転売でも税金納付は必須!
憲法では、国民の三大義務として、教育と勤労とともに納税も挙げられています。
税金を納めることは法人だけではなく、営利を目的とした一定の収入があれば個人も対象です。
転売も、ビジネスとして収入を得るものであるため、個人でも収入額に応じた納税が必要となります。
税金には地方公共団体が徴収する地方税と国に納める国税があり、それぞれに多様な税金が存在します。
これらの税金のうち、転売で利益を得る個人が支払う必要のある税金は、所得税や住民税、消費税などです。
納めるべき税額は人によって異なるので、毎年の確定申告が必要になります。
いくら稼いだら納税が必要?
納税が必要となる条件は、転売を副業とするか、専業としているかによって異なります。
まず、専業の場合には、所得の合計が1年間で38万円を超えると、税金を納めなければいけません。
例えば、転売で60万円の収入があり、20万円の経費がかかっている場合には、60万円-20万円=40万円で38万円を超えるため、納税が必要になります。
しかし、60万円の収入で40万円の経費がかかっていると、60万円-40万円=20万円で38万円を超えないため、納税は不要となります。
一方、副業とする場合には、所得の合計が1年間で20万円を超えていることが納税の条件です。
例えば、40万円の収入があり、20万円の経費がかかっているケースでは、40万円-20万円=20万円となるため、税金を納めなければいけません。
しかし、30万円の収入で経費が20万円だった場合には、30万円-20万円=10万円で20万円を超えないため、納税する義務はなくなります。
ただし、転売を副業としているときには副業の金額だけでなく、本業の所得額も考慮しなければいけません。
副業の所得額が20万円を超えていなくても、本業の所得との合計が20万円を超えている場合には、納税が必要となります。
ただし、転売の所得が20万円以下で、かつ本業の所得額が150万円以下の場合は、税金を納める必要はありません。
基本的には、年間所得が20万円を超える副業の場合と年間所得が38万円を超える専業の場合以外は納税対象とならず、確定申告は不要となります。
しかし、なかには住民税の申告が必要となるケースもあるため注意が必要です。
税金の納め忘れのリスクを避けたいなら、申告をしておいたほうが安心といえるでしょう。
主婦や学生が転売で稼いでいる場合は?
給与所得のない人が転売で利益を得ている場合の税金については、主婦や学生であっても、専業で転売をしている人と同じ扱いになります。
すなわち、38万円以上の所得を得た時は、確定申告をして所得税を納めなければならないということです。
転売によって得た利益は雑所得に分類されますが、雑所得には給与所得のような65万円分の特別控除がありません。
所得税を払いたくないという人や確定申告が面倒だという人は、基礎控除である38万円の境界線を越えてしまわないように注意しましょう。
また、扶養に入っている場合は38万円以上の雑所得を得ると、扶養からも外れることになるので気を付けましょう。
ヤフオクやメルカリの転売で所得税がかからないケースがある!
確定申告が必要になる条件を満たしている場合でも、転売が営利目的ではなく、生活用動産の譲渡とみなされる場合は、所得税がかからないケースもあります。
生活用動産とは通常の生活を送るうえで必要な家具や衣服などのことで、具体的にはテーブルやテレビ、CD、アクセサリーなどが挙げられます。
これらの生活用動産の譲渡によって得た所得は新品や中古といった上田に関わらず、課税の対象とはなりません。
ただし、生活用動産とみなすことのできる物品であっても、継続的な販売などによって営利目的だと判断された場合は、転売によって得た所得として税金が課せられます。
生活用動産の販売が営利目的とみなされる明確な基準があるわけではないので明言することはできませんが、月ごとの定期的な取引や数十件・数百件といった多数の取引がある場合は、営利目的だと判断される可能性が高いでしょう。
また、たとえ生活用動産であっても、30万円を超える高価な物品の販売によって得た利益については、課税対象となります。
貴金属や骨とう品、プレミアのついているグッズなど、30万円超の価値が付く物品を販売する時は、課税対象となる可能性があるということを認識しておきましょう。
ただし、譲渡所得には年間50万円までの特別控除が設けられています。
つまり、30万円超の物品を販売して利益を得たとしても、それが50万円以下で取引が年間に一件のみであれば、確定申告をする必要はありません。
税金を払わない場合のリスク
税金を納めることは義務であり、お小遣い稼ぎだからと軽く考えて意図的に納税しないことはルール違反です。
必ず納めなればいけない税金を期限内に納めないと、さまざまなリスクが生じます。
例えば、各種ローンが組めない可能性があります。
税金をきちんと納めることができない人は、お金に余裕がなく、債務の返済能力が低いと評価されてしまうことがあるからです。
返してもらえない可能性がある人に対して、喜んでお金を貸す人はいないものです。
そのため、いざお金を借りたいと思っても、ローンの審査が下りないことがあります。
また、延滞税や無申告加算税を負担しなければいけなくなるのもリスクの一つです。
延滞税は、期限として定められていた日の翌日から完納した日までの期間に対してかかります。
一方、無申告加算税は、通常の税額の15%を上乗せして納めなければいけなくなる加算税です。
自覚なしに申告していなかったと判断された場合に課される税金ですが、期限を過ぎていても税務署調査前に自分で気付き申告をした場合には5%の軽減措置が取られます。
納税することのメリットは?
税金をきちんと納めることは、さまざまなリスクを回避すること以外にもメリットがあります。
例えば、法律を順守した納税の手続きをしておくことで、税務調査を気にする必要がなくなる点です。
意図的に申告や納付をしないといった不正を行っていると、いつ気付かれてしまうのかと落ち着かずにストレスとなります。
大きなストレスを感じながら不正を続けていても、税務調査は厳しく、いずれ必ず知られてしまうと思っておいたほうがよいでしょう。
一度、不正の疑惑がもたれると、過去に遡って徹底的な調査が行われることも少なくありません。
延滞税は本来の納税期限の翌日から換算されるものであるため、長く納めていないと税額が大きくなります。
税金を納めないことで儲けを大きくしようと考えて行った不正が、かえって大損をしてしまうこともあるのです。
また、きちんと納税をしていれば、正々堂々とお金を貯めることができるようにもなります。
税金を支払うことで儲けたお金の一部は消えてしまいますが、堅実な稼ぎを積み重ねていけば、必ず手元にお金は増えていくものです。
そもそも、納税は国民の義務であるため、税金を納めているのは自分だけではありません。
ほかのすべての納税者が支払っているお金であることをきちんと把握し正しく申告しましょう。
合法的に転売を行えば、後ろめたい気持ちを一切持たずに気持ちよくビジネスができるようになります。
転売でおすすめの申告方法は?
確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があり、どちらの方法で確定申告を行うかは、個々で自由に選ぶことができます。
青色申告とは原則、複式簿記を使用して申告する方法です。
複式簿記では、支出と収入というお金の流れとあわせて、お金が動いた理由についても帳簿に記録します。
各取引について複数の科目を用いながら「借方」と「貸方」に細かく仕訳していく記帳手段です。
一方、白色申告は、単式簿記により帳簿に記録していく方法です。
単式簿記では、支出と収入のお金の流れだけを記録することが決まりです。
転売の確定申告でも申告方法は自分で選択できますが、青色申告を選ぶのがおすすめです。
青色申告は、白色申告よりも多くの書類を作成しなければならず、申告にかかる手続きの負担は大きくなってしまいますが、青色申告には白色申告では受けることができない特典が多くあるというメリットがあります。
例えば、青色申告では、青色申告特別控除を受けることができ、所得金額から最高で65万円の控除を受けることができます。
転売によって100万円の売上があり、20万円の経費がかかった場合、所得は100万円-20万円=80万円となるため、通常なら80万円にかかる所得税を納めなければいけません。
しかし、青色申告の控除を受けると、80万円-65万円=15万円が所得税の対象です。
一方、白色申告では控除額が10万円となっているため、80万円-10万円=70万円にかかる所得税を納める必要があります。
また、赤字が出てしまった場合に、赤字になった分を3年間繰り越せる点も青色申告のメリットです。
3年間は、赤字が発生した年の翌年度から起算します。
翌年以降3年以内に黒字が出れば、黒字になった年の所得から赤字分を差し引くことができるのです。
加えて、家族も一緒に転売ビジネスをしているのであれば、その家族に支払う給与の全額を必要経費とすることもできます。
申告に必要となる主な計算式
確定申告を自分で行う場合には、2つの計算が重要となります。
所得を求める計算と、所得税を出すための計算です。
確定申告をする際には、売上だけはなく、所得額を知っておくことも必要となります。
先で解説したとおり、所得とは収入から経費を差し引いたものです。
転売においては、収入は売上にあたるため、売上から経費を引くことで所得額を算出します。
また、所得税を出すための計算式は、(売上-経費)×所得税率です。
経費に含めることができるのは、転売をする際に必要となったコストとなります。
例えば、インターネットを利用して売買をしたり、取引相手と連絡を取ったりしているのであれば、インターネットの利用などによってかかった通信費は経費です。
また、売った相手への発送に際してかかった送料や梱包材料代なども荷造運賃として計上できます。
一方、計算の際に用いる所得税率とは、課税対象となる所得金額によって変わってくる税率です。
日本では累進課税制度が採用されているため、所得金額が増えれば増えるほど、税率は高くなります。
例としては、課税所得金額が195万円以下だと、税率は5%で控除額は0円です。
しかし、課税所得金額が330万~695万円の場合には、税率は20%となり、42万7500円の控除を受けることができます。
具体的な計算例を挙げると、課税される所得金額が500万円の人は、500万円×20%-42万7500円=57万2500円が所得税額です。
ただし、2013~2037年に関しては所得税にあわせて復興特別所得税の納付もしなければいけないため、注意しましょう。
転売における節税のポイント3選!
転売をするにあたり少しでも節税をしたいなら、次の3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
まず、自宅で転売を行っているのであれば、経費で工夫することができます。
プライベートで利用しているものに対する費用でも、一部は経費に計上できるからです。
計上できる可能性があるものは、家賃や電気代、プロバイダー料金などです。
転売の必要経費と見なされるものは、プライベートにかかる費用と按分して家事関連費として扱うことができます。
節税をしたいなら、プライベートの支出のなかに転売に関わる出費がないかを確認して、経費に計上できるものをできる限り増やすことがポイントです。
2つ目に、売上高に応じて法人化するのも節税対策となります。
個人の場合、所得額が上がると、累進課税制度により、税率は高くなります。
900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%、最高では4000万円超で45%の税率です。
しかし、法人の場合には、所得額がいくらまで増えても、一律で23%しか課税されません。
3つ目の節税ポイントのは、所得を常に把握しておくようにすることです。
現状をきちんと知り、状況に応じた対策を取ることが節税につながります。
所得をいつも把握しておくためには、記帳をこまめに行うことが大事です。
記帳の際には、クラウド会計を利用するのも手となります。
クラウド会計は、基本的には必要事項を指定されたとおりに入力するだけなので、初心者でも気軽に利用でき、便利だからです。
また、銀行口座やカード明細との連携を自動で行える機能もあるため、作業時間を節約して効率的な作業を行えるようになります。
忘れずに確定申告しよう!
確定申告は、正しく税金を納めるために欠かすことができない手続きです。
納税の義務があるにもかかわらず、納めないことは法律違反となります。
また、たとえ、故意ではなくても、申告を忘れるとペナルティーを受けてしまうこともあるため、注意が必要です。
転売を専業とする場合でも、副業とする場合でも、気持ちよく稼ぎを得るために、ルールを守ってきちんと確定申告を行うようにしましょう。