動をしてるとします。この自転車をもっと軽くて乗りごごちの良いものを探していたとします。
中国の生産メーカを見つけてそこに私のブランド名をつけてさらに自転車を軽くするために、全身をアルミで生産してほしい、また、座りごごちの良い椅子もつけてほしい、と依頼します。
すると、中国メーカーは、私たちは技術が高いのでアルミではなく、カーボン素材で作りませんか?とオファーしてきます。
そして、カーボン素材の自転車を生産してもらい、輸入して日本で販売をします。
実は、中国の生産工場は、そのカーボン素材の自転車を独自で中国やその他の地域でも販売活動をしている。これがODM生産となります。
(関連)中国輸入の関税がかからないのはいくらまで?関税や通関手数料の計算方法
OEM生産・ODM生産の違い(定義)
OEMとODMの違いについて、詳しく解説します。
- OEM商品とは
- ODM商品とは
それぞれ詳しく見ていきましょう。
OEM商品とは
依頼されたものを生産するだけ、もしくは、すでに存在するものを依頼者のブランドをつけるだけです。
ODM商品とは
工場はすでに製品を持っているのですが、依頼者から受けたデザイン変更や性能の変更も受け付けて、依頼者のブランド名の商品を開発します。
また、生産工場は依頼者に対してだけでなく、独自で販売活動も行なっていて、マーケティングもオファーします。
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OEMとODMの区別は曖昧になってきている
実際には内容に違いのあるOEMとODMですが、現状として両者の区別は曖昧になりつつあります。
たしかに、自社の商品の生産を他社へ依頼するという点では、重なる部分はあります。とはいえ、それぞれの意味を混同していると、事業計画の策定時や、他社との交渉の際などに円滑に事が進まない可能性も。
自社ブランドの立ち上げにOEMやODMを検討している場合は、両者のニュアンスや、違いについてしっかりと理解し、自分が目指している事業内容に必要なのはどちらなのか、正しく検討する必要があるでしょう。
OEM生産の大まかな流れ
中国輸入を例にとりながらOEM生産の流れを説明します。
- 打ち合わせ
- 企画の提案
- 見積もり計算
- 発注
- 生産・納品
順に見ていきましょう。
打ち合わせ
例)日本からメーカーに対してロゴマークをつけてほしいと依頼する。
企画の提案
例)日本からマーケットにニーズに対してパッケージなどを変更する。
見積もり計算
例)中国からパッケージ変更も含めて見積もりが日本に届く。最小発注量(MOQ、minimum order quantity)も確認。
発注
例)日本から発注依頼をして送金する。
生産・納品
例)中国のメーカーは生産を開始して、完成次第日本に発送する、
ODM生産の大まかな流れ
続いて、ODM生産の流れを説明していきます。
- 打ち合わせ
- 企画の提案
- 見積もり計算
- 発注
- 生産・納品
順に見ていきましょう。
打ち合わせ
例)日本企業は中国で生産可能なメーカーを探して技術的なことなどを確認する。
企画の提案
例)中国メーカーから生産の可否のオファーがある。
見積もり計算
例)日本企業に依頼された内容をまとめて技術料金も含め見積もりを出す。
発注
例)日本企業から生産依頼をかけて、初めはサンプルの生産依頼をする。確認後、本格的量産に入る。
生産・納品
例)生産終了後、日本企業も再度確認後、日本に輸送する。
OEM生産の委託側のメリット
OEM生産には、数多くのメリットがあり、効果的に導入すれば、コスト面や生産スピードなど、事業活性化に大きな成果が期待できます。
- 開発管理コストを節約できる
- 生産量を調整しやすい
- 需要にすぐ対応できる
まずはそのメリットについて理解し、自社の事業に有効かどうか、検討してみましょう。
開発管理コストを節約できる
もとより生産工場が中国に存在するので、日本企業は生産工場を設立しなくても良くなります。また、デザインもすでに決まっていて自社のロゴをつけるだけなので商品開発費用が必要ないのは大きなメリットです。
生産量を調整しやすい
中国メーカーが随時生産している商品なので、日本企業のオリジナルデザインではないため、少量のオーダーが可能です。パケージの変更だけであれば、製品本体のみ在庫品を少量輸入してパッケージを日本で製作できます。
需要にすぐ対応できる
すでに中国メーカーでも決まっているデザインや機能なので、納品までが早く、日本側での人気の時期を逃さないのが強みになります。
OEM生産の委託側のデメリット
メリットが多いOEMではありますが、そこにはブランド品質や生産力に関わる落とし穴もあり、注意が必要です。
ここでは下記のようなOEM生産の委託側のデメリットについて解説します。
- ライバル企業に真似されやすい
- 生産に関するノウハウが蓄積されない
短絡的な発想でOEMを導入し、後々後悔することのないよう、OEMの負の側面についても理解しておきましょう。
ライバル企業に真似されやすい
OEM生産を導入し、商品販売が成功を収めた場合、競合他社が同様の商品で対抗してくる可能性があります。
そのようなとき、OEMで行っている内容が、ロゴの印刷やパッケージの変更といった比較的単純なものである場合、ライバル企業は容易に商品形態、生産まで模倣ができてしまいます。
類似品が出回った場合、当然自社の売上にも影響が出てきます。OEM生産を利用した商品の導入は、ライバル企業からの影響を受けやすい側面があることを、認識しておきましょう。
生産に関するノウハウが蓄積されない
企業が自社で商品の開発、生産を行えば、それに関わるスキルやノウハウが会社に蓄積されていき、今後のより高品質な製品開発や、生産技術の向上に向けての糧となる可能性があります。
しかしOEMは生産を他社に委託するものなので、生産スキルを向上させるという点で、自社生産に対して劣るのが実状です。
長い目で考えた場合、企業の生産スキルの成長という面では、OEMの貢献度は低いと言わざるを得ません。OEMを導入する場合は、そういった広い視野での検討が必要になります。
OEMやODMによく似たPBとは?
OEMやODMとよく似ているものとして、プライベートブランド、いわゆるPBが挙げられます。
PBは通常メーカーが行う商品企画、開発、製造にも小売業者が携わり、独自のアイディアを込めたブランド商品を生産、販売していくことを指します。
そうすることで、例えば自社が重要視する顧客のニーズを反映した商品などが生産できます。
生産を委託するOEMやODMと比較すると、在庫管理の難しさや販売不振時のリスクなどがありますが、より自社のこだわりや狙いが生かされた商品開発、販売がPBでは可能になるのです。
委託会社を選ぶポイント
OEMとODMのどちらにも言えることですが、作りたい商品が得意なメーカーになります。このメーカーという部分が大切です。
特に中国の会社は、メーカーと名乗るのですが、実は、工場に投資をしている商社だったりします。また、工場に直接依頼したとしても、提携工場に回してしまうことがあります。そうすると、生産コストが上がってしまいます。
技術・対応が信頼できるメーカーを選びましょう。見分け方としては、不良品が出た時の対応を先に確認しましょう。
例えば、不良品が出れば中国に送り返してくれれば、良品と交換します。
こう言われることが多いのですが、これはかなり不可能に近いです。この考えは、中国国内で不良品が出た時の対応になりますので、輸出に慣れていないメーカーかもしれません。
理由としては、日本から自社ロゴがついた不良品を中国に輸送すると、ブランド品の輸出となります。
こうなると、中国側では輸入品扱いなので、中国で関税が発生します。
関税を払って、さらに良品と交換するコストを考えれば、基本的に不可能かと思います。
できれば、不良品の写真や動画を撮って、メールで送信する、その際にどのような不良が何台発生したなどのレポートで納得してくれるメーカーが良いと思います。
そうすることによって、長期的な関係が望めると思います。同じ商品を再発注するとき、その度にメーカを変えていては時間の無駄になります。
中国には同じ商品を生産している工場は複数存在します。これはコピーということではなく、部品の仕入れ元があり、工場やメーカーと呼ばれている会社は、部品の仕入れを行い組み立てしている会社を工場やメーカーと呼びます。
なので、組み立ての技術や検品体制などが良い会社は不良率は下がりますし、不良が出た場合、部品の不具合の場合は、部品の仕入れ元を変えてもらったりします。
長期的に付き合っていけば、そのような改善対策もしてくれますので、自社の利益確保のためにも、是非中国メーカーと長期的に関係を築いて意見交換してください。
OEMとODMの違いを理解してじっくり検討しよう
本記事では、中国輸入でも頻繁に耳にするOEMとODMの違いについて解説してきました。
いずれも生産を他社に委託するという点では共通していますが、生産のプロセスや、委託先の技術力などに大きな違いがある点が理解できたと思います。
OEMやODMを導入する場合は、その違いについて理解し、自社が求める成果はどのようなものなのか、そしてどのような形でどこへ委託するのかなど、じっくり検討するようにしましょう。
OEMやODMを効果的に導入し、事業の活性化に活かすことが大切です。
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