生活の向上のための収入の獲得や老後への備えなどといった理由により、さまざまな副業が人気となっています。
そんな中で、誰でもすぐに始められることから、特に高い注目を集めているのがせどりです。
そこで、副業を検討しているという人のために、せどりとはどういったもので本当に稼げるのかといった問題に加え、そのメリットやデメリット、あるいは転売との違いなどについて解説をしていきます。
せどりについて紹介!
せどりの語源にはさまざまな説があります。
その中でも有力な説の一つが「古本の競りで業者が商材を束で競り落とし、その中から商売に必要な本だけを抜き取っていたことから競取りと呼ばれるようになった」というものです。
また、俗説としては、目利きの業者が古書店に並ぶ本の背表紙を見ただけで価値のある古本を判別し、それを抜いていったために「背取り」と呼ばれるようになったという話もあります。
以上のことからもわかるように、元々せどりとは中古本を安く仕入れて高く売る行為を指していたわけです。
しかし、現代ではその意味はもっと幅広いものになっています。
対象となる商品が何かにかかわらず、とにかく安く仕入れて高く売ればそれがせどりと呼ばれるようになっているのです。
たとえば、取引の対象として家電を扱うなら家電せどり、CDを扱うならCDせどり、おもちゃを扱うならホビーせどりといった具合です。
さらに、現代では仕入れや販売自体を家にいながらネットで行うことが多くなっているため、ネットを用いたせどりを電脳せどりと呼称したりもします。
いずれにしても、重要なのは仕入れ値と売値の差額によって利益が生じなければならないという点です。
そのため、ネットが普及する前にせどりを商いにしていた人たちは各地を歩き回り、相場よりも安く売られているものを探さなければなりませんでした。
そのうえ、掘り出し物を探すには膨大な知識が必要だったのです。
そうした時代と比べ、今では素人でも簡単に商売を行えるので、広く注目を集めるようになったというわけです。
せどりと転売の違いとは?
せどりと似た言葉に「転売」があります。
転売の意味を辞書で調べてみると「一方から買ったものを他に売り渡すこと」となっています。
ただ、ビジネスとしての転売はそれだけにとどまらず、安く仕入れて高く売り、その差額で利益を得るというのがその本質的な意味です。
そう言うと、「せどりと転売は同じものではないのか」と思う人もいるかもしれません。
しかし、それは少し事実とは異なります。転売にはさまざまな方法があり、その方法の一つとしてせどりという手法があるというのが正確なところです。
つまり、転売はせどりに比べ、より広い意味を持っているというわけです。
簡単にいうと、転売とは安く仕入れて高く売るすべての行為を指します。具体的な手段は問題ではないのです。
たとえば、家電量販店なども安く仕入れて高く売るという意味では転売ですが、その行為がせどりと呼ばれることはありません。
それでは、家電量販店とせどりでは何が違うかというと、ポイントとなるのは仕入れ先です。
家電量販店などで店舗販売を行う場合、商品は主にメーカーや卸業者から仕入れます。いわゆる流通における正規ルートです。
それに対して、せどりの仕入れ先はリサイクルショップや家電量販店、ネットショップなどの小売店です。
ついでにいうならば、電脳せどりで販売先としてよく用いられるネットモールも小売店の一種ということになります。
要するに、卸業者から小売店という正規ルートではなく、小売店から小売店というイレギュラーな転売行為をせどりというわけです。
せどりは法律違反になる?
せどりは違法行為であると思い込んでいる人は意外と多くいます。
なぜなら、せどりで逮捕されたなどという話を時折耳にするからです。
しかし、結論からいうと、せどり自体は法律違反ではありません。
ただ、せどりを通じて法律に抵触することをする人がいるので、逮捕者がでるわけです。
たとえば、店舗をオープンして商売するのはごく普通の行為でも、営業の許可を得ていなかったり、違法なものを販売したりすれば逮捕されるのと同じ理屈です。
ちなみに、せどりにおいて最もよくある違法行為の一つがダフ屋行為と呼ばれるものです。
これは売り切れが予想されるスポーツ・音楽・ライブ・映画などのチケットをあらかじめ購入しておき、売り切れるのを待ってから正規の値段よりも高く売る行為を指します。
購入費と転売で得た金額の差額が利益になるというわけですが、こうしたビジネスは迷惑防止条例によって禁じられています。
買い占められた時点で本来チケットが入手できたはずの人が購入できなくなり、世間に著しく迷惑をかけてしまうので法律で規制されているというわけです。
また、偽ブランドなどを販売するというのもよくある違法行為です。これに関してはあからさまに犯罪なので、一般の人がうっかりやってしまうなどといったことはまずないでしょう。
その代わり、せどりを行っている過程で偽物を掴まされるというケースは十分に考えられるため、注意が必要です。
偽物を転売してしまうと、故意に行ったのではなくてもトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
それを防ぐには、慣れるまでは仕入れを信用できる大手販売店に絞るのが有効です。
いずれにしても、転売行為自体は違法行為ではないため、許可が必要な場合はあらかじめ許可を取っておくなど、正しい方法で行えば問題はありません。
せどりに必要な許可とは?
ネット上では中古品の売買がさかんに行われているため、せどりを行う場合でも許可は特に必要ないと思われがちですが、それは誤りです。
どんな形であれ、中古品を用いて商売を行う際には「古物商許可証」が必要となります。
もちろん、せどりの場合でも例外ではありません。ちなみに、古物商許可証の「古物」とは一度使用された中古品だけでなく、購入しただけで封も開けていない未使用品や封を開けて手入れだけしたものなども含みます。
したがって、小売店や個人から購入したものを販売する際にはそれがどういったものかに関わらず、基本的に「古物商許可証」が欠かせないというわけです。
もっとも、「古物商許可証」が対象としているのはあくまでも営業行為に対してだけです。
たとえば、自分が使う目的で購入した商品が不要になったので売って処分をしたいなどといったケースは営業に当たらず、古物商許可証も必要ないということになります。
それに、たとえ転売目的だったとしても1度や2度取引した程度では営業とはみなされない可能性が高いでしょう。
ただし、月に1~2回程度でも定期的に取引を繰り返していればそれは営業に該当し、古物商許可なしでは違法行為とみなされてしまいます。
それでは古物商許可はどのようにすれば取得できるのかというと、特に試験のようなものはありません。
警察署で手数料を払って申請手続きをすればよいだけです。
そうすると、所定の条件を満たせば、各都道府県警察を管理する公安委員会から商取引をしてもよいという許可がもらえるはずです。
せどりのメリットを紹介!
副業には多くの種類がありますが、その中でもせどりは利益が出やすいことで知られています。
たとえば、300円で仕入れた本が6000円で売れたなどといった例もあり、そうなると利益率は95%です。
もちろん、これは極端な事例ですが、実際問題として、それほど頑張らなくても2~3割程度の利益率を出すことは十分可能です。
なぜ、このように利益率が高いのかというと、中古品の世界には需要が低くてもコアなファンがついている商品が数多く存在するからです。
しかも、大手中古店などはそうしたプレミア商品をわざわざ選別したりはしません。効率を第一に考え、一般大衆に人気があるかどうかだけを基準にして値段をつけているのです。
そのため、安い商品を購入して何倍もの値段で売るという商売が成立しているというわけです。
また、ビジネスを始めるうえでのリスクが少ないという点もせどりの大きな魅力として挙げられます。
売れる商品と売れない商品というのは最初からある程度わかっているので、正しい手順で行いさえすれば、赤字になるリスクは最小限に抑えることができるのです。
仕入れる際にも専門的な知識はほとんど不要です。
ネットを用いて商品の相場や売れ行き・ランキング・評価などを調べるだけで、仕入れるべき商品はすぐにでてきます。
あとはその中からできるだけ利益の出やすいものを選んで購入すればよいだけです。
さらに、特別なスキルがなくても始められるという点も見逃せません。
ネット上で副業をしようと思えば、多くの場合はメルマガを発行したり、ブログを作成したりする必要があります。
自分でサイトを運営するのなら、SEOやHTMLの知識も必須です。
それに対して、せどりの際に行う作業というのは商品の仕入れ・出品・売却後の発送ぐらいです。
特別なスキルは不要ですし、商品の知識も仕入れをしているうちに自然と身についていきます。
それになんといっても、空き時間を利用してできるというのが副業として優れている点です。
いくらお金が稼げる副業であっても、時間がかかりすぎるようでは本業にさしさわりが出てしまいます。
その点、せどりなら休日や平日の昼休み、あるいは帰宅途中の1、2時間で仕入れは可能です。
出品もネット環境があればいつでもできますし、売れた商品の発送にしても週に2回程度まとめて行えばよいだけです。
せどりにはデメリットもある
副業として多くの魅力を持っているせどりですが、デメリットがないわけではありません。
たとえば、仕入れや発送に手間がかかるという問題があります。
確かに、せどりは本業の合間にできる手軽なビジネスではあるのですが、売上が伸びてくると当然、手間は確実に増えてきます。
そのため、最初は手軽だと思っていても月に10万円も20万円も稼ぐようになれば、仕入れや発送などの作業に割く時間はかなりのものになってしまうのです。
また、それだけの売上をキープしようと思えば、とにかくコツコツ続けていく必要があります。
もし、仕入れをして在庫を増やしていくのを止めてしまうと、売上はあっという間に落ちてしまいます。
しかし、そうした作業をずっと続けていくのは大変なものです。
ネット上には発送を自動的に行ってくれるサービスなどもありますが、それでも仕入れを続けていかなければならないことにはかわりありません。
作業の継続が負担になって挫折してしまうというケースも十分に考えられます。
それから、安定した収入を得るには安く仕入れられる先を常に確保しておくことが重要です。
ところが、この条件を満たすのは意外に困難です。
近所や通勤途中に中古商品を販売している大型店舗があることが必須条件になりますし、たとえあったとしてもせどり向きの商品が十分に揃っているとは限りません。
安定した仕入れを確保するにはいつでも仕入れにいける大型店舗が2つは欲しいところです。
せどりを始めるために必要なもの
いくら手軽だといっても、せどりを始める際に最低限これだけは必要というものはいくつか存在します。
たとえば、スマートフォンです。持っていないという人はほとんどいないでしょうが、これがないとネットを利用して仕入れ商品の情報を調べることができません。
特に、古本や中古のCD・DVDなどのせどりを行う際には必須です。同じように、パソコンもせどりをする際には欠かせないアイテムです。
出品した商品の価格改定作業やネットでの情報収集の際に心強いパートナーとなってくれます。
スマートフォンでの代用も不可能ではありませんが、扱いやすさが違うのでせどりを始めるまえにはぜひ用意しておきたいところです。
また、商品を自分で発送するのであれば、封筒や段ボール、梱包材といったアイテムも揃えなくてはなりません。
その他にも、バーコードを読み込むことで特定の中古商品がネットではいくらで売られているかがわかる検索ツールなどもあると便利です。
さらに、ネットのサービスを利用する際にはクレジットカードが必須となる場合もあります。
これらのアイテムも必要に応じて用意するようにしましょう。
せどりを行う際の注意点
せどりを行ううえで欠かせないポイントの一つがタイミングです。
中古商品の相場というのは常に変動しています。
たとえ、今売りに出せば1万円の利益が出たとしても、1週間後には出品者が一気に増えて仕入価格よりも安い値段でしか売れなくなったなどといったことも起こりうるわけです。
そのため、利益が出るタイミングを見計らって販売することが重要になってきます。
また、商品の状態を顧客に対して丁寧に伝えることも商売を続けていくうえでは必要不可欠です。
たとえば、商品に傷があるという事実を隠して商品を売っても返品される可能性が高くなるだけですし、商売を続けていくうえで何より大切な信用を失ってしまうことになってしまいます。
さらに、意外に知らない人が多いのが税金の問題です。
今までサラリーマンの経験しかない人にとってはピンとこないかもしれませんが、副業での年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要なのです。
ちなみに、副業ではなく、専業としてせどりを行っている場合は年間所得38万円超からが確定申告の対象となります。これを忘れると申告漏れ、あるいは脱税とみなされ、過少申告加算税や重加算税を支払うことになりかねません。
くれぐれも、確定申告をうっかり忘れていたなどということはないようにしましょう。
注意点を踏まえて上手に稼ごう!
せどりはリスクが少なく、メリットが多いとされる副業の1つです。
本業以外で収入を得たいと考えているのであれば、試してみる価値は十分にあります。
ただし、だからといって、デメリットが全くないわけではありません。
収入が多くなればそれだけ手間がかかるなどといった具合に、注意すべき点は存在します。
まずはそれらの注意点をしっかりと押さえ、そのうえで収入アップを目指してみてはいかがでしょうか。