関税とは?支払いは必要?
関税というのは、海外から輸入した物品に課せられる税金のこと。
ヤフオクやAmazonで輸入転売を行うため、海外から仕入れをすれば基本的には関税が掛かります。
関税は誰が払うかというと、輸入した人、つまり輸入転売で仕入れをした人です。発送元の人が負担するものではありません。
通関とは?
関税とともに、通関という言葉を聞くことがよくあるでしょう。
通関というのは、輸出入時に許可を得るための手続きのこと。通関で許可を得られなければ、商品を入手することはできません。
ちなみに、通関の手続きは手間や時間が掛かりますが、誰でも資格など不要で行うことができます。
個人輸入か商用輸入かで関税は変わる
関税は、個人的な目的での輸入か、商用目的での輸入かによって税額が変わります。
個人的な目的で個人輸入する場合は、商品代金の6割が課税対象額となります。
個人輸入でも、商用利用で輸入する場合には、
- 商品代金(Cost)
- 保険(Insurance)
- 運賃(Freight)
この3つの金額全額に課税されます。この3つの代金を貿易用語でCIFと言います。
関税はいくら?輸入時に商品代金以外にかかるコスト
個人輸入で関税がかかることが分かっても、具体的にはいくらコストがかかるのか、気になりますよね。
ですが、関税というのは、通関で決定となるため、事前に正確な金額を把握することはできないのです。
また、輸入時に係る費用は、関税だけではありません。個人輸入であっても、
- 関税
- 消費税
- 通関手数料
がかかります。
関税
関税は、輸入した商品ごとの課税価格を元に計算されます。通関時にこの金額が確定します。
消費税
輸入時にも10%の消費税がかかります。軽減税率適用の場合は8%。
この10%(8%)の税率は、消費税と地方消費税の税率を合計したものです。
通関手数料
通関手数料というのは、通関代行業者などに依頼した場合のみ発生する手数料です。自身で手続きをすればこの費用は掛かりません。
関税の税率決定の流れと計算方法
関税は輸入した商品の課税価格に、関税率を掛けて算出されます。
「関税 = 課税価格 × 関税率」
商用利用で輸入する場合の関税では、CIF(商品代金と保険と送料(輸送運賃))の全額が課税対象となることは先に解説しましたので、ここでは税率について解説します。
関税の税率決定の流れ
関税の税率というのはいつも同じではありません。
関税の税率は、
- 輸入した商品がどの品目に分類されるか
- その荷物の原産地がどこか
この2つの情報によって決定されます。
関税の税率は、その輸入した商品の原産国がどこであるかによって、国ごとの経済連携や協定などもあり、非常に複雑に設定されています。
その複雑な税率の判断・決定が通関にて行われているわけです。
関税率の調べ方
輸入した商品にかかる関税の税率は、基本的には「実行関税率表」に基づき決定されます。
「実行関税率表」というのは、商品の分類ごと、各国の協定等ごとの税率を確認することができる一覧表です。
ただし、輸入した商品の総額が20万円以下の場合については「少額輸入貨物の簡易税率」が適用されます。
「実行関税率表」では、21部97類の品目で税率が決められています。ですが「少額輸入貨物の簡易税率」では、7区分に簡略化されています。
個人輸入時の注意点として知っておきたいのは、輸入商品の品目によっては、輸入商品総額が20万円以下でも、一般税率が適用されるものがあるということ。
- 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
- ニット製衣類
- 履物
これらの輸入では、簡易税率が適用されず、一般税率が適用されます。
例えば、欧米輸入で革靴を仕入れた場合、1足につき、商品金額の30%もしくは4,300円、どちらか高い方が適用されます。
革靴1足あたり最低4,300円は関税がかかるわけです。これは負担が大きいですよね。輸入転売で利益を出すためには、この関税も含めて仕入れ、販売をしないと赤字になるので要注意です。
計算ツールを使って関税率を事前に確認する方法
個人輸入での関税計算のために、ツールがあると便利ですよね。
ネットで「関税計算 ツール」などと検索すれば、いくつか計算ツールも出てきますが、税関のHPにも、関税率を事前に確認できるシステムがあります。
それが「事前教示回答(品目分類)」です。
ちょっと小難しい名称が付いていますが、画面はこちら。
キーワードを入れる欄がいくつも並んでいますが、どれかひとつに入力して検索するだけです。
例えば、フィギュアの輸入で関税率がいくらになるか調べてみましょう。一番の全項目にチェックを入れ、入力欄に「フィギュア」と入力して、その上にある[検索]をクリックします。
すると、フィギュアに対応する品目がいくつか表示されました。この中から該当するものを選び、一番左側の[税番]の欄に記載されている数字部分をクリックします。
すると、関税率が表示されます。プラスチック製人形に該当するフィギュアであれば、関税が「基本Free」とあり、無料であることがわかります。ただし、フィギュアにも様々な種類がありますので、該当するものをチェックして確認してください。
必ずしも、ここでチェックした税率が正しいとは限りません。関税の商品分類など判断が難しい場合は、事前に税関に直接照会することをおすすめします。
また、一般財団法人「対日貿易投資交流促進協会」が運営する『ミプロ』というサイトでも、輸入ビジネス関連での、通関や税関に関する内容が詳しく解説されています。困った時は参考にすると良いでしょう。
→ ミプロ
関税がかからないものは?いくらからかかる?
税関のHPには、
課税価格が1万円以下の貨物の場合、原則として、関税、消費税および地方消費税は免除されます。
とあります。
ただ、輸入転売の場合、1回の配送で課税価格が1万円以下、というのはなかなかないことかもしれませんね。
ちなみに、課税価格が1万円以下であっても、
- 酒税
- たばこ税・たばこ特別消費税
- 革製のバッグ
- パンスト・タイツ
- 手袋・履物
- スキー靴
- ニット製衣類等
これらに該当するものは、免税対象外となっています。
日本郵便の場合の関税はどうなる?
ここまで読んでみて「輸入転売ってやっぱり難しそう」と思われたかもしれません。
ですが、いざ輸入してみると、それほど大変なことはないのです。
では実際に、海外から輸入した商品を、日本郵便で受け取る場合の関税がどうなるのか、その具体的な流れを見てみましょう。
日本郵便で輸入された荷物を受け取る場合、その荷物の課税対象額が20万円以下か、20万円を超えるかによって、関税の支払いタイミングや手続きが変わってきます。
日本郵便の配達で課税対象額が20万円以下の場合
関税負担がない場合は、そのまま日本郵便から荷物が届くので、普通に受け取るだけです。
では、関税がかかる場合は、どのようにして、いつ払うのか。
- 関税の金額が10,000円以下だった場合
- 関税が10,000円超30万円以下であり、受取人が配達を希望した場合
このいずれかの場合は直接日本郵便から配達してもらい、その際に配達員に税金と日本郵便への取り扱い手数料を支払えば、荷物を受け取ることができます。
これらに該当しない場合は「国際郵便物課税通知書」が送付され、その通知に従い税金を納付すれば、荷物を受け取ることができるようになります。
日本郵便の配達で課税対象額が20万円以上の場合
輸入した荷物の課税対象額が20万円を超える場合は、日本郵便から通関手続きに関する案内文書が送付されます。
この案内文書を元に自分で、または、日本郵便や通関代行業者に依頼して通関手続きを行います。
納税を済ませ、納税が確認され通関で輸入許可が出ると、荷物が配達されます。日本郵便や通関代行業者に通関手続きを依頼した場合は、手数料も合わせて支払います。
宅配便利用時の関税はどうなる?いつ払う?
次に、宅配便利用の場合の関税がどうなるのか見ていきましょう。
ヤマト運輸の国際宅急便を利用した場合は、通関手続きを宅配業者が行なってくれますので、届くのを待つだけです。
受け取りの際に関税とヤマト運輸への手数料を支払います。
輸入代行業者と輸入転送業者と通関代行業者はどう違う?
関税や通関と聞いただけで、難しそうで無理、と思う方も多いでしょう。しかし、輸入転売の障壁となるこの通関などを代行してくれるサービスもあります。
輸出入に関する代行サービスには、
- 輸入代行業者
- 輸入転送業者
- 通関代行業者
といった種類があり、たくさんの企業や個人が、多種多様なサービス提供を行なっています。
輸入転売を安全に行うためにも、こらら代行業者の違いについても把握しておきましょう。
輸入代行業者
通関を代行してくれるサービス業者です。
誰でも輸入代行業者になることができます。特に、資格や許可など受ける必要がありません。
輸入転送業者
輸入転送業者というのは、海外通販等で日本への発送ができないものなど、代わりに買い付けして、日本に配送してくれる業者のこと。
この場合はショッピングサイトなどからではなく、輸入転送業者から荷物が届くことになります。
通関代行業者
通関代行業者というのは、通関業法に基づき、財務大臣からの許可を受けて通関業を行っている業者を指します。
通関業というのは輸出入を行う人からの依頼で、通関の申請業務等を代理で行うこと。
通関代行業者は通関業法に基づいた許可制となっているため、社会的信用があります。
輸入代行業者や輸入転送業者が安全でない、ということではないのですが、特に営業のために必要な資格や許可などがなく、個人でも誰でも営業可能。そうした中には悪質な業者も存在します。
輸入転売初心者の個人輸入仕入れはここに注意
輸入転売初心者が、個人輸入で仕入れを行う場合、覚えておきたい注意点があります。
輸入が禁止されているものは引っかかる
海外で購入できるもので、日本への輸入が禁止されているものもあります。
知らずに輸入してしまえば、関税法によって処罰の対象となり、商品そのものを没収されることもあります。
例えば、可燃性のマニキュアや香水、リチウム電池を含む製品の輸入は不可。また、ワシントン条約により、一部革製品など輸入することができません。
私の経験では、腕時計の輸入で輸入できなかったものがあります。それは、金属のブレスレット部分に「エイの革」が一部だけ使われていたのです。それが原因で、結局入手できませんでした。
没収されれば費用だけが発生することになりますので、十分に注意しましょう。
輸入が規制されているもの
海外からの輸入時に、国内の法令によって輸入が制限されているものもあります。
税関のHPには、
外国から輸入される貨物については、わが国の産業、経済、保険、衛生、公安及び風俗等に悪影響を及ぼすものがあり、これらの貨物について、わが国では、それぞれの国内法令によって「輸入の制限」を行っています。
とあります。
例えば、食品衛生法により、直接口に入れるもの、口に触れるものは規制対象となります。食器やコーヒーメーカー、それに6歳未満の子供が対象のフィギュアなど、小さなおもちゃも規制対象。ebayでもミニカーの入札時に注意が表示されます。
個人輸入でも税関で引っかかることがあり、止められると没収になるケースもありますので、注意したいですね。
既製品の場合、正式に輸入することができれば、ライバルが少なく、独占的に販売できる可能性があります。
規制が不安な場合は、輸入前に事前に問い合わせるなど、しっかり確認することをおすすめします。
輸入時の数量制限があるもの
輸入することができても、一度に輸入する数量を限定されるものもあります。
対象となるのは、
- 医薬品
- 医薬部外品
- 医療用具
- 化粧品
- 酒類
- 食料品
- 食器・調理器具など
- 衛生用品関係
これらの商品です。
ヤフオクやAmazonでの輸入転売でセラーが知っておくべきこと
ヤフオクやAmazonで輸入転売を行う場合、通関が必要で、商品によって関税が掛かります。
輸入転売となると関税や通関が必要で、なんだか難しそうに思われるかもしれませんが、便利な通関代行などもあり、実際にやってみれば意外と簡単。
輸入ができないものや制限のあるもの、税率の高いものもあるので、それさえしっかりと把握していれば、怖いことは何もありません。
通関や関税の仕組みをばっちり理解して、輸入転売で利益を拡大していきましょう。