転売で会社設立することは可能?
結論からいうと、「転売で独立して会社設立は可能」です。
まず、転売はもともと価値ある商品を取り扱うため、比較的容易に収益を得られる傾向にあります。
また、集客はプラットフォームが自動的に行うので転売ヤー自身が集客に労力を費やす必要がなく、稼ぎやすいといわれています。
したがって、何らかの起業に興味関心のある人は、転売を1つのきっかけとしてビジネスの確立が可能です。
それでもやはり、「いきなり起業はハードルが高い」と感じる人は、もちろん「副業から始めて納得いくまで経験を積んでから独立」という王道も可能です。
ただし、起業のタイミングなどを誤ると失敗のリスクが高まるので、注意しましょう。
転売で会社設立するメリット
転売で会社を設立し、法人化する際のメリットを4つ紹介します。
社会的な信頼度が高くなる
個人事業主は税務署に開業届などを提出するだけでなれます。
一方、法人化は手続きが複雑になって費用もかかるため、社会的信頼度もそれに伴い、高くなる傾向があります。
例えば、何らかの自己紹介の場面で「会社の代表だ」と言うと、周囲から崇敬の眼差しで見られるでしょう。
それが、たとえ設立したばかりの会社であっても、「社長である」ことに変わりはないので、交渉時や飲み会などで他者からの信用を得るきっかけとなります。
このような表面的な信用だけでなく、独立すると個人事業主ではなかなかできなかったさまざまな法人契約が可能です。
例えば、業者やメーカーからの仕入れの際に、法人との取引のみを行う会社もあり、副業や個人で転売をしている人との差別化ができます。
このような取引相手を有利に選択できるメリットだけではなく、仕入れ先の一次代理店として特別なディスカウントを受けられる優遇もあります。
1%でも安く仕入れができれば、「ちりも積もれば山となる」とわれるように、大きな利益へとつながります。
融資を受けやすくなる
法人は個人事業主より社会的な信頼度が高いので、大きな金額の融資が受けやすくなります。
転売は「仕入れに有する資金力」がものをいうといわれています。
ゆえに、資金力が多ければ多いほど稼げる金額も高くなるので、融資は大きなアドバンテージです。
少ない資金では不可能だった事業も実現可能となり、幅広いビジネスができます。
ただし、大きな金額の融資を受けるような本格的な事業の場合、最低でも2年間程度は会社を運営し、ある程度の実績が必要です。
業者との取引がしやすくなる
法人(会社)であるだけで、卸業者やメーカーと取引をする際、スムーズに交渉が進むことがあります。
法人以外を相手にしない企業もあるので、個人で転売を行うよりも多くの取引先から選択が可能です。
先述したとおり、法人であることで特別割引を受けられるケースもあるので、これらのシステムを適切に活用し、他の転売ヤーと差別化できます。
税金面で有利になる
副業などで個人事業主として転売を行う場合、税金は「所得税法」に従います。
一方、会社を設立し法人化すると、「法人税法」というルールに従うことになります。
法人税の税率は2段階で、上限が23.4%なのに対し、所得税はその内訳が細かく定められており、上限も45%と高い設定です。
例えば本業と副業合わせて900万円の所得がある場合、33%の所得税を支払わなければいけません。
対して、法人は900万円以上稼いでも税率は約23%なので、納税額を低く抑えることが可能です。
そのほかの節税対策として、消費税の納税や、納税予定の売上がある個人事業主の場合は法人化することで一定期間の消費税を免税されます。
また、倒産保険や小規模企業共済に加入する節税方法もあります。
せっかく苦労して得たお金ですから、できるだけ賢く税金対策をしたいものです。
転売で会社設立するデメリット
一方、転売で会社を設立し、法人化する際のマイナス面は何でしょうか。
主に4つのデメリットについて紹介します。
会社の設立に費用がかかる
会社設立には、「定款認証」と「登記申請」の2つの手続きが必要です。
どちらも書類の提出だけで済みますが、作成が複雑なのでとても時間がかかります。
「定款認証」は公証役場のホームページからサンプルを参照し、それに自分の会社を当てはめることで完成です。
しかし、電子定款の場合はサンプルのままでは不可で、電子署名のためのパソコン設定やシステムの調査など誰でもすぐにできるわけではありません。
インターネットで電子定款を作成する方が紙媒体で行うよりも低いコストで行うことができますが、それ以上に設備投資が必要なので、結果として司法書士などに依頼した方が安く済むようです。
「登記申請」は書類自体はシンプルですが、定款の記載内容によって書き方が変わります。
また、機関設定や現物出費の有無などに応じて書類が微妙に異なります。
どの書類が必要で、どのように記載しなければならないのか気をつけましょう。
加えて、会社の種類に応じてかかるコストが違う点にも注意です。
例えば株式会社の登録免許税は15万円なのに対し、合同会社の場合は6万円がかかります。
設立登記を司法書士に依頼する場合、その手数料も必要です。
登記は規定が複雑なので、司法書士などに相談しながらでないと確実な手続きができないことが多くあります。
自分だけで処理しようとすると、何度もやり直す手間と時間がかかってしまうので、少しでも疑問点があれば近くの司法書士事務所に相談しましょう。
赤字でも税金を納めなければならない
会社を設立せず、個人事業主として転売を行っている場合、赤字だと税金はかかりません。
しかし、法人化すると、赤字であっても法人住民税の一部である「均等割」という税金を納めることが必要です。
この税金は年間で約7万円要するので、赤字が続くと大きな痛手となります。
もし、赤字が続くなどの原因で納税の継続が難しい場合は、会社を休眠させ、均等割をかからなくすることも可能です。
会社の休眠は廃業と違い、会社を消滅させるわけではないので、会社を存続させたまま事業を停止できます。
休眠は休業届(異動届出書)を税務署と市区町村に提出するだけで、手間や費用もかかりません。
申告の難易度があがる
個人事業主で白色申告や青色申告しているような、申告慣れしている人でも、法人の申告は非常に難易度が高く面倒だといわれています。
個人で申告をしている場合は帳簿などを元に税金の申告をしますが、法人の場合は決算や法人税の申告も行う必要があり、経理や税務の経験がない人にとってはとても難しく大変な作業です。
このような難易度の高い会計処理や税務申告を税理士に依頼することは可能ですが、外部に委託するぶん、コストがかかります。
手続きに手間がかかる
今まで個人事業主として行っていた転売を法人化する際、さまざまな手続きが必要です。
まず、各種契約の名義変更があげられます。
経費として計上するものに関して、個人名義のものを全て法人名義へ変更しなければなりません。
例えば、個人名義で登録していた水道料金や光熱費、通信料金などです。
「個人事業主と社長は同じ」とよく誤解されますが、税務的には個人事業主と社長は異なるため、名義が変わると「別の人のもち物」とみなされます。
したがって、備品などに関しても、個人から法人に引き継ぐ手続きが必要です。
また、個人から法人へ在庫を譲渡(売る)する場合も、備品と同様に引継ぎの処理をしなければなりません。
「在庫の引き継ぎ」は個人事業主が法人に在庫を売ったことになるので、個人事業主の売り上げを計上する必要がある点に注意しましょう。
「備品の引き継ぎ」は譲渡価格に関して税務リスクを考慮しながら設定します。
その際には、賃借料と照らし合わせながら、譲渡と賃借のどちらが税金を抑えられるかの検討が大切です。
名義の変更は法人の経費を明確にするために重要です。
これらの手続きには手間がかかりますが、適当な数字や内容を申告すると後で税務署などからペナルティが科せられることがあります。
税務申告に関わるものは記入もれや間違いを後から指摘されることが多いので、できるだけ専門家に相談すると安心です。
思わぬ税務リスクを避けるためにも、譲渡価格の設定や名義変更をしっかりと行いましょう。
転売で会社設立するタイミング
転売で会社を設立するタイミングのポイントは大きく分けて2つです。
1つ目は「できるだけ税理士や税務署が忙しくない時期を選ぶ」ことです。
企業の決算時期は3月が多いので、この繁忙期を避けることで、税理士からじっくりと話を聞いたり、相談にのってもらったりすることができます。
2つ目は税金の観点から、「年間の所得が800万円を超え始めるときに会社を設立する」ことです。
税率比較(所得税や法人税)、経費や諸々の指標など多様な側面から判断が大切です。
それには専門的な知識を要するので、自分だけでなく税理士と相談しながらタイミングを決めるようにしましょう。
会社設立の時期は自由に決められるので、基本的にはいつでもよいのです。
しかし、これらのタイミングを押さえると、より効果的でしょう。
会社設立には、税理士との契約が必要なので、結局は税理士と関わることになります。
設立の際には専門的な情報や経費との関係性の深い理解が重要なため、設立前からタイミングなどについても相談するとよいでしょう。
転売で会社設立する際準備すること
転売で会社を設立する際、準備するべき3点を説明します。
資本金の用意
まず、会社設立時に必要な「資本金の用意」についてです。
資本金とは
資本金とは、開業時点で会社が保有している、会社を稼働させるための資金です。
転売の場合、資本金は主に商品の仕入れのための資金のことを指します。
このお金は事業に必要な資金として設定されているので、会社の経費としてのみ利用できます。
資本金を決めるポイント
資本金が1円しかなくても、制度上は会社の設立が可能です。
しかし、安く設定しすぎると、会社の信用価値が低くなることに注意しましょう。
金額の設定は、会社の運転資金や仕入れ資金から考慮し、最悪3カ月ほど売上がなくても会社を運営できる金額(300万〜500万円程度)から概算するとよいです。
資本金は会社の信頼性を保証するための判断材料のひとつです。
金額が大きい方が融資や取引の際に有利な場合もありますが、金額によってはかえって負担が増します。
例えば、資本金が1000万円を超えると法人住民税の均等割の金額が高くなることがあります。
資本金が会社の信用面で効果を発揮するのは、主に法人顧客同士のビジネス(BtoB)です。
転売の場合、多くが個人顧客とのやり取り(BtoC)なので、そこまで資本金を大きく設定する必要はありません。
ゆえに、転売の場合は法人化する際の資本金設定について、あまりシビアになりすぎずに金額を決定できます。
税理士との契約
会社設立には、複雑な申告やさまざまな手続きが必要なので、専門家によるチェックが不可欠です。
税理士を雇うことはハードルが高いと感じるかもしれませんが、素人が申請を行い、書類にミスや漏れがあった場合は、ペナルティが発生してしまうこともあります。
また、税理士を雇うと、税金面での指導や管理、融資の相談などもできるので安心です。当然ながら、税理士との契約には費用がかかります。
しかし、税理士に依頼せず自分で全ての手続きを行うには多大な時間と労力が必要です。
税理士を雇うコストよりも、転売業にあてる時間がうばわれる方が大きな損失です。
仕入れ商品の選定やライバル分析など転売業に集中し、稼ぐチャンスを増やすためにも税理士との契約はするようにしましょう。
古物商許可証に関する手続き
会社として古物商を行う場合は法人の許可が必要です。
以前から個人事業主として転売を行っており、途中から会社を設立して法人化する場合、原則として個人の古物商許可を返納し、会社として新たに許可を取り直さなければなりません。
しかし、この手続き方法だと返納と新たな許可取得の間にタイムラグが生じてしまいます。
ゆえに、警察署によっては実際には古物商許可を返納をしなくても、先に法人の許可申請を受理してくれることがあります。
ただし、その場合は会社の古物商許可証が発行されると同時に、個人の古物商許可証の返納が条件です。
管轄の警察署によって手続きの流れが異なるので、会社設立早期に詳細を確認するとよいです。
転売で利益をあげ会社を設立しよう!
転売で会社を設立し、利益をあげることは可能です。
しかし、同時にそのメリットやデメリットについて深く理解し、無駄のない起業準備が大切です。
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