社会保険と国民健康保険とは?
保険には、社会保険と国民健康保険の2種類があり、仕事の仕方によって制度が異なります。
会社に勤めている人の場合と自営業の個人事業主の場合について、まずは、保険の種類を紹介します。
会社に勤めている人が入る社会保険
会社に勤めている場合には、社会保険への加入が義務となっています。
必ず加入することになる社会保険ですが、その内容にはいくつか種類があるのでそれぞれ具体的に解説します。
1.健康保険
社会保険には、健康保険が入っています。
毎月、掛け金を支払うことで、万が一、病気になってしまったり、怪我をしてしまった際などに給付が受けられる制度です。
病気や怪我以外に、出産や死亡した場合も給付対象となります。
社会保険の健康保険には2種類あり、それぞれ運営者が異なります。
もともと国が運営していた健康保険の後継となる「全国健康保険協会(協会けんぽ)」が運営するものと、各企業等がそれぞれ「健康保険組合」を設立し、運営しているものの2つです。
基本的には、企業それぞれで加入している健康保険に入ることになります。
健康保険料は、それぞれの給与額に応じて設定されています。
報酬月額というものによって金額が設定されており、決められた金額を会社と従業員が半分ずつ支払うというルールです。
これによって、必要に応じて健康保険を利用できるようになります。
2.介護保険・年金保険
介護保険は、介護が必要な人やその家族を支えるための保険です。
介護保険と年金保険も社会保険の一種であり、健康保険と同様に、給与額によって保険料が決定され、会社と従業員が保険料を半分ずつ負担します。
健康保険との違いは、加入年齢で、介護保険は原則として40歳以上の人に加入が義務付けられています。
毎月掛け金を支払うことで、介護が必要となった際には給付を受けることが可能です。
年金保険は、生活を保障するための保険です。
老後に給付を受けられることで知られていますが、病気や事故などで障害を抱えてしまった場合にも給付を受けることができます。
一般的な会社員の場合は、厚生年金と国民年金に加入していることになるでしょう。
これらも給与額に応じて保険料が決定され、会社と従業員が半分ずつ支払うシステムです。
3.雇用保険・労災保険
雇用保険と労災保険はまとめて労働保険と呼ばれ、従業員は加入が必要となる保険です。
雇用保険は、失業してしまった際の生活を経済的に救済するための保険です。
毎月の掛け金を支払うことによって、失業期間中に失業給付金や教育訓練給付金を受け取ることが可能となります。
これらを受け取ることができれば、次の仕事へのステップアップ期間も生活に困ることはないでしょう。
雇用保険の保険用も、会社と従業員の双方が負担します。
労災保険は、勤務中や通勤中などに怪我を負ってしまった場合などに適用される保険です。
災害保障保険とも呼ばれ、正社員だけでなく、アルバイトやパートなど、どんな雇用形態であっても適用される保険です。
個人事業主が入る国民保険
会社に勤めず、個人事業主をしている人は、国民保険への加入が義務となります。
社会保険との大きな違いは、国民保険の場合は、会社と折半できないために全額自己負担となる点です。
とはいえ、国民保険の金額はそこまで高くないため、大きな金額を請求されることはあまりありません。
また、個人事業主の場合は、労働保険に加入できないという決まりがあることも覚えておきましょう。
国民保険は、主に国民健康保険と国民年金の2つの分類することができます。
国民健康保険の保険料は、配偶者を含む世帯の収入額に応じて決められます。
これに対して、国民年金は保険料が一定です。
加入者が40歳以上になると、介護保険への加入も必要となり、保険料はさらに増えることになるでしょう。
介護保険は、国民健康保険と一緒に支払う流れです。
副業でも社会保険への加入は必要になる?
副業であっても、社会保険への加入が必要となる場合もあります。
例えば、企業に雇われて仕事をする場合です。
雇用先企業が社会保険に入っている場合、副業であっても社会保険への加入が必要となります。
雇用形態がアルバイトやパートであっても、一定の条件を満たしていると、社会保険に加入することになるでしょう。
条件は、1週間の労働時間および1ヶ月の労働日数がその会社の正社員の労働時間の4分の3以上になる場合です。
これに該当する場合は、副業であっても社会保険に加入することになります。
また、上記に該当しなくても下記5つの条件をすべて満たす場合には加入が義務となるので覚えておきましょう。
1. 社会保険の被保険者である従業員が常時501人以上の会社である
2.1週間の労働時間が20時間以上ある
3.雇用期間が1年以上見込まれる
4.月額の賃金(賞与、通勤手当、残業代は除く)が88,000円を超える(年間106万円以上)
5.学生ではないこと
副業であっても仕事をしている従業員であることには変わりないため、働く状況によって社会保険に入る必要があるのです。
副業でも社会保険の加入条件に当てはまると保険料が増える
副業であっても、社会保険への加入条件が満たされていれば、加入する必要があります。
この場合、本業の会社で支払う社会保険のほかに、別途で社会保険料が必要となります。
そうなると、本業と副業の給料を合算した金額に対して、保険料を支払うことになります。
例えば、本業の月給を30万円、副業の月給を10万円とした場合、双方の給料の30万円と10万円を足して40万円が月の合計給与となります。
この40万円が社会保険料を、計算する基準となるのです。
保険料の支払いについては、本業と副業それぞれの会社で計算され、各自の会社で給与から差し引かれて支払うことになります。
副業でも社会保険の加入が必要になると手続きが増える
副業においても社会保険への加入が必要となった場合には、保険料が上がるだけでなく、こなすべき事務手続きも多くなります。
まず、本業の会社を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」という書類を提出する必要があります。
これは、副業先の会社で社会保険の加入要件を満たした日から数えて10日以内に自分で手続きをしなければなりません。
本業の健康保険が健康保険組合である場合には、加入先となっている健康保険組合にも届け出が必要です。
また、健康保険に加入すると、健康保険証が発行されることになりますが、本業の会社で健康保険証を発行されている場合、健康保険証が2枚となってしまうため、副業の保険証は返却する必要があります。
社会保険に加入することで副業をしていることがバレる
副業でも社会保険の加入が必要になった場合、本業と副業の収入を足して計算された保険料が年金事務所からそれぞれの会社に通知されることになります。
副業でも社会保険へ加入していると、二重加入となり、保険料が変わります。
これによって、本業の会社に副業をしていることが露呈することも少なくありません。
隠れて副業をしていてバレてしまった場合には大きな問題となることもあるため、注意が必要です。
社会保険への加入が必要ない副業であっても、確定申告による住民税の通知によって副業の存在がバレてしまうこともあります。
副業をするのなら、あらかじめ、本業における副業の就業規則を確認し、必要ならば、許可を取ったり、申請をしたりする必要があるでしょう。
副業では雇用保険への加入は不要
社会保険には、さまざまな種類がありますが、雇用保険は、二重加入をしないことが基本となります。
そのため、基本的には本業の会社だけでの加入となります。
副業で働いている会社が労災保険や雇用保険への加入が必要な適用事業所であり、その会社で雇用保険の加入条件を満たしている場合でも雇用保険に加入する必要はありません。
保険料も副業での収入はカウントされないため、本業の会社で得た分だけで計算されるという特徴があるのです。
ただし、本業よりも副業の収入が多くなった場合は、話が変わってくることもあります。
主に副業での収入で生活を維持するための資金を賄うようになると、本業ではなく、副業の会社で雇用保険への加入が必要になる場合も出てきます。
副業で社会保険料をあげない方法
副業に取り組む理由は人によってさまざまですが、もっと収入を増やしたいからという人も多いでしょう。
そんな時に社会保険料が上がってしまっては、ちょっと損をした気分になるのではないでしょうか?
そんな人のために、副業をしても社会保険料を上げないようにする方法を2つ紹介します。
社会保険の加入条件を満たさないように調整して働く
副業においての社会保険は、必須というわけではありません。
加入条件を満たしていなければ、たとえ、加入を希望しても入ることはできないのです。
そこで、副業で稼ぐ金額目標を加入条件よりも低く設定しておくと効果的です。
これならば、アルバイトやパートであっても、社会保険へ加入する必要はなくなります。
たくさん稼ぎたいのであれば、従業員が500人以下の企業で働く時間を正社員の労働時間の4分の3以内に抑えるという方法もあります。
従業員数が501人以上の企業の場合、1週間の労働時間を20時間以下に減らすなど働き方を調整することも効果的です。
これから副業を始めるのならば、事前に会社の規模についても調査しておくと、社会保険への加入条件が見えてくるでしょう。
あらかじめ働き方を調整することで、社会保険へ加入しなくて済むようになるのです。
社会保険加入に当てはまらない働き方をする
働き方を調整する以外にも、副業の形態そのものを社会保険の加入条件に当てはまらないようにする方法もあります。
例えば、労働契約期間が短い場合や社会保険適用ではない会社での副業ならば、社会保険への加入は必要ありません。
働き方を調整することに手間を感じるという人は、労働契約期間や会社選びから社会保険加入対策をしてみるといいでしょう。
社会保険加入が必要とはならない働き方は、下記の通りです。
・雇用期間が1ヶ月以内の日雇いで働く
・2ヶ月以内の短期契約で働く
・除雪作業など、4ヶ月以内の特定の季節に必要な業務で働く
・博覧会、展示会などの、6ヶ月以内の臨時的な事業所で働く
・任意適用事業所ではない個人事業所で働く
・自営業をする(法人の場合を除く)
個人事業主として副業をするのも手
社会保険料の支払いを避けたいのなら、個人事業主として副業をするのも一つの方法です。
現在の社会保険制度では、企業か個人事業か、どちらか一方でしか保険に加入することはできません。
本業の会社で保険に加入しており、副業が個人事業主となる場合、個人事業主として保険への加入はできないことになるのです。
ただし、個人事業を本業にすると、国民健康保険や国民年金への加入が必要となります。
インターネットで副業をして収入を得る個人事業主の副業は、社会保険の対象ではないことも見逃せません。
副業でどんなに大きく稼いでいても、社会保険に加入している本業がある限り、社会保険料が増えることはないのです。
社会保険料を増やしたくない場合は、インターネットでできる副業を個人事業主として受けていくのもいいかもしれません。
個人事業としてできる副業とは?
個人事業主としてできる副業はさまざまで、所得にもいくつかの種類があります。
例えば、商品売買業などによる事業所得、クラウドソーシングなどを利用する単発の仕事による雑所得などです。
商品売買業ならば、自分だけでも進めていけるため、事業を立ち上げることも可能です。
個人事業主から始めて、いずれは、本格的に取り組み、法人化することもできるかもしれません。
クラウドソーシングを利用した仕事も、家にいながらインターネットを経由して業務委託の仕事を受けられるので、とても効果的です。
これらの仕事ならば個人事業主として受注していくことができるので、副業の選択肢としては有効となるでしょう。
副業で起業した場合の社会保険はどうなる?
副業において自分で事業を始める方法には、個人事業主になるだけでなく、株式会社や合同会社として法人事業にすることも可能です。
ただし、法人として事業を立ち上げた場合には、原則として、社会保険への加入が必要です。
従業員がおらず、代表者一人のみの法人であっても、社会保険への加入が義務となっているのです。
一方、従業員を雇っている場合には、法人・個人を問わず、雇用保険や労災保険への加入は必須となります。
個人事業主の場合には、従業員が5人以上になると、社会保険へ加入する必要が出てきます。
法人化した場合には、会社設立から5日以内に事業所を管轄する年金事務所に必要書類を提出する必要があります。
必要書類を提出することで、正式に社会保険へと加入することになります。
副業による社会保険などへの影響はしっかり把握しておこう
副業でも会社に勤めており、社会保険への加入条件を満たしているのであれば、社会保険料が増えるなどの影響が出ることがあります。
あらかじめ、社会保険についての知識を得ておき、副業選びや働き方については慎重に検討するといいでしょう。
「物販総合研究所」では、個人事業主としてできる副業のなかでもおすすめの、物販について、さまざまな情報を発信しています。
物販とは、どんなビジネスなのかを知るためにも、ほかの記事も参照してみてください。
また、物販以外の副業についてもたくさん紹介しているので、副業選びの参考に活用しましょう。