メルカリで確定申告は必要?
メルカリで収入を得ている場合、確定申告が必要になるかどうかは、人によって異なります。まずは、自分が出品した物の売却益が、所得税法上のどの所得に該当するかを確認しましょう。メルカリの場合、所得は以下の3パターンに大別されます。
雑所得 | 他の所得に当てはまらないものは、まとめて雑所得と呼ばれる。 給与所得のある人が、副業でメルカリを利用する場合は基本的に雑所得。 |
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事業所得 | 事業を営んで得られる所得のこと。 本業としてメルカリで物販をする場合は事業所得。 |
譲渡所得 | 資産を人に売却することによって得られる所得のこと。 メルカリで不用品を売っている場合は譲渡所得。 |
それぞれの所得によって、確定申告の要・不要のラインが決まっているので、よく確認することが大切です。本記事では、それらをケース別に解説します。なお、メルカリのHPにもあるように、不用品(一部の高級品を除く)のみを売っている場合は、確定申告の必要はありません。この点は、後ほど詳しく触れます。
【確定申告について】
洋服や生活用品等の不用品を売却した収入は、所得税の課されない譲渡所得となるため基本的に課税されません。詳細は国税庁HP、最寄りの税務署、もしくは税理士の方にご確認ください。
メルカリで確定申告が必要なケース
メルカリで得た所得によって確定申告が必要となるのは、以下のケースです。
メルカリが副業で年間20万円を超える所得がある
会社勤めをしながら、副業としてメルカリを活用する場合、年間の所得(利益)が20万円を超えたら、確定申告が必要です(雑所得)。
1回の取引額は大きくなくても、年間で得た総利益が20万円を超えたら、申告しなければなりません。たとえば、1年間の総売上が30万円で、仕入れなどに要した経費の合計が9万円だったとします。
この場合、売上の30万円から9万円を引いた、21万円が所得となるので、確定申告が必要です。ちなみに、月20万円を超えたらではなく、「年間20万円を超えたら」なので、勘違いしないようにしましょう。
メルカリが本業で年間48万円を超える所得がある
給与所得を得ずに、メルカリでの物販を本業で取り組む場合は、年間の所得が48万円を超えたら確定申告が必要となります(事業所得)。この48万円は、「基礎控除」を意味します(合計所得金額が2400万円以下の場合)。
基礎控除とは、総所得から差し引くことのできる金額のことで、控除した金額には所得税がかからないのがポイントです。たとえば、年間総利益が100万円だった場合、基礎控除の48万円を引くと、所得は52万円になります。確定申告では、この52万円に対してのみ、所得税が課せられるという仕組みです。なお、確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、税務署に青色申告をする旨を申請すれば、より大きな節税効果が得られます。
不用品を販売した金額が年間50万円を超えている
不用品をメルカリに出品している人は、売上があったとしても、基本的に確定申告は不要です。ただし、貴金属や宝石、書画や骨とうなどの、いわゆる「高級品」で、1個または1組の価格が30万円を超える取引は、譲渡所得に該当します。利益があったものと判断されるため、確定申告が必要になる可能性が出てきます。
また、自分にとっては不用品でも、想定外の高値で売れてしまった場合、譲渡所得に該当するのかどうか迷うこともあるかもしれません。不用品を扱う場合は、年間の所得が50万円を超えたら、確定申告が必要だと覚えておくとよいでしょう。譲渡所得には50万円の特別控除があるので、50万円までの利益であれば、税金がかからないからです。
転売行為・ハンドメイド品の販売をしているケース
メルカリを、転売やハンドメイド品の販売に利用する場合は、これまでに解説したケースに該当するのであれば、確定申告が必要です。具体的には、以下の2点となります。
- 副業で年間所得が20万円を超える場合
- 本業で年間所得が48万円を超える場合
転売にしても、ハンドメイド品の販売にしても、メルカリでの売上以外に給与所得があるかどうか、年間の利益がいくらなのかによって確定申告が必要かどうかは決まるため、事前に把握しておくことが大切です。
ハンドメイドで売れるもの12選!主婦や不器用さんでも稼げる商品については以下の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
(関連)【最新】ハンドメイドで売れるもの12選!主婦や不器用さんでも稼げる商品を紹介
メルカリで確定申告が必要ないケース
メルカリで所得を得ていても、以下のケースの場合は確定申告の必要はありません。
メルカリを不用品の売却に使っているケース
メルカリに出品する物が、不用となった生活用品のみである場合、年間の所得がいくらであっても、確定申告は不要です。たとえば、着なくなった服や使わなくなった食器、本などが該当します。不用品は、それ自体で利益を生むとは考えにくく、課税になじまないとされているため、税金がかからないのです。国税庁のHPでも、以下のように非課税とする旨が掲載されています。
資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。
(1)生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
引用元:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」(※別タブで開きます)
不用品を販売した金額が50万円を超えていないケース
先述した、国税庁のただし書きにもあるように、不用品であっても30万円を超える価格で取引した場合は、譲渡所得として課税対象となります。とはいえ、譲渡所得には50万円の特別控除があるため、50万円を超えない範囲であれば、確定申告は不要です。たとえば、手持ちの宝石を35万円で売ったとします。この場合、特別控除の50万円を引くと、結果的に譲渡所得は0円となるので、税金がかからない(=確定申告の必要がない)わけです。
年間の所得が20万円・48万円を超えないケース
メルカリで不用品を出品するのではなく、仕入れた商品やハンドメイド品を販売している場合でも、以下のケースでは確定申告の必要はありません。
- 副業で年間所得が20万円以内の場合
- 本業で年間所得が48万円以内の場合
たとえば、副業でハンドメイド品を販売していて、年間の総売上が25万円、仕入れや手数料の合計が10万円だったとします。この場合、25万円から10万円の経費を引くと、所得は15万円(20万円以内)になるので、確定申告は不要ということです。
実際にメルカリで確定申告が必要になった事例
ここで、判断がわかりにくい不用品の出品で、確定申告が必要となった事例を紹介します。
【事例】
父が亡くなり実家を整理するため、不用品をメルカリに出品し、合計100万円の利益を得た。骨董品などは1万円程度で売っていたが、取引した物の中には80万円で買い手のついた、高級ゴルフクラブが含まれていた。
本件は、相続に関する税務調査の過程で、確定申告が必要だと発覚したケースです。本人にとっては不用品の処分でしたが、80万円という高額の商品が含まれていたことで、課税されることとなりました。ゴルフクラブは宝石や骨とう品ではないものの、コレクター性のある高級品であったため、譲渡所得だと判断されたということです。結果として、譲渡収入の80万円、雑所得は自動的に白色申告に対し、税金がかかっています。
(参考)メルカリ転売で儲けたら、家に税務署がやってきた(※別タブで開きます)
メルカリで確定申告する手順・やり方
メルカリの利用で確定申告が必要となった場合は、以下の手順で手続きを行います。
必要書類を用意する
確定申告は、1月1日~12月31日の1年間に得た所得に対する税金を確定・納付する手続きです。日本では、所得(売上から経費を差し引いた金額)がいくらだったのかは自己申告です。つまり、収入と支出を証明する資料は自分で用意しなければなりません。メルカリで得た所得により確定申告をする場合、代表的な必要書類には以下のようなものがあります。
収入を証明する資料 | メルカリの売上履歴のキャプチャ |
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支出を証明する資料 | レシート、領収書など |
メルカリには、確定申告用に1年分の販売履歴を一覧で出す機能がないため、マイページの売上履歴をキャプチャするなどの対応が必要です。履歴は最大2000件まで確認できますが、1年分をまとめて処理するのは大変なので、とくに取引回数の多い人は、コツコツ集めておくことをおすすめします。
収支を計算する
必要な資料が集まったら、それらを基に所得を割り出していきます。基本的な計算方法は以下の通りです。
雑所得・事業所得 = 売上金額 - 売上のためにかかった経費
譲渡所得 = 売上金額 - (購入費 + 経費)
なお、12月31日までに売れ残ってしまった在庫がある場合、その仕入れ費用は経費として計上できないので注意しましょう。たとえば、ある年に1個500円の商品を10個仕入れたものの、3個は売れずに年末を迎えたとします。このケースでは、その年の経費として計上できるのは、500円×7個=3500円のみです。残りの1500円は、次年度以降の売れた年の経費として持ち越します。
確定申告書を作成する
収支の計算をして所得がわかったら、いよいよ確定申告書を作成します。主な作成方法は、以下の4種類です。
- 国税庁の確定申告作成コーナーで作成する
- 会計ソフトで作成する
- 税理士に依頼して作成してもらう
- 手書きで作成する
確定申告の作成に不慣れな場合は、Web上で作成できる①がおすすめです。なお、確定申告の際は、白色申告か青色申告かを選択しますが、雑所得は自動的に白色申告となります。
メルカリでの取引回数が増えて、規模が大きくなってきたら②や③の方法も検討しましょう。
その場合、税務署に開業届と青色申告の申請を出して、事業所得とすることも大切です。青色申告は、白色申告に比べて帳簿作成の手間はかかりますが、その分節税効果が期待できます。
税務署へ提出する
確定申告書が完成したら、管轄の税務署へ提出します。メルカリでの販売の場合は、原則として、自宅の住所を管轄する税務署が提出先です。提出期間は、例年2月16日~3月15日で、この期間に前年分を申告します。
提出方法は、電子申請・郵送・持ち込みのいずれでも問題ありません。
メルカリで確定申告しないとどうなる?知っておきたい豆知識
確定申告の仕組みは理解できても、不慣れな人は疑問も多いものです。ここでは、メルカリで得た収益を基に確定申告をする際、知っておきたい豆知識を解説します。
メルカリで無申告でもバレる?
無申告がバレるか、バレないかは、何ともいえません。確かなことは、絶対にバレない方法は存在しないということです。というのも、国税局はオンラインの取引を調査しているからです。
たとえば、メルカリのアカウントを調べれば、いくらの売上があったかは、すぐにわかります。また、確定申告をすべき人がしなかった場合、無申告加算税や重加算税、延滞税などのペナルティもあるため、必要な人はしっかり手続きしましょう。
メルカリの確定申告でレシートがない場合はどうする?
仕入れなどの経費を証明するレシートがない場合は、出金伝票を書く方法があります。出金伝票とは、支出を記録するための用紙で、100均やネットで購入が可能です。
経費となる物を購入した日付や金額、支払先、何に使ったかなど、必要事項を記載しておきましょう。ただし、これはあくまでも緊急避難的な措置です。
出金伝票は自分で自由に記載できてしまうため、あまりに数が多いと確定申告用の資料としては信頼性に欠けます。日頃から、支出は専用のクレジットカードに一元化し、履歴が残るようにするのがおすすめです。
メルカリで経費として認められるものは?
メルカリで得た所得を計算する際、売上から差し引ける経費には、以下のようなものがあります。基本的に、売上を立てるのにかかったものが経費と考えておきましょう。
- 仕入れ費用
- 梱包資材費用
- 販売手数料
- 送料
- 振込手数料
- 通信費
- 勉強用の書籍・セミナー費用など
仕入れのために店舗を訪れる場合は、交通費も経費となります。通信費は、電話代やネット回線を利用するためにかかるお金のことです。ただし、プライベートでの利用分は経費にできないので、通信費の総額のうち、メルカリでの販売のためにかけた割合を按分して計上します。
よくある質問
最後に、メルカリの確定申告でよくある質問にお答えします。
メルカリの確定申告に注意点はある?
副業でメルカリを利用している人の中には、そのことを会社に知られたくない人もいます。その場合は、確定申告書の住民税の欄に注意しましょう。具体的には、「給与、公的年金以外の所得に係る住民税の徴収方法」のところで、「自分で納付」を選択します。そうすれば、翌年の住民税が高くなったとしても、副業分については自宅に納付書が届くので、会社から不審に思われずに済むというわけです。
メルカリの確定申告は学生や主婦も対象?
学生や主婦の人で、家族の扶養に入っている場合は、メルカリで得た所得が年間48万円を超えたら、確定申告が必要です。加えて、扶養している人が、扶養控除・配偶者控除を受けられなくなるため、その人の税金が高くなる点には注意しましょう。たとえば、お父さんの扶養に入っている学生(息子)がこのケースに該当すると、お父さんの納める税金が上がってしまいます。
メルカリで確定申告が必要なケースを理解しておこう
この記事では、メルカリの確定申告が必要なケースを紹介しました。
- メルカリで確定申告なケースはその人の状況によって異なる
- メルカリで無申告で絶対にバレない方法は存在しない
- メルカリの確定申告を行うべきか?迷った場合はまず税理士に相談するのが良い
上記に気をつけて、自身が確定申告を行うべきか?の判断をしてみてください。
また、この記事の監修を行っていただいた「税理士法人みらいサクセスパートナーズ」様では、確定申告を行うべきか?判断に迷った際にも相談が可能です。
- メルカリの転売・副業ですでに利益がある
- 副業で利益が出た際に確定申告についてご相談したい
上記に当てはまる場合は、ぜひ「税理士法人みらいサクセスパートナーズ」様へご相談ください。