最新!銀行の副業解禁事情
副業に厳しいことで知られる銀行ですが、実際にはすでに解禁済みのところも存在します。
国内で最初に副業を認めた銀行とされるのは、東京都に本社を置く新生銀行です。
新生銀行では2018年の春以降、ルールを守って許可を得ていれば、個人事業主型でも雇用型でも副業ができるようになっています。
厚生労働省が働き方改革の一環として副業や兼業の促進を発表したのが2018年1月だったので、早い段階での導入が話題となりました。
新生銀行としては、副業を導入することで社員の働き方の自由度を上げたり、社外での経験をイノベーションにつなげたりするのが狙いです。
また、2019年には、みずほフィナンシャルグループも副業解禁へと動き出しています。
メガバンクとしては、初の試みであるため、大きなニュースとして今後も注目を集めそうです。
みずほフィナンシャルグループは、終身雇用制後の崩壊によって働き方へのニーズが変わりつつあることを導入理由に挙げました。
一方、こうした銀行の取り組みに対しては、「前向きな理由だけではないのでは?」という声もあります。
例えば、人材流出に歯止めをかけたり、就職希望者を募りやすくしたりする施策は銀行にも求められているといった意見です。
銀行員が副業を禁止されがちな理由
銀行の副業解禁がニュースとして取り上げられやすい現状から、銀行員の副業へのハードルは決して低くはないことがわかります。
では、そもそもなぜ銀行員の副業は認められにくいのでしょうか?
まずは、そのあたりの状況から確認してみましょう。
情報漏えいのリスクが高い
銀行に限った話ではありませんが、情報漏えいに対するリスクは副業解禁への大きな壁となりやすいことで知られています。
特に銀行の場合は法人・個人を問わず、多くの人の資産を扱っているため、機密情報に触れる機会も頻繁にあります。
例えば、取引先企業の経営状況がどうなっているか、個人資産がどの程度あるのかといった情報は立場によっては知り得るでしょう。
端的にいえば、銀行員が扱う情報はそもそも秘密だらけということです。
また、銀行は振り込め詐欺などの被害が起こりやすい場所でもあるため、普段から情報の取り扱いには、慎重にならざるを得ません。
こうした背景事情を考慮した結果、なかなか副業解禁へと動き出せない現実があるのも事実です。
銀行の信頼性低下につながる
銀行の信頼性の低下も情報漏えいとの関係でよく耳にするリスクです。
これは当然といえば、当然かもしれませんが、銀行は人々のお金を預かり、運用する立場である以上、信頼性が最も重要されます。
資産管理ができないような銀行にお金を預ける人はいないでしょう。
仮に、副業を解禁したことで情報漏えいが発生すれば、顧客離れが起きて銀行は破綻してしまうかもしれません。
たとえそれが、たった一人の副業がきっかけであったとしてもです。
そのため、銀行としては副業を行う社員とともにリスク管理を徹底しなければなりません。
しかし、そこまで手が回らないと判断される場合は解禁への道が遠くなります。
本業の仕事に支障が出る
副業による長時間労働が本業に悪影響を与えるというのも、副業解禁を妨げる大きな理由の一つです。
例えば、会社が把握できないうちに社員が過労に陥っていて業務中に重大なミスをしたり、体調を崩すなどの健康被害が出たりすることもあるかもしれません。
それでなくとも、銀行は扱う情報が人の機密に関わるケースが大半です。社員一人のミスが大きな事故につながってしまうこともあります。
結果として、職務がしっかり遂行できる職場環境の維持が優先され、副業解禁が難しくなってしまうのかもしれません。
禁止の副業をしてバレたらどうなる?
人によっては、会社で禁止されていても、こっそり副業に取り組んでいることもあるようです。
そうした行為が会社に知られる原因には給与から天引きされる住民税の額や人事部のチェックなどが考えられますが、仮にバレてしまった場合どうなってしまうのでしょうか?
例えば、銀行員の知識を生かしたサイト運営で広告収入を得る副業ではアフィリエイターランキングに入るなどして知名度が上がる可能性もあります。
近年は副業もネットビジネスが主流なので、会社がWebサイトを確認しているケースがないとはいえません。
一般的には即クビにされるようなことはなく、上司や人事担当に呼ばれて事実確認を求められることが多いようです。
副業について言い逃れができなければ、副業を辞めるか、何らかの処分を受けるかといった選択を迫られることもあるでしょう。
ただし、すでに会社に不利益が出ているような場合は解雇は避けられないかもしれません。
実際に過去の判例のなかには、本業と競合する副業を行ったことが理由の解雇が正当だと認められたものもあります。
本業を辞める覚悟がないのであれば、会社の就業規則には従っておくのが賢明でしょう。
副業禁止でも副収入が許されるケース
銀行が副業に対して慎重なのは確かです。
しかし、例外的に副収入が認められるケースもいくつかあります。
例えば、相続がその一つです。
銀行員が相続によって不動産経営などの事業を引き継いだ場合、家賃収入などが発生しても基本的に処罰されるようなことはありません。
そもそも、会社には社員の相続を止める権利はないので、事実上禁止とはいえないということでしょう。
また、株式や投資用不動産の購入も許可される場合があります。
これは「投資」と「副業」は別物であって、投資に関する行為は副業にはあたらないという認識をしている銀行もあるからです。
ただし、投資として許可される範囲は銀行によってルールが異なることがよくあります。
例えば、相続以外の不動産収入を禁止していたり、株取引に事前申請を課していたりするパターンです。
特に、銀行員の場合は法人との取引も多いため、株にはインサイダー取引のリスクが常にあります。
そのため、厳しい規則が設定させるのは致し方ないのかもしれません。
副業が解禁されたら!銀行員におすすめの仕事3選
人によってはどんな副業があるのかだけでも知りたいという場合もあるでしょう。
実際に今後副業が解禁される可能性もゼロではありません。
そこで、銀行員として働きながらでも取り組みやすい副業を3つ紹介します。
アフィリエイト
アフィリエイトは主にブログ記事で商品やサービスを紹介し、広告収入を得る方法です。
自分の貼り付けた広告から商品を購入したり、サービスに申し込みをしたりする人が出れば、紹介料として報酬が発生します。
サイトを訪れてくれる読者を増やす必要があるため、収入が発生するのにある程度時間がかかるのが特徴です。
とはいえ、一度しっかりしたサイト運用ができるようになれば、本業の仕事をしている間にも収益を得られるようになります。
アフィリエイトが銀行員におすすめなのは、自分のペースで続けられるタイプの副業だからです。
本業の仕事がある以上、急な残業が発生することもあり、繁忙期にはまとまった時間を確保するのは難しいでしょう。
サイト運営であれば、更新が滞ることがあっても直接的に誰かに迷惑がかかるわけではないので、気長に取り組めます。
例えば、銀行員の知識を生かして老後の資金を貯める方法や節約術などを伝えれば、読者を獲得できるかもしれません。
ただし、当然、銀行の内情は書けないので、一般的な説明にとどめておくことが前提です。
Webライター
Webライターは、クラウドソーシングサービスを通じて記事作成の仕事を請け負う仕事です。
クライアントのオウンドメディアなどに記載する記事を執筆し、報酬を得るのが基本のスタイルとなります。
例えば、日常生活の中で知りたいことや解決したい問題が発生した場合、ネット上で情報を得る人も多いのではないでしょうか?
そのようなサイトのなかには、自社で全ての記事を用意するのが難しく、信頼できる外部のライターに執筆を委託しているケースがあるのです。
銀行員の場合はお金に関する情報の執筆で知識と経験を生かせるのが強みです。
例えば、NISAやiDeCoといった投資の仕組みや保険の選び方などは、情報の正確性やわかりやすさが特に求められます。
銀行員は元々、最新の知識を得やすい立場にあるため、クライアントの希望する濃い内容の記事が書ける人もいるでしょう。
とはいえ、銀行の機密情報を漏らしたり、投資の助言をしたりするのはルール違反なので、節度を持って取り組むことが大切です。
物販
銀行員は、物販ビジネスでもチャンスをつかめる可能性があります。
物販とは、商品を仕入れて販売するという昔からある商売の手法です。
近年は、転売ビジネスが盛り上がりを見せており、個人でも輸入・輸出を含めた物販に広く取り組む人もいます。
例えば、海外で人気の商品を輸入して日本で販売するのも手段の一つです。
国内で手に入りにくい物であれば、新たな需要を生み出せるかもしれません。
逆に、世界的にも品質評価が高い日本製品を海外に広める方法も考えられます。
もし、銀行員として融資関連の業務経験があれば、事業計画や資金繰りの知識がある分、物販ビジネスを有利に展開しやすいでしょう。
また、自分の事業を育てていく過程で、本業でも説得力のあるアドバイスができるようになるかもしれません。
メインの収入があるので、リスクを抑えて起業できるのが大きな魅力です。
銀行員が副業をするときの注意点
副業が解禁されれば、銀行の規定に従って活動する限り、副収入を得ることが可能となります。
とはいえ、職務上、特に気をつけておきたい点はいくつかあるので、最後に副業の注意点を確認しておきましょう。
会社の評判を落とさない
一般的に会社員は、「企業の顔」としての側面を持つといわれます。
A銀行に勤める銀行員は個人であると同時に、A銀行全体の印象を良くも悪くもする存在ということです。
そのため、副業をする時は、勤め先の評判を落とすような行為をしないのが前提となります。
例えば、アフィリエイト用に立ち上げたブログで自分の勤める銀行の悪評を書くといった行動が代表的です。
ペンネームを使用して銀行名を伏せていたとしても、わかる人にはわかってしまうと心得ておいた方がよいでしょう。
また、自分が現役の銀行員であることを前面に押し出してしまうと、勤め先や業務内容を探られてしまう可能性もあります。
自分の立場をどこまで明かすかは事前によく検討することが大切です。
競業にあたる仕事はしない
副業では、競業にあたる仕事が許可されることは基本的にありません。
競業とは簡単にいうと、ライバル関係にあたる職業のことを指します。
A銀行の社員がB銀行の利益を上げるような副業はしてはならないということです。
例えば、B銀行が協賛するセミナーなどにA銀行の社員であることを隠して登壇するのは非常に危険と考えてよいでしょう。
また、ブログなどの読者を集めたいばかりに銀行の裏話を公開し、間接的に他行に有利な状況を作り出すのも禁止です。
本業で得た人脈を副業で活用することもできません。
原則として、本業に影響しない範囲で活動するのが安全策となります。
本業の仕事に手を抜かない
副業が解禁されたとしても、会社員である以上は、本業がメインの仕事です。
これは、たとえ、副業の方が収入的に大きかったとしても変わることはありません。
副業は基本的に一人で活動することが多く、稼げるようになると、自信もついて気が大きくなる人もいます。
しかし、本業では周りの社員とともに仕事をすることが多いので、その人たちに迷惑をかけないことは忘れないようにしましょう。
例えば、本業で仲間の銀行員がみんなで残業していても、副業をするために無視して帰るのは控えた方がいいかもしれません。
業務命令以外の残業は義務ではありませんが、結果として会社での居心地が悪くなるのは自分です。
本業と副業のバランスを意識するのがコツといえます。
銀行員の副業に追い風は来ている!準備だけでもしてみよう!
銀行員の副業が広く認められるまでには、まだ時間はかかりそうですが、みずほフィナンシャルグループの事例もあり、今後は銀行でも副業解禁の動きが活発化するかもしれません。
現在は禁止されていても、興味のあるジャンルがあれば、準備だけでもしておくと、役に立つ可能性があります。
特に、副業で主流のネットビジネスは利益が発生するまでに時間がかかるので、先に情報収集をしておくのが有効です。
時間があるときに何か行動してみてはいかがでしょうか?