ライブコマースとは?
ネット販売をしている企業や個人が、ライブ配信で商品の訴求・販売促進を実施する方法のひとつです。ライブ配信中は、視聴者とリアルタイムでコメントのやり取りができるほか、ライブ画面に商品を掲載できます。
ECサイトなどに商品を掲載して購入されるのを待つだけのオンライン販売とは異なる、積極的な販売方法です。
ライブコマースは、写真や説明だけでは伝わらない商品の魅力を顧客に伝える方法として注目されています。ライブコマース用のプラットフォームも多く登場しているほか、SNSのライブ配信機能の活用や自社ECサイトでのライブ配信なども増えています。
認知度の低い商品でも、詳しい使い方や活用方法などをわかりやすく伝えられるため、現代の消費者行動に沿った新しいマーケティング施策として注目されています。
ライブコマースの市場について
ライブコマースは、中国では普及率がかなり高く、多くの企業が実施しています。また、日本でも大手企業が取り入れるなどして広まりつつあるため、これからの動向に注目です。
以下では、日本・中国それぞれの市場動向について詳しく解説します。
日本におけるライブコマースの動向
日本では、2017年ごろからライブコマースが浸透しています。ただし普及率はそこまで高くなく、市場規模は伸び悩んでいます。
メルカリや楽天などの大手企業がライブコマース事業を展開しましたが、普及せずにサービス終了おり、なかなか広まっていないことが現状です。
ライブコマースについて、日本での社会的な認知度が低いことも浸透していない要因となっています。
一方、ライブ配信に関しては利用者の多いSNSに機能が搭載されたことで、配信者・視聴者が増えています。
InstagramやTwitter、Facebookなどでは、誰でも簡単にライブ配信ができる機能が搭載されており、有名人から一般人まで多くのユーザーが利用するようになりました。
そのため、国内企業や個人でも商品販売にライブ配信を活用するところが増えており、コロナ禍にライブコマースで売上を伸ばしたという事例もあります。ライブ配信の盛り上がりによって、日本でのライブコマースの認知度も徐々に広まっており、今後の市場拡大が期待されています。
中国におけるライブコマースの動向
中国では、オンラインショッピングの一般的な手法としてライブコマースが大幅に普及しています。
中国の有名な芸能人やインフルエンサーが配信者として起用されていたり、大手ECショップの「タオバオ」でもライブコマースが導入されているため、認知度が非常に高いです。
中国のライブコマース市場の商品カテゴリでは、アパレルの割合が多くなっていますが、最近では食品に対する安全性の意識が高まっていることから、生鮮食品のライブコマースも人気です。
ライブコマースのメリット
ライブコマースの実施で期待できるメリットには、以下の5つが挙げられます。
- 新たな購買体験が提供できる
- 非対面式で感染症対策にもなる
- 訴求力が高めやすい
- リアリティのある情報配信ができる
- 通販利用の不安を解消できる
ここからは、メリットについてそれぞれ詳しく解説します。
新たな購買体験が提供できる
ライブコマースは、配信者と視聴者の双方からコミュニケーションがとれ、臨場感があります。そのまま商品購入まで進める仕組みになっているため、店舗に行かずともリアルタイムで商品の説明を聞きながら、商品購入ができるという新たな体験ができます。
顧客にとって利便性の高い購入体験が提供できるほか、消費者のリアルな声を商品開発に活かせるという面もあります。
非対面式で感染症対策にもなる
新型コロナウイルスの影響で、対面式での販売よりも非対面式の販売を好む消費者も増えています。
もともと非対面式のEC販売では、対面での接客販売のように商品の魅力を上手く伝えられない点がデメリットとなっていましたが、ライブコマースなら非対面かつ商品の魅力や情報を伝えやすく、デメリット解消につながります。
訴求力が高めやすい
ライブコマースの配信者に有名タレントやモデル、専門家などのインフルエンサーを起用すれば、訴求力を高められます。
インフルエンサーは集客力も高く、新たな層への訴求も期待できます。商品の特徴や特性に合ったインフルエンサーを起用することで、情報の信頼度が上がり、顧客ロイヤルティの向上にもつながるでしょう。
リアリティのある情報配信ができる
ライブコマースでは、基本的にリアルタイム配信となるため、リアリティのある情報を顧客に伝えられます。
顧客と直接コミュニケーションをとれるライブコマースは、企業やブランド、商品・サービスに興味を持ってもらう絶好の機会です。
配信内容や対応次第では企業の好感度アップに寄与し、顧客になってもらうだけでなくゆくゆくはファン化も期待できます。
通販利用の不安を解消できる
ライブコマースでは、実際の使用感や感想などのリアルな情報をライブ配信で共有できるため、顧客が抱く不安を払しょくできます。
通販市場は年々大きくなっていますが、オンラインで商品を購入することに不安がある人も多くいます。実際の商品に触れられないことや商品・サービスの情報が少ないことに不安を抱いてる層には、ライブコマースは効果的です。
ライブコマースのデメリット
ライブコマースを実施する場合には、3つの注意点があります。
- 配信開始前の集客が必要不可欠
- ライブ配信者に成果が左右される
- 企業のイメージダウンやトラブルのリスクもある
それぞれについて、以下で解説します。
配信開始前にの集客が必要不可欠
ライブコマースは、短時間で実施されるケースが多く、その短時間のうちにどれだけの人に見てもらえるかが重要となります。そのため、配信開始から多くの人に見てもらうためには、事前の集客に工夫が必要です。
告知なしでは、十分な視聴者数が確保できず、成果につながりません。集客では、ライブコマースによって、興味を持ってくれそうな潜在層へのアピールが大事です。
ライブ配信者に成果が左右される
インフルエンサーや専門家など、配信者のトークスキルや知識量、フォロワー数などによって、ライブコマースの成果が左右されてしまいます。ライブ配信中に興味を持ってもらえなければ、すぐに離脱されてしまうので、商品購入には至りません。
配信者には、視聴者に商品に興味を持ってもらえるような惹き付けるトーク力や訴求力が求められます。また、スムーズに進行できるように、前もって念入りな打ち合わせやリハーサルを重ねることが大事です。
企業のイメージダウンやトラブルのリスクもある
配信内容によっては、企業のイメージダウンや信用の損失につながるリスクがあることにも注意しなければなりません。そもそもライブコマースというコンテンツが、企業のイメージに合わないと、顧客が離れていってしまう可能性もあります。
また、配信中に不適切な発言があったりすると、トラブルの原因になってしまいます。自社のイメージに合っているのかを考えた上で、しっかりとした計画のもと実施することが重要です。
ライブコマースを成功させるポイント
ライブコマースを成功させるためには、以下のポイントを抑えることが大事です。
- ライブコマースに適した商品か見極める
- 企業イメージや商品に合う配信者を選定する
- 楽しんでもらえる工夫をする
- 商品知識だけでなく質疑応答の準備も怠らない
ここからは、4つのポイントについて詳しく解説します。
ライブコマースに適した商品か見極める
そもそもライブコマースに適した商品・サービスなのか考えることが重要です。ライブコマースの利用者は、若年層の消費者が多い傾向にあるため、高齢者向けの商品やサービスには適していません。
また、商品やサービスの魅力が画面越しでも伝わるかどうかもポイントです。ライブコマース向きの商品には、グルメ商品や化粧品、衣服、便利雑貨などがあります。
企業イメージや商品に合う配信者を選定する
ライブコマースを成功させるためには、配信者の選定が重要なポイントです。魅力をしっかり伝えるのには、商品知識の豊富な自社スタッフがいいのか、集客力があるインフルエンサーを起用した方が良いのかなど商品・サービスによって見極めます。
インフルエンサーを起用する場合は、商品・サービスのターゲット層に近いインフルエンサーを選ぶことが重要です。配信者には、トーク力や臨機応変に対応できるスキルも必要となるため、ライブコマースに慣れているかどうかも選定基準になるでしょう。
楽しんでもらえる工夫をする
ライブコマースは、商品の魅力を伝えると同時に、顧客に新たな購買体験を提供するエンターテイメント性も持っています。そのため、楽しんでもらえる配信内容にしなければ、視聴者数は増えません。
視聴者を増やすには、著名人やインフルエンサーの対談形式にしたり、実際に使っている所をみせたりするなど、エンタメ性を取り入れリピーターを増やすことが重要です。また、多くの人がライブ配信を見やすいように、配信時間にも気をつけるといいでしょう。
商品知識だけでなく質疑応答の準備も怠らない
ライブコマースでは、一方的な商品説明だけではなく、視聴者からのリアルタイムな質問や疑問に答えていくことが大事です。顧客とのコミュニケーションの機会を作りだすことで、オンライン販売の不安解消につなげます。
また、質疑応答に臨機応変に対応するためにも、商品知識のみならず、想定される質問や疑問に対する回答の準備など、しっかり対策を打っておくことも必要です。
ライブコマースのやり方
ライブコマースの実施は、以下の5ステップで進めます。
- ライブ配信の目的とターゲットを設定する
- ライブ配信時間や頻度を決める
- ライブ配信の企画を考える
- 配信者と配信するプラットフォームを決める
- 商品在庫の確保と通信環境の整備
ここからは、ライブコマースのやり方をステップごとに解説します。
ライブコマースの目的とターゲットを設定する
まずは、ライブコマースで訴求したい商品や対象となるターゲットとライブコマースによって何を達成したいのか目的を設定します。
どの商品をどのくらいまで売り上げを伸ばしたいのか、どんな層がターゲットなのかなどを明確にしておくことで、適した配信内容や配信者を決定できます。以下の例を参考にしてください。
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ライブ配信時間や頻度を決める
ライブコマースでの配信時間は、30分〜1時間くらいが一般的です。リアルタイムで顧客とコミュニケーションをとることも重要視されるため、YouTubeなどの動画配信よりも長時間になります。
また、配信する時間帯や頻度は、ターゲット層に合わせて考えます。以下では前項の例を基に具体例を紹介します。
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時間帯をずらして何度か配信し、視聴者が集まりやすい時間帯を分析する方法もあります。
ライブコマースの企画を考える
目的やターゲット、配信時間などが決まったら、実際に配信する内容の企画を立てます。設定したターゲット層の心がつかめる内容を考えることが大事です。流れをあらかじめ決めておくとスムーズに進行でき、視聴者が見やすい配信になります。
これまでの例を基に具体例を以下で紹介します。
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配信者と配信するプラットフォームを決める
これまでに決めた内容を基に、適した配信者とライブ配信するプラットフォームを決めます。配信者は、商品や企業イメージに適しているかはもちろん、説得力や訴求力がある人を選ぶといいでしょう。
また、プラットフォームは商品のイメージやターゲット層に合わせて選定します。ライブ配信機能のあるSNSやライブコマース専用のプラットフォームを活用するのが一般的です。
これまでの例を基に、具体例を以下で紹介します。
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商品在庫や通信環境をチェックする
これまで決めた内容を基にライブコマースを実施する前に、販売予定の商品在庫と通信環境をチェックすることは重要です。
ライブコマースで視聴者が商品を購入したいと思った時に、在庫切れになってしまうと機会損失につながります。また、ライブ配信中に通信が途切れたり、映像が鮮明で無かったりすると、訴求力が低くなるほか、配信者に対する印象が悪くなってしまいます。
新しく楽しい購買体験を提供するためにも、商品在庫と通信環境はしっかり整えておきましょう。
ライブコマースを活用して物販を成功させよう
ライブコマースは、オンライン物販をしている企業や個人にとって、現代のマーケティングのスタイルに適した活用すべきコンテンツです。今後日本でも市場拡大が期待でき、物販を成功させるためのツールとして役立つでしょう。
またライブコマースは、せどりよりも継続的に販売できる商品の販売に向いています。例えば、企業や個人が制作したオリジナル商品の販売などと相性が良い手法です。
物販でオリジナル商品を取り扱ってみたいと考えているなら、クラウドファンディングを活用するという方法があります。興味がある方は以下のセミナーがおすすめです。ぜひ一度ご参加ください。